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追求するほど楽しさ倍増! カーオーディオの“こだわりポイント”を大解説 Part6 ケーブル編 その1 ケーブルの重要度について

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ラインケーブルの一例(M&Mデザイン)。全 3 枚写真をすべて見る

カーオーディオライフをより充実させるためには、さまざまな部分に“こだわる”べきだ。当特集ではその1つ1つを深掘りしている。今回からは、ケーブルについて考えていく。まず当回では、ケーブルにもこだわるべき理由を説明する。

「ケーブルに何を使うか」でも、最終的なサウンドクオリティは変化する!?

ところでカーオーディオ初心者は、「ケーブルが重要だ」と言われてもあまりピンとこないかもしれない。ケーブルが必要なものではあることは理解できるけれど、コストを注ぐべきものという印象はそれほど強くはないずだ。

確かにケーブルは、スピーカーやパワーアンプのような“メカ”ではない。そしてそれら他のメカを取り付ける際の必要パーツというイメージが強い。つまり“わき役”的な存在として見られがちだ。実際、「ショートパーツ」とか「アクセサリー」と分類されていて、主役という雰囲気ではない。

しかし実は、ケーブルも一種の“ユニット”として考えるべきであり、“ユニット”である以上他と同様にコストをかけるべきものでもある。なぜならケーブルに何を使うかでも、システムの最終的なサウンドクオリティが大きく変わってくるからだ。

その理由を詳しく解説していこう。オーディオシステムで良い音を出すためには、「音源に収められている情報をいかに“ロス”なく再現できるかが鍵となる。例えばソースユニットでは信号の読み取り精度が重要で、パワーアンプではノイズの影響を排しよりピュアに信号を増幅することが目指される。スピーカーでも同様だ。パワーアンプから送られてくる信号をいかにロスなく音に換えられるかが問題となる。つまりカーオーディオシステムでは、音源に収められている情報をより良いものへとアップコンバートすることは基本的には不可能で、「いかに劣化を最小限にとどめられるか」、ここがキモとなるのだ。

ラインケーブルの一例(オーディオテクニカ)。

信号の伝送時にも、音質劣化は起こり得る!

そして信号を伝送する過程においても信号の劣化は起こり得るし、ノイズの影響も受けがちだ。そしてその度合いが大きいと、その他のユニットにかけたコストが無駄になりかねない。ゆえに伝送過程においても、信号の劣化やノイズの影響をできる限り排除す必要がある。

それを実現するにはポイントが2つある。1つは「より高性能なケーブルを使うこと」で、もう1つは「ケーブルを正しく引き回すこと」だ。良いモノを使っても引き回し方に不備があっては効果は落ちる。逆に、正しく引き回しても製品の質がそれなりならば結果もそれなりとなる。

ところでケーブルは実は、エントリーモデルからハイエンド製品に至るまでのグレード差が相当に大きい。ちなみに、グレード格差が特に大きいのは「ラインケーブル」だ(これについてはさまざまな呼び名があり、「オーディオケーブル」「RCAケーブル」「インターコネクトケーブル」とも呼ばれている)。なおこれは、ソースユニットとパワーアンプ間、またはプロセッサーからパワーアンプ間を繋ぐためのケーブルだ。つまり、パワーアンプで増幅される前の微弱な状態の音楽信号を伝送するためのものである。

そして微弱な状態の音楽信号は特に、伝送過程で劣化しやすく外来ノイズの影響も受けやすい。ゆえにコストをかければかけるほど、劣化が起こりにくくなりノイズの影響も受けにくくなる。つまり、導体の素材、構造、さらには被膜の質にこだわればこだわるほど、その成果が現れる。こうして超高級品が生まれることとなるのだ。

ラインケーブルの一例(モンスターカーオーディオ)。

ケーブルには、他のユニットと同様にしっかりとコストをかけるべき!

実際のところはどうなのか、国産ハイエンドケーブルブランド“M&Mデザイン”の製品を例に見てみよう。同社のベーシックグレードの「ラインケーブル」は『SN-MA1700』で、これの1mのモデルの税抜価格は1万円だ。対して同社のラインナップ中の最上位グレードである『7N-MA9000CORSA』は、同じく1mのモデルで16万円(税抜)。実に16倍もの価格差がある。

ちなみにいうと、市場にはもっとリーズナブルな「ラインケーブル」もさまざまある。例えば通販サイトで「ラインケーブル」と検索すると、1.5mのモデルで1000円しないモデルがいくつか出てくる。これらの価格は“M&Mデザイン”のベーシックモデルと比べて、1/10以下だ。

スピーカーでもパワーアンプでも、価格が2倍、3倍と違えばそれに相応する性能差が現れる。ケーブルにおいても10倍も違えば能力差は相応に大きくなる。高級品はダテではない。価格に見合うバリューがある。違いがなければ誰も使わないし、そうであれば自然淘汰されてしかるべきだ。しかし高級品はさまざま存在し実際に使われている。それぞれが、コストに見合ったパフォーマンスを発揮可能であるからだ。

というわけなので、ハイエンドシステムを組む場合には特に、ケーブルにも他のユニットと同じように予算を注いだ方が良い。例えばフロント2ウェイスピーカーをマルチアンプ接続で鳴らす場合には、「ラインケーブル」は2組必要となる。そしてそれをセンタークラスターパネルのメインユニットからトランクに装着したパワーアンプまで引き回そうとすればある程度の長さが必要となる。

仮に5mのモデルが必要となると、先ほど挙げた“M&Mデザイン”のベーシックモデル『SN-MA1700』の場合はその税抜価格は1万8000円なので、それを2組使うこととなり計3万6000円の予算が必要となる。こうなるともはやケーブルは、取り付け用のパーツというイメージではなくなる。つまり上級者たちは、ケーブルも1つの“ユニット”として予算を計上し、こだわりを注いでいるというわけなのだ。

さて次回からは、ケーブル選びにおける細かなこだわりポイントを解説していく。乞うご期待。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《text:太田祥三》

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