お気に入りのスピーカーを見つけ出した須田山さん。ランクルではチョイスしたモレルの音を最大限引き出すことがテーマになった。フロント3ウェイシステムを構築し取り付け面では青森県のingraphが高いデザイン性のインストールを実施した。
アウターバッフルにはラゲッジと同色の
ブラウン系の人工スエードを使た上質仕上げ
モレルのサウンドに惚れ込んだ須田山さん。「定位感がピタリと定まる、音色も好みの方向性」だという自身が感じているモレルのサウンドの傾向に全幅の信頼を置いてクルマ作りが始まった。前編でお伝えした通り、ラゲッジにはモスコニのパワーアンプ群をインストールし、モレルの持っている良さを徹底して引き出すことのできるシステムを構築することになった。
そして、このクルマのクライマックスとなるのはもちろんモレルをインストールしたフロントステージだ。スプリーモ602(2ウェイシステム)にイレイトカーボンのミッドレンジを加えた3ウェイは多くのコンペユーザーにも用いられている実績のあるスピーカーシステムのひとつだ。好みのサウンドであることに加えて、コンペでの戦闘力を高めるクルマへと仕上げた。
インストール面で見どころとなったのはドアのアウターバッフルだ。デザイン性豊かなバッフルにはモレルのスプリーモ602のミッドバスユニットをインストール。バッフル面にはラゲッジで使ったのと同色のブラウンの人工スエードを使って処理。外周部をレザー処理するコンビネーションも上質で、純正ドアの形状とのマッチングも絶妙の仕上がりとしている。
サウンドに惚れ込んで導入したツイーター
インストールはシンプルかつ上質な仕上がり
フロントスピーカーのクライマックスは実はツイーターだ。オーナーの須田山さんは「ピッコロIIのヌケの良い高域が好みのサウンドです」とモレルサウンドの中でも、定評のあるツイーターであるピッコロIIの再現する音を高く評価している。そんなツイーターはAピラーの高い位置にインストール、その真下にはイレイトカーボンのミッドレンジをインストールするスタイルを採った。
スピーカーロケーションにも徹底してこだわり、ステージの広さや奥行き感などにも配慮した取り付けとした点もオーナーのこだわりポイント。ピタリと決まる定位の良さを求めた須田山さんのリクエストに応える取り付け&調整が施されることになった。
取り付け面では中高域のスピーカーユニットのインパクトが強いだけにインストールは抑えたデザイン。Aピラーはグレーの人工スエードでフィニッシュし、インテリアの純正カラーにも溶け込むデザインとしている。イレイトカーボンのミッドレンジに合わせてピラー外周部を盛り上げて造形しているが、滑らかなラインとしていることから違和感のない仕上がりとした。
ダイレクターの取り付けも内装イメージを
守りつつデザイン性も兼ね備えた高度な処理
インストールが完成してから半年掛けて綿密に調整を施したこのランクル。ヘビーなシステムだけにエージングも含めて細部の煮詰めにも十分な時間を掛けて仕上げていったのだという。でき上がったサウンドはオーナーも納得。定位感はもちろん音色までもオーナーが思い描いた方向性に仕上がった。
クラシックを中心に聴くオーナーの須田山さん、音楽プレイヤーにはオーディオコンペでも戦えるウォークマンのNW-WM1Zをチョイスし多数の音源を収録し楽しんでいる。定評のある高音質ユニットを使うことで、音の上流からクオリティの高い信号伝達を目指した。
センタークラスター下部にある小物入れスペースを加工して取り付けられているダイレクター。ブラックスDSPをコントロールするコクピットのセンターユニットだが、純正デザインにうまく融合させたビルトイン処理が秀逸だ。シルバーのオシャレなクラスターまわりのパネル処理がこのランクルの魅力のひとつだが、イメージを損なうこと無くダイレクターをビルトインした処理が美しい。
好みのサウンドを追求したユニット選びと、それを活かすためのシステム構築、そしてクルマのイメージに合わせたインストールと、すべてを高レベルで仕上げたランクル。オーナーの思いがたっぷりと詰め込まれた絶品オーディオカーとなった。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。
《text:土田康弘》