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追求するほど楽しさ倍増! カーオーディオの“こだわりポイント”を大解説 Part6 ケーブル編 その3 パワーケーブルにこだわる!

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パワーケーブルの一例(M&Mデザイン)。全 3 枚写真をすべて見る

カーオーディオには、さまざまな“こだわりポイント”がある。そしてそれぞれにこだわればこだわるほど、音を良くできたりより快適に音楽を楽しめたりする。当特集では、その1つ1つについて掘り下げている。

現在はケーブルについて考えている。今回は、パワーケーブルに関する“こだわりポイント”を解説していく。

パワーケーブルは構造がシンプル。しかし、高級素材が使われたハイグレードモデルも多々ある!

まずパワーケーブルとは、電源配線を行うためのケーブルだ。つまり音楽信号を伝送するためのものではないので、「どんなケーブルを使っても同じなのでは?」と思う向きもあるかもしれないが、そうではない。

パワーケーブルにおいてもグレード違いがいろいろとあり、価格差も結構大きい。例えばリーズナブルなモデルでは1mあたりの価格が数百円のものもある一方で、1mあたり1万円を超えるモデルもある。そして高級品はやはり高いだけのことはあり、電気をより効率的にそして質良く供給できるので、それが音質にも効いてくる。

なおパワーケーブルは、ラインケーブルやスピーカーケーブルと比べると、構造は至ってシンプルだ。プラグが装着されているわけでもなく、プラス線とマイナス線が一体化されているわけでもない。1本単位で製品化されていて、しかも、中の導体を被膜で覆うだけの構造となっている場合が多い。

とはいえ、導体の質はモデルによってさまざまだ。超高級なモデルでは、超高級なスピーカーケーブルに使われているのと同等な高級素材が使われている。そして被膜にも断熱性や絶縁性や耐振動性を上げるための工夫が多々盛り込まれた製品もある。価格の違いはそういったところに現れる。

というわけなので予算の許す範囲の中でより良いものが選べるとベターだが、実は、グレードの選定と同様に見極めるべき大事なポイントが1つある。それは「太さ」だ。

パワーケーブルは他のケーブルとは異なり、同一モデルで太さ違いがさまざま用意されていることが多い。それはなぜかというと、使う機器によって消費電力が異なるので、それに見合った太さのケーブルを使う必要があるからだ。なお、必要な長さによっても使うべきケーブルの太さが異なってくる。なのでカーオーディオ・プロショップは、機器の消費電力と長さを考慮して太さを決めている。

パワーケーブルの一例(オーディオテクニカ)。

使用上の“こだわりポイント”もさまざまある!

そしてパワーケーブルに関しては、使用上の“こだわりポイント”も色々とある。まず外部パワーアンプの電源配線においては基本的に、“バッ直”と呼ばれる配線方法が実践される。これは、プラス電源をメインバッテリーから直接引き込む配線方法のことを指す。

ちなみに何らかの後付けの電装品を使うとき、プラス側の配線をメインユニットの裏側から取ったりヒューズボックスから取ったりすることがあるが、外部パワーアンプの使用においてそのようなやり方では必要な電力を安定的に確保し難い。他の電装品と電源供給ラインを共有することとなるので、他の機器の作動状況によって瞬間的に電力不足になることもあり、共有する電源線が細いと恒常的に電力が不足することもある。

電力不足が起こるのを避けたい理由は以下のとおりだ。外部パワーアンプは電力あってこそ良い仕事を行える。逆に十分な電力量が確保されなければ、持ち得ている性能を十分に発揮できない。つまり、良い音で音楽を聴けなくなってしまうのだ。そうであれば外部パワーアンプを導入する意味がなくなる。

しかし“バッ直”を行えば、状況をシンプル化できる。外部パワーアンプが必要とする電力をダイレクトに引き込めるようになり、動作が安定し音質も向上する。

ところで、“バッ直”をするにあたっては1点、忘れてはいけない事項が存在している。それは「ヒューズの設定」だ。エンジンルーム内の適切な場所に適切なスペックが確保されたヒューズを取り付けることがマストとなる。これが必要となる理由は次のとおりだ。クルマは、ボディ(車体)をマイナス線として活用している。そうすることで配線を簡略化できるからだ。ゆえに“バッ直”も基本的にはプラス線の1本だけを配線すればOKだ(マイナス線は外部パワーアンプのそばでボディアースすれば良い)。

しかしながらボディに電気が流れていると、とある危険なことが起こり得る。それは「ショート」だ。

パワーケーブルの一例(チェルノフケーブル)。

「ショート」が起こると、最悪、車両火災が発生!?

「ショート」とは、プラス線とマイナス線がダイレクトに繋がってしまう状況のことを言う。例えば、“バッ直”のケーブルがシートのレールにはさまり断線したとしよう。そうしてむき出しになった導体がボディに触れてしまうと、「ショート」が起きる。そうすると抵抗となるものがなくなるので、大量の電気が一気に流れる。結果、ケーブルの被膜は熱で溶け出し、その熱によって車両火災が発生…、なんてことも起こり得る。

しかしヒューズを設定しておけば規定量以上の電気が流れると切れるので、電気の流れが瞬時に止まる。ヒューズを付けても「ショート」を防ぐことはできないが、「ショート」したら即、「ショート」を終わらせられるというわけなのだ。

そして、マイナス側の配線においても、留意すべきことが多々ある。まず肝心なことは、通電性の良いポイントを見極めることだ。塗装されている部分にアースを落とさないことや、アースポイントの汚れを落としてから作業する等の基本に加え、よりしっかりと電気が通る場所を探すことが肝要となる。そして、プラス線と太さやグレードが同様のケーブルを使うことも基本項目となる。

ちなみに、マイナス線も“バッ直”されることがある。そうすることでマイナス線の状況もシンプル化できる。ただし、手間やコストもかかってくるので、これを実行するか否かは、仕事を依頼するカーオーディオ・プロショップとよく相談してほしい。

あと、リモートの配線にもこだわりが注がれる場合がある。リモートとは、外部パワーアンプをオン/オフさせるための配線だ。このケーブルに上質なものが使われたり、“バッ直”のケーブルから電源を供給して電位差をなくす工夫がされたりもする。これについても仕事を依頼するカーオーディオ・プロショップとよく相談してみよう。そして有効な作戦がありそうだったらそこにもこだわると、より良い結果が得られることもある。

今回は以上だ。次回はラインケーブルに関する“こだわりポイント”を解説する予定だ。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《text:太田祥三》

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