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追求するほど楽しさ倍増! カーオーディオの“こだわりポイント”を大解説 Part4 外部パワーアンプ編 その4 「スペック」について

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外部パワーアンプの一例(シンフォニ/クワトロリゴ・プレステジオ)。全 3 枚写真をすべて見る

どんな趣味であれ、それをより深く楽しもうとすればするほど、さまざまな部分にこだわりたくなる。カーオーディオでも同様だ。当特集では、その“こだわりポイント”の1つ1つについて解説している。当回では、外部パワーアンプのスペックについて考察する。

スペックは参考程度に見るにとどめよう。しかし、読み方を知っておいて損はない!

外部パワーアンプ選びをしようとするとき、各製品のカタログを見るとさまざまなスペックが目に入る。さて、スペックについてもこだわるべきなのだろうか…。

結論から入ろう。スペックは参考にはなるけれど、買うべきモデルを決定する決め手にはなりにくい。こだわるべきはカタログ数値ではなく、実際の音だ。

とはいえ、各スペックの意味を知ることは有益だ。それにてすべてを判断できないとはいえ、どのような特徴なのかを垣間見られる。

では、主要なスペックの意味を説明していこう。まずは「定格出力」から。これは、「設定された歪み率の範囲内で連続的に取り出せるパワー」のことを指す。で、数値が大きければ大きいほど、余裕を持ってスピーカーを鳴らせるパワーアンプだと推察できる。さらに言うと、パワーが大きい方が抑揚表現が上がる可能性も高まる。瞬間的に大きな音を出しやすくもなるからだ。

しかし、音の質までは推し量れない。パワーは1つの性能ではあるものの、パワーの大きさにこだわりすぎる必要はないだろう。

ただし、使用するスピーカーとのバランスは、ある程度は気にしたい。とはいえこの点についてはケースバイケースな部分もあるので、ショップのアドバイスを参考にすると良いだろう。

なおこれに似たスペックとして「最大出力」がある。こちらは、「瞬間的に定格出力を越えて供給できるパワー」のことを指す。というわけで、「定格出力」と「最大出力」とでは測定の仕方が異なっているので、これらはまったく別のスペックだと理解しよう。なので、パワーを比較する際にこれらを混同してはいけない。「定格」なら「定格」で統一して見比べるべきなのだ。

外部パワーアンプの一例(モレル・MPS 4400)。

「周波数特性」や「S/N」も気になるスペックではあるけれど…。

続いては、「周波数特性」について説明する。これは「比較的に良好に再生できる周波数の範囲」を表す数値だ。単位は「Hz(ヘルツ)」で表される。

で、この数値の範囲が広い方がなんとなくの安心感が高まるものの、その再生音のクオリティまでは分からない。なので、当スペックで示されている範囲が広いからと言って、そのパワーアンプが高性能かどうかは一概には結論付けられない。ゆえに、この数値にもとらわれすぎない方が良いだろう。

あと「S/N」も目が行きがちな数値の1つだが、これについても参考程度に見るにとどめたい。なおこれは、信号(シグナル=S)と雑音(ノイズ=N)との割合を示すスペックだ。そして分母にくるのはノイズの方なので、数値的は大きい方が優秀ということになる。とはいっても、異なるメーカーの製品の当数字を単純比較して優劣を判断するのは早計だ。なぜなら、測定上の結果と音楽を流すときのノイズの現れ方には少なからず異なる要素もあり、また、メーカーごとの測定コンディションが完全にイコールかというとそうとも限らないからだ。

ただし試聴をする際には、聴感上の「S/N」の良し悪しは気にしよう。高性能なパワーアンプほど聴感上の「S/N」が良好だ。例えば「S/N」の良いパワーアンプで再生すると、音がない瞬間の静寂感が高まる。さらには各楽器の音の分離感も良くなる。1音1音をくっきりと表現できるようになるからだ。

というわけで「S/N」は、パワーアンプ選びをするときの重要な判断基準の1つとはなるが、カタログ上の数値で判断するものというよりも「聴いて感じ取るもの」という意味合いが濃い。このこともぜひ、頭に入れておいていただきたい。

外部パワーアンプの一例(カロッツェリア・PRS-A900)。

「ダンピングファクター」も重要な要素だが、数値だけでは判断し難い…。

次いでは「ダンピングファクター」について説明する。これは、「スピーカーを止める能力」を表す数値だ。スピーカーは振動板を動かして空気を震わせ音を伝えるものなのだが、振動板は動き始めると慣性力が働くのですぐには止まれない。しかし「ダンピングファクター」が高いパワーアンプは、比較的に素早く振動板を止められる。結果、音の滲みが少なくなったりハギレの良いサウンドを出しやすくなる。

なので、サブウーファーを鳴らすパワーアンプ選びをする際には特に、「ダンピングファクター」が重視されがちだ。低音を鳴らすためのスピーカーは振動板が大きくなるので、慣性力もより大きくなる。ゆえにしっかりと止める力が備わっていることの重要度も高くなる。

とはいえ、「ダンピングファクター」が表示されていないパワーアンプもあり、そしてこれについても数値の単純比較でこの能力の高低を正確に推し量るのは難しい。なのでこれについても、試聴した上で判断したい。つまり「ダンピングファクター」もスピーカー選びの1つの判断材料となるのだが、聴いて判断すべきもの、というわけなのだ。

ところで「聴いて判断すべき」とは言いつつも、パワーアンプはスピーカーと比べてカーオーディオ・プロショップの店頭に用意されている試聴機の数が少なめだ。なので、実際のところは聴いて選ぶのが難しかったりもする。ではどうすると良いのかと言うと、「ショップに通う頻度を高める」、これが得策となってくる。そうするとユーザーカーを試聴できる機会が増える。使われているスピーカーがそれぞれで異なるので単純比較はできないものの、それでもいろいろなクルマの音を聴いてみると、パワーアンプの性能がどう影響しているかを判断する経験値が積み上がってくる。

また、ショップのアドバイスも大いに参考にするべきだ。インストーラーたちはいろいろなパワーアンプを試し、多くのモデルについてそれぞれがどのような特徴であるのかを経験している。また、店頭での「試聴会イベント」も貴重な機会と成り得る。足繁く通っていると、その情報もいち早く掴める。

今回は以上だ。次回もカーオーディオにおける「こだわりポイント」の解説を続行する。乞うご期待。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《text:太田祥三》

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