トランクルームに込めたデザインと高音質へのこだわりを紹介した前編に続いて今回注目するのはコクピット。フロント3ウェイをインストールするコクピットまわりは、取り付けを実施した岩手県のサウンドフリークスがスマートでシンプルなデザインを完成させた。
BMWのドアに6.5インチミッドバスを
設置するためドア下部をワンオフ加工
前編でお伝えしたトランクルームにはアイデア満載のインストールが施されていたが、後編の今回紹介するコクピットまわりのデザイン上のテーマになったのは派手になりすぎず、純正イメージを崩すこと無く、なるべくシンプルに仕上げることだった。
注目したのはドアへのインストールだ。BMW523dの純正ドアは中央部に純正スピーカーグリルを備える近年のBMWにありがちな構造。そのためベンチャーオーディオの6.5インチサイズのミッドバスであるDD-6.5を取り付けるために、ドアの下半分をワンオフしてアウターバッフルを作り上げている。
加工はスピーカー周辺だけに止まらずドア下部を全面的に製作したのがポイント。スピーカーグリルから後方に伸びるプレスラインや、シートボタンなどを移設するなど、いかにも純正にありがちなデザインとしているのもオーナー望んだ通りの仕上がり。インテリアに溶け込む統一感のあるドアデザインを作り上げた。
バッフル面をブラックとした上でグリル周囲のリム部分をシルバーペイントでフィニッシュ。アルミ調のイメージを塗装で表現しているのも見どころ。落ち着いたデザインの中にもキラリと光る個性をしっかり込めている点も見事なインストールとなった。
ミッドレンジ&ツイーターの取り付けにも
シルバーリングを使った統一デザインを投入
フロントスピーカーに選んだのはドアの説明でも紹介したベンチャーオーディオだ。ミッドレンジにはDD-Be1.5X、ツイーターにはDD-2SRを組み合わせたフロント3ウェイを構築。ツイーター&ミッドレンジの中高域スピーカー群はドアミラー裏&Aピラーにインストールされる。
ここでもインストールデザインのキーワードになっているのはシルバーのリング処理だ。ミッドバスでも同様のフィニッシュを込めたが、ミッドレンジ、ツイーターにもユニットの周囲にそれぞれシルバーペイントを施したリングを装着。ダークカラーのピラー&ドアミラー裏のベースパネルに対してスピーカーの存在感をアピールすることに成功。モノトーン仕上げにすることで派手になりすぎないというオーナーのニーズもくみ取ったデザイン処理となった。
サブウーファーにも同じくベンチャーオーディオのDD-10をチョイス。前編のトランクルーム側から見たこだわり満点のエンクロージャーを紹介したが、その作り込みに見られるとおり低音への思い入れはハイレベルだ。トランクスルーから振動板をのぞかせる構造で車室内に質の高い低音を導入することができる。
車載オーディオプレイヤーを使って
車内で使い勝手の良い再生環境を作り上げた
オーディオプレイヤーには車内での使いやすさを考えてオーディオテクニカの車載メディアプレイヤーであるAT-HRP5をチョイス。メニュー画面などを純正ディスプレイに表示させ、リモコンを使ったコントロールが可能なので使い勝手が良いのがオーナーのお気に入り。
音声信号はヘリックスのハイエンド・プロセッサーであるDSPウルトラに伝送され、ハイレベルな処理を施した上でモスコニのパワーアンプ群に出力されるシステム。純度の高い信号を好みのユニットを使って再生するという渾身のシステムデザインができ上がった。
操作&表示部であるダイレクターはオーバーヘッドにホルダーをワンオフして設置。ここでも見やすく操作し易いことをテーマにした取り付けを実践した。大きな加工を施すこと無く純正っぽさを崩さない加工を心がけつつ、しっかりとユーザーフレンドリーなコクピットを作り上げたのもオーナーのニーズに沿ったものだった。
ベンチャーオーディオのスピーカーとモスコニのパワーアンプを融合させて、好みのサウンドを作り上げた佐々木さんのBMW523d。コクピットまわりのインストールでは派手さを抑えたデザインで大人のムードを醸し出した。普段使いできる高音質車室内空間がこうしてでき上がった。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。
《text:土田康弘》