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鍵は「“位相”を合わせられるかどうか」にアリ!「サウンドチューニング」実践講座 Part3 クロスオーバー編 その9

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「クロスオーバー」の設定画面の一例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。全 8 枚写真をすべて見る

カーオーディオシステムの最終的なサウンドクオリティは、「サウンドチューニング」の巧拙によっても変わってくる。なおその設定は難しく操作はプロに任せた方が確実だ。しかし併せて自分でやっても楽しめる。ゆえに当連載では、自分で行う際のコツを解説している。

現在は、ドアスピーカーとサブウーファー間の「クロスオーバー」調整の仕方を説明している。ここまでは「クロスポイント(音楽信号を帯域分割する際の境目)」と「スロープ(信号をカットする際の減衰率)」の決め方を解説してきた。それに引き続いて今回からは、「位相切り替えスイッチ」の設定方法を解説していく。

ところで「位相」とは何なのかについては4回前の記事にて詳しく説明したが、まずはその内容を簡単におさらいしておきたい。「位相」とはざっくり、「音波のタイミング」だとイメージしてほしい。音は、空気中を上下に波打ちながら進んで行く。静かな水面に石を投げ入れると水面に波紋が広がるが、音はその波紋と同じような動きを繰り返しながら空気中を進んでいくのだ。

で、複数のスピーカーが存在するとき、各スピーカーから放たれた音の「音波のタイミング」が揃うかどうかが問題となる。現在説明しているのはドアスピーカーとサブウーファー間での話なのだが、この2つについても同様だ。「クロスポイント」付近の音は、ドアスピーカーとサブウーファーの両方から聴こえてくるが、そのそれぞれの音の「音波のタイミング」が揃う(同期する)必要があるのだ。

同期するとドアスピーカーの音とサブウーファーの音が上手く繋がる。つまり、一体感が出る。しかし同期しないと、両者の音が上手く繋がらない。なお、「音波のタイミング」が同期した状態のことは「位相が合っている」と称され、上手く同期していない状態のことは「位相がズレている」と称される。

ところで本来であれば「音波」は、「0度」のところからスタートする。そしてまずは盛り上がりある程度の高さまで行くと下降を始め、高さ的に「0度」のところに一旦戻る。その後そこから沈み込みまた「0度」の高さのところに戻ってくる。ちなみにこの状態のことは「正相」と呼ばれている。

ところがスピーカーの配線のプラスとマイナスを逆にすると、「音波のタイミング」が逆になる。高さ的に「0度」のところをスタート地点とすることには変わりがないが、沈み込む動きからスタートして、その後に盛り上がりそしてまた下降する。つまり「180度」ズレるわけだ。で、この状態のことは「逆相」と呼ばれている。

かくして「位相切り替えスイッチ」を操作すると、「正相」と「逆相」とが入れ替わる。それにて「位相」を合わせれば良いのだが…。実をいうと、話はそれほど単純ではない。「位相」を合わせる操作は、実際はなかなかに難しい。

難しいポイントが何なのか、そしてどうすれば上手く「位相」を合わせられるかについては、次回の記事にて詳しく解説する。お読み逃しのなきように。

《text:太田祥三》

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