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追求するほど楽しさ倍増! カーオーディオの“こだわりポイント”を大解説 Part5 サブウーファー編 その5 “何で鳴らすか”にこだわる!

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サブウーファー用のモノラルパワーアンプの一例(モレル・MPS 1.550)。全 3 枚写真をすべて見る

細かなところにこだわればこだわるほど楽しさが深まっていくカーオーディオ。当特集では、それら“こだわりポイント”の1つ1つを研究している。現在はサブウーファーをテーマに展開しているが、当回は組み合わせるパワーアンプについて考えていく。

ベーシックな方法論は、「1台の4chパワーアンプでシステム全体をまかなう」というもの。

ユニットサブウーファーを使用する際には、これまで解説してきたように「どんなボックスで鳴らすか」も“こだわりポイント”となるのだが、さらには「どんなパワーアンプで鳴らすか」にもこだわるべきだ。

さて、具体的にはどのような選択肢があるのだろうか。まず、もっともベーシックな選択肢は、「1台の4chパワーアンプでフロントスピーカーとサブウーファーの両方を鳴らす」、というものだ。

で、この選択肢のメリットはズバリ、「システムをコンパクトに仕上げられること」にある。もしもすでにフロントスピーカーを市販モデルに換えていてそこにサブウーファーを追加しようとするのなら、この際なのでそのフロントスピーカーにも外部パワーアンプをあてがうと、システム全体の底上げが果たせる。せっかく低音を増強させようとするのだから、中域から高域の鳴り方もそれにバランスさせた方が良い。そう考えたときには4chモデルを使えば、目的を合理的に叶えられる。

なおこのときには、「ブリッジ接続」が可能なモデルを選ぶことがコツとなる。「ブリッジ接続」とは、サブウーファー1発をパワーアンプの2ch分を使って鳴らす接続方法のことを指す。

具体的には以下のように運用される。例えば4chパワーアンプのAchのプラス端子とサブウーファーのプラス端子とを接続し、Bchのマイナス端子とサブウーファーのマイナス端子とを接続する。こうすることで左右のchの信号(ステレオ信号)がモノラル信号へと合成され、かつより大きなパワーをかけられる。「ブリッジ接続」が不可能なパワーアンプでもサブウーファーを鳴らせる場合もあるのだが、これが可能である方がサブウーファーを鳴らしやすくなるのだ。

サブウーファー用のモノラルパワーアンプの一例(グラウンドゼロ・GZHA MINI ONE)。

サブウーファーに専用のパワーアンプなら、効率的に鳴らせる!

または、次のような選択肢もある。それは、「サブウーファー専用のパワーアンプを用意する」というものだ。

パワーアンプの中には、サブウーファーをドライブするために作られた専用のパワーアンプが多々ある。サブウーファーを鳴らすパワーアンプには、振動板をしっかりと動かしかつそれを素早く止める能力が求められるのだが、そこのところにこだわって設計されているモデルが豊富にある。

なおそういったモデルの多くは、動作方式に「D級回路」が使われている。なぜなら、D級方式は大出力を発揮しやすい。そしてそうでありながら消費電力は少なくて済む。かつ、発熱量も少ない。効率が良いので、電力が熱に変わってしまう率が低いのだ。なので使いやすい。インストールする際に、熱対策を施す度合いも少なくて済む。

ところでD級のパワーアンプはパワフルではあるけれど、音色の再現性においてはビハインドがあると言われることもある。しかしそうだとしても、サブウーファーを鳴らすためのパワーアンプであるならば、そこのところを気にする必要性は低い。

なぜならば、サブウーファーが担当する帯域の音には倍音成分がほとんど含まれていないからだ。倍音とは、音程を決定付ける基音に対して整数倍の周波数の音でありそれが各楽器の音色を決める要素となるのだが、例えば4弦のベースギターの最低音は約40Hzなので、その2倍音は80Hzだ。しかしサブウーファーの再生周波数範囲はそれ以下に設定されることも多い。なのでサブウーファー用のパワーアンプに関しては、音色の再現性についてはあまり問題にならない、というわけなのだ。

D級2chパワーアンプの一例(カロッツェリア・PRS-D800)。

フルレンジのD級2chパワーアンプも、サブウーファー用アンプとして狙い目!

そしてさらには、特に「サブウーファー用」とはされていない2chパワーアンプを用いるという選択肢もある。

この作戦の良いところは、「導入したパワーアンプを後々別の用途でも使えること」にある。サブウーファー専用のモノラルパワーアンプはそれをサブウーファー用にしか使えないわけだが、フルレンジの2chパワーアンプなら後々別の使い方もできる。つまり、将来的に無駄になりにくい。

で、その場合にもD級モデルの中から物色すると、サブウーファーを鳴らすのに向いたモデルが見つかりやすい。なぜなら、先述したとおりD級パワーアンプは省電力で効率が良く、さらにはコンパクトなモデルも多い。「ブリッジ接続」が可能であることが条件とはなるが、そうであれば至って使いやすい。

またD級のパワーアンプにはコスパの高いモデルも多い。というのも、AB級やA級のパワーアンプはコストをかければかけるほど性能が上がっていくのだが、D級パワーアンプは案外そうでもなかったりする。なので、D級パワーアンプの中には超高級モデルは多くない。そしてむしろ、リーズナブルでありながらも高性能なモデルが多かったりもするのだ。

あともう1つ、「フロントスピーカーに使っているものと同じハイエンドパワーアンプを使う」という手もある。例えば、フロント3ウェイ+サブウーファーを鳴らすのに超高級な4chパワーアンプ2台でシステムを組んだり、超高級な2chパワーアンプが計4台使われることもあるのだ。

このようにすると、すべてのスピーカーを同条件で鳴らせるという利点が得られる。しかもハイエンドパワーアンプはそもそもスピーカーをトルクフルに鳴らせるし、さらには情報量も多く解像度も高い。そういった利点がサブウーファーを鳴らすのにもしっかりと効いてくる。コストはかさむけれど、とことん音にこだわろうとするときには、この方法も1つの選択肢になり得る。

今回は以上だ。次回は新たな章に突入する予定だ。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《text:太田祥三》

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