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追求するほど楽しさ倍増! カーオーディオの“こだわりポイント”を大解説 Part5 サブウーファー編 その1 “手軽さ”にこだわる!

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“小型・薄型”のパワードサブウーファーの一例(フォーカル・Ibus 20)。全 3 枚写真をすべて見る

カーオーディオには、こだわるべきポイントがさまざまある。その1つ1つを掘り下げて解説している当特集。今回からは「サブウーファー編」に突入し、これを導入するにあたっての“こだわりポイント”を解説していく。

「サブウーファーは敢えて使わない」というこだわり方もある!?

ところで、「サブウーファーは敢えて使わない」というこだわり方も存在しているのでまずはそれについて説明しようと思うのだが、その前に、カーオーディオでサブウーファーが必要となる理由から解説しておきたい。

理由は主には2つある。1つ目は、「ドアスピーカーの低音再生能力には限界があるから」だ。というのも、スピーカーは振動板の口径が小さいほど高音再生に向き、大きいほど低音再生がしやすくなる。で、ドアに装着できるスピーカーはせいぜい17cmクラスが最大サイズなのだが、実はこの大きさでは、人間の可聴帯域の中での最低音となる20Hzあたりの低音までをスムーズに再生するのは困難だ。

そして2つ目の理由は「ロードノイズで低音がマスキングされるから」だ。クルマは走行するとタイヤパターンが路面を叩き騒音を発する。で、この騒音は主に低周波だ。ゆえに音楽の低音成分に覆い被さりそれを聴こえにくくする。

なので超低音再生のスペシャリストであるサブウーファーが活躍するのだが、とは言いつつも高性能なドアスピーカーであれば、最低音まではスムーズに出せなくてもある程度のところまでなら超低音を再生できなくもない。なので低音再生能力が比較的に優れたミッドウーファーを使う場合には、サブウーファーを導入しないという選択肢も浮上してくる。低音の再生レンジは多少は狭くなるかもしれないが、省コスト化と省スペース化が図れる。さらには、サウンドコントロールもしやすくなる。ゆえに、総合的にはむしろより良い結果が得られたりもするのだ。

しかしながらこの方法論は難易度が高い。ドア内部の音響的なコンディションを高めるための作業である“デッドニング”の完成度もできる限り上げる必要があるからだ。それが果たせないとドアスピーカーでスムーズに超低音を奏でられない。つまり、「サブウーファーを敢えて使わない」というこだわり方は、より上級者向きのアプローチであると言って良い。

“小型・薄型”のパワードサブウーファーの取り付け例(ミューディメンション・Black Box X8)。

“手軽であること”にこだわるのであれば“小型・薄型”のパワードサブウーファーが狙い目に!

さて、そのようなアプローチも有り得てはいるものの、低音増強を行おうと思ったときには「サブウーファー」を導入した方が話が早いことも、また確かだ。

では実践方法を説明していこう。まずは“手軽さ”にこだわった方法論から。もしも低音増強をより手軽に実行したいと思ったら、“小型・薄型”のパワードサブウーファーを導入するのが最善手となる。

パワードサブウーファーとは、「サブウーファーユニット」と「ボックス」そして「パワーアンプ」とが一体化した製品だ。つまり、超低音を再生するための必要なものがすべて同時に手に入る。なのでこれならば、配線と固定を行えば即、音が出せる。なおこれは、このように簡単に低音増強を行えるので、「チューンナップサブウーファー」とも呼ばれている。

で、パワードサブウーファーの中でも“小型・薄型”のモデルを選べば、シート下に取り付けることも可能となる。そうであれば、クルマとしての実用性(乗車定員やトランクの積載性)を犠牲にすることなく目的を果たせる。

ところで最近の“小型・薄型”のパワードサブウーファーは、ひと昔前と比べて高性能化が進んでいる。なのでリーズナブルな製品の中にも、ある程度満足のいく低音を鳴らせるモデルが増えている。

ただし、運用にあたっては注意すべきこともある。それは「各種設定を正しく行う」というものだ。導入のハードルが低いのは確かなのだが、設定はシビアに行うべきだ。例えば、大きな音量で鳴らしたいからといって入力ボリュームを上げすぎると、低音が歪みがちとなる。なので、各種設定はカーオーディオ・プロショップに任せた方が良い。覚えておこう。

“ボックスタイプ”のパワードサブウーファーの一例(カロッツェリア・TS-WX70DA)。

フロントスピーカーとの性能バランスも考えるベシ!

なお、より上級な“小型・薄型”のパワードサブウーファーを使えば、効果のさらなる上積みも期待できる。再生レンジが伸びたり一層パワフルな低音を鳴らせたりもする。

また、フロントスピーカーに良いものを使うのであれば、それとのバランスも取りたいところだ。ミドルグレード以上のフロントスピーカーを使っているのなら、もしくは今後スピーカーのグレードアップが視野に入っている場合には、それに見合うモデルを選んでおいた方が良いだろう。

あるいは、“小型・薄型”ではない“ボックスタイプ”のパワードサブウーファーを選ぶという手もある。そのようなパワードサブウーファーは筐体がより大きくなるのでシート下へのインストールは行えず、トランクルームに設置することとなり積載性を多少は犠牲にせざるを得なくなる。しかしそのかわり、より本格的な低音を手にできる。“小型・薄型”のモデルと比べてサブウーファーユニットの振動板のストローク量が大きくなるので、震わせられる空気の量も多くなる。結果、より体に響く重い低音を鳴らしやすくなるのだ。

ただし、コントロールの難易度も少々上がる。“小型・薄型”のパワードサブウーファーと比べてリスナーとの距離が遠くなるからだ。なので“ボックスタイプ”のパワードサブウーファーを導入するのであれば、コントロール機能が多彩なメインユニットか、もしくは何らかのプロセッサーの導入も視野に入れたい。それらを使うことで音質性能的なアドバンテージを一層引き出しやすくなるからだ。低音増強を図ろうとするときには、システムの“サウンドチューニング能力”のテコ入れをした方がベターであることも、頭に入れておこう。

今回は以上だ。次回もサブウーファーの導入に関する“こだわりポイント”の解説を続行する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《text:太田祥三》

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