スポーティなクルマが大好きな塩川さんが選んだのBMW M4。このクルマに高音質でデザイン性豊かなオーディオをインストール。岩手県のサウンドフリークスが技術とセンスを駆使して作り上げた渾身のオーディオカー後編はコクピットまわりをとくとご覧あれ。
ドアをワンオフ加工してミッドバスを取り付け
グリーンの差し色を効果的に使った処理が光る
ラゲッジに圧巻のインストールを施した塩川さんのBMW M4。ラゲッジではグリーンを差し色として使ったデザインが個性を発揮していたが、コクピットにも随所にグリーンの差し色を使った処理が施され、インテリア全体のデザインの統一感が図られている。
中でもインストール上の見どころとなったのはドアだ。純正から大幅に加工、ほぼドアを作り替える工程を経てRSオーディオのミッドバスをインストールしている。バッフル面はグリーンとグレーを切り替えで用いる2トーンのデザインを投入。しかもステッチを施すという念の入れ方。バッフル面にここまでのデザイン性を取り入れるインストールも他では滅多に見られないだろう。
さらにドア下部の作り込みも入念。バッフル部のラインに合わせてドア後方のパネル面につながりを持たせるプレスラインを造形している。まるで純正にあったかのような繊細なデザイン処理もインストーラーのセンスとスキルの高さを思わせる完成度だ。グリーンの差し色はドアハンドル部分にも用いられ、コクピット全体を統一感あるデザインで仕上げたのも狙い通りのインストールデザインだ。
RSオーディオのハイエンドスピーカーをチョイス
ツイーター&ミッドレンジの取り付けにも注目
このクルマに用いたスピーカーユニットはRSオーディオの3ウェイモデルとなるRSマスター3(Limited T28 Version)をチョイス。同モデルで思い描いたサウンドを現出させる。オーナーは従来からハイエンドなスピーカーを使っていたが、より力強いサウンドを目指してRSオーディオの同モデルにスイッチ。「走りの良さに音が負けない」ことをテーマに迫力満点で押し出し感の強いサウンドとハイファイサウンドを融合させた。
ミッドバスは先にも紹介した通りドアの各部をワンオフ加工してアウターバッフルによって設置する。加えてミッドレンジ&ツイーターのスピーカー群はAピラー&ドアミラー裏に取り付ける。やや大きめのグリルデザインを備えるミッドレンジによって大きく張り出すAピラー加工だが周辺デザインを工夫してスマートに納めているのも見どころ。ツイーターはドアミラー裏にパネルを処理してスマート納めた。中高域スピーカーを隣接させ中高域の統一感を引き出しているのも狙い通り。
これらのスピーカー群をコントロールしているのはラゲッジに納められたブラックスDSPだ。ダイレクターはコンソール中央下部にビルトイン取り付けされ、操作性はもちろんデザイン性でも優れた仕上がりとなった。音、デザイン、使い勝手と三拍子揃ったクルマを目指したオーナーの思いが結実したコクピットとなった。
DAPに加えてオーディオPCやCDなど
多彩な音源を再生できるプレイヤー環境を完備
このクルマのもうひつとつの見どころは音源の多彩さだろう。普段使いはオーディオPCであるオリオスペックのカナリーノ12VにSSDを接続して大量の曲を自由自在に再生して楽しんでいる。コントロールはカナリーノ12Vと接続したiPhoneで行っているのもスマート。大量の曲を手元操作できるのが魅力だ。
一方、コンペなどでここいちばんのサウンドを求める場合に用いるのがiBassoのDAPであるDX220MAX。音数の多さから搭載したオーディオシステムの性能を余すところなく発揮させる場合に用いる高品質の音楽プレイヤーだ。
さらにグローブボックス下部に取り付けられているのはカロッツェリアのCDプレイヤーであるRS-D7X。メモリー音源が普及した現在でもCDを聴き続ける塩川さんは、DAPやUSB系のオーディオに完全移行するのではなく、CDの良さを体感してきたベテランらしくきっちりとCDプレイヤーを使える状態にセッティングしてあるのもこだわりだ。
超ハイエンドなシステムをハイレベルなインストールによって処理し、インテリアの完成度を究極まで引き上げたM4。コンペで高いレベルで戦えるサウンドはもちろん、普段使いの快適性までを兼ね備えオーナーの良き相棒になった。これからも徐々にシステムアップを施して、オーナーにとっても究極のシステム&デザインを目指すという。今後の進化にも注目のクルマだ。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。
《text:土田康弘》