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システムを“本格化”させたければコレを使うベシ! カーオーディオ『用語解説・2021』 Section 7・外部パワーアンプ編 第1回

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外部パワーアンプの一例(フォーカル・FPX 4.800)。全 8 枚写真をすべて見る

カーオーディオでは専門用語が使われることが多いが、それらの意味が分かってくるとカーオーディオが俄然面白くなってくる。当連載はそれをサポートするべく、重要度の高い専門用語の中身を1つ1つ説明している。

「パワーアンプ」に“外部”という語句を付ける理由とは…。

今回からは新章に突入し、「外部パワーアンプ」に関する用語を解説していく。

ところで、カーオーディオで使われる「パワーアンプ」にはなぜに“外部”という単語が組み合わされるのだろうか。

その理由は単純明快だ。カーオーディオシステムの核となるユニットである「メインユニット」にも、「パワーアンプ」が内蔵されている。それと区別するために、単体の「パワーアンプ」には“外部”という語句が付けて呼ばれることが多いのだ。

ちなみにいうと、かつては「パワーアンプ」が内蔵されていない「メインユニット」も存在していた。で、そのような機器はハイエンドモデルである場合が多かった。つまり、「外部パワーアンプ」を組み合わせてシステムを組むことが前提となっていて、「パワーアンプ」を持たないかわりに音楽信号を読み取る機能にコストを集中し、「ソースユニット」としてより高性能に仕上げられていた。

しかし現在は、ほぼすべての「メインユニット」がオールインワンタイプとなっている。「ハイエンドメインユニット」も同様だ。

というわけなので、言ってしまうとカーオーディオシステムを完成させるためには「外部パワーアンプ」は特には必要ない。ではなぜに「外部パワーアンプ」が存在しているのかと言うと…。

その答もまた明解だ。「内蔵パワーアンプ」は能力的な限界値が低いからだ。「内蔵パワーアンプ」もとりあえずスピーカーを動かせるだけの性能は備えているが、「メインユニット」の筐体はかなり小さい。そのボディの中に収められる「パワーアンプ」には、高性能を望み難い。

対して「外部パワーアンプ」にはサイズ的な制約が特にはない。ゆえにより高性能なモデルに仕上げるべく、大きくて質の良いパーツがおごられている。

結果、「内蔵パワーアンプ」と「外部パワーアンプ」とでは、“別モノ”と言うほどの性能差がつく。かくしてより良い音を得ようと思えば、「外部パワーアンプ」はむしろ“必須アイテム”となるのだ。

外部パワーアンプの一例(DLS・CCi44)。

「内蔵パワーアンプ」には“コスト的な制約”も重くのしかかる…。

なお、「内蔵パワーアンプ」と「外部パワーアンプ」との能力差が開く理由はもう1つある。それは「内蔵パワーアンプ」にはコスト的な制約も重くのしかかるからだ。価格がある程度高く設定されている「ハイエンドメインユニット」ならまだしも、一般的なメインユニットは価格競争を勝ち抜くためにある程度リーズナブルに仕上げる必要がある。例えばスタンダードな「AV一体型ナビ」で売価が10万円程度である場合、その10万円というコストの中でナビユニット、TVチューナー、CD/DVDメカ、プロセッサー、そしてパワーアンプまでを用意しなくてはならない。結果、「パワーアンプ」には大してコストをかけられない。

しかし「外部パワーアンプ」は信号を増幅することだけにコストを集中できる。例えば10万円の「外部パワーアンプ」は、10万円のすべてを「パワーアンプ」の性能のためだけに注げる。ゆえに、同じ10万円の「AV一体型ナビ」の「内蔵パワーアンプ」とは歴然とした差が生まれる。

ちなみに、「パワーアンプ」はコストと性能がある程度比例する。コストをかければかけるほど性能はどんどん向上していく。なので100万円を超えるような高級機が作られることもある。そしてそれは、価格に見合うだけのポテンシャルを発揮する。

で、「内蔵パワーアンプ」と「外部パワーアンプ」とではどのくらいの差が出るのかというと…。この両者では例えば、「定格出力」に大きな違いが出る。なお「定格出力」とは、設定された歪み率の中で連続的に取り出せるパワーのことを指すのだが、一般的な「メインユニット」に内蔵されている「パワーアンプ」の「定格出力」は大体、20W前後だ。

対して「外部パワーアンプ」のそれは、手頃なモデルでも50W程度が確保されている場合が多い。そしてグレードが上がると100Wを超えることもざらだ。またパワーに磨きがかけられているモデルでは、それほどグレードが高くなくても200Wを超えてくることもある。

外部パワーアンプの一例(モレル・MPS 4.400)。

「定格出力」と「最大出力」とを混同しないようにご注意を!

ところで「外部パワーアンプ」のカタログスペックを見ると、「定格出力」のそばに「最大出力」が記載されていることが多いが、この2つのスペックもまた“別モノ”だ。

ちなみに「最大出力」とは、瞬間的に取り出せる最大パワーのことを指す。で、こちらは実用的なスペックではない。対して「定格出力」はいわば実用上の最大パワーだ。ということで、複数の「パワーアンプ」の性能を比較しようとするときにはこの2つを混同しないように気を付けたい。

さて続いては、「ch数」について説明していく。「外部パワーアンプ」には実は、「ch数」違いがさまざまある。具体的には以下のようなものが存在している。「1chモデル」「2chモデル」「4chモデル」、このあたりまでがスタンダードで、「5ch」から「8ch」くらいまでの「多chモデル」もある。

なお「ステレオ音源」は演奏が左右の「2ch」に分けて録音されているわけなので、「ステレオ再生」を行うには「外部パワーアンプ」は「2ch」が確保されていればOKだ。しかしカーオーディオにおいて使われることがもっとも多いのは実は、「4chモデル」だ。

その理由はズバリ、使い勝手が良いからだ。クルマには大抵リアスピーカーも装着されている。「4ch」が確保されていればフロントスピーカーのみならずリアスピーカーも「外部パワーアンプ」で鳴らせる。またはフロントスピーカーとサブウーファーの両方を1台のパワーアンプで鳴らすこともでき、さらには「4ch」のすべてをフロントの2ウェイスピーカーを鳴らすために使うというようなシステムレイアウトの構築も可能となる。「4chパワーアンプ」なら、さまざまな使い方を実行できるのだ。

今回は以上だ。次回も「外部パワーアンプ」に関する用語の解説を続行する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《text:太田祥三》

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