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連載「カーオーディオユニットの選び方」詳細解説! Part3「サブウーファー編」 その1「タイプ解説」

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サブウーファーの取り付け例(製作ショップ:AVカンサイ宝塚店)。全 3 枚写真をすべて見る

カーオーディオを趣味とするとき、製品チョイスの過程も楽しむべき重要ポイントの1つとなる。その楽しさを一層豊かなものにしていただくべく、製品の選び方のキモを解説している当連載。今回からは新たな章に突入し、サブウーファーをテーマに展開していく。

まずは、サブウーファーが必要な理由を知るベシ!

カーオーディオでは、超低音をスムーズに再生するのが難しい。その主な理由は、ドアスピーカーの口径にある。ドアに取り付けられるスピーカーの口径はせいぜい17cmクラスまでだ。この大きさでは、超低音を良好に再生するのが困難なのだ。

というのも、スピーカーが再生可能な帯域の範囲は、振動板の大きさと密接に関連する。振動板が小さくなればなるほど高域を再生しやすくなり、大きくなるほどに低音を鳴らしやすくなる。で、この17cmという口径では、ざっくり100Hz以下の帯域の再生は不得意になりがちだ。さらに50Hz以下の超低音ともなると、なんとか鳴らせたとして質良く再生できるモデルは少数だ。

そして、ドアスピーカーに超低音までを担当させようとすると、ドア内部の音響的なコンディションを整える作業である“デッドニング”を手厚く行う必要性も高まる。超低音はエネルギーが大きいのでてドア内部の鉄板を共振させる等の弊害を生みやすい。ゆえにそれへの対策をより入念に行わなければならなくなるのだ。

また、走行中にタイヤが路面を蹴ることで発生する“ロードノイズ”が低音を聴こえにくくする。なぜなら“ロードノイズ”は主には低周波であるので、音楽の低音成分に覆い被さってくるからだ。

こういったもろもろの理由により、カーオーディオでは超低音の再生を担当するサブウーファーが用いられることが多くなっている。そしてこれを使えば、ドアスピーカーが苦手とする超低音再生をスムーズに行えるようになり、かつドア内部の音響的なコンディションの改善作業もしやすくなる。そして“ロードノイズ”対策にもなる。結果、音楽の臨場感や迫力が上がり、さらには音の土台がしっかりすることで中音や高音にも好影響がもたらされる。良いことずくめ、というわけなのだ。

パワードサブウーファーの一例(DLS)。

手っ取り早く低音強化をしたいなら、「パワードサブウーファー」がお薦め!

さて、そんな頼れるアイテムであるサブウーファーだが、タイプ違いがさまざまある。今回はまず、大きな分類について説明していこうと思う。サブウーファーは大きく、以下の3タイプに分類できる。1つが「パワードサブウーファー」で、2つ目が「ボックスサブウーファー」、3つ目がユニットサブウーファーだ。

それぞれがどのようなものなのかを解説していこう。まずは「パワードサブウーファー」から。これはつまり、サブウーファーユニットとボックスとパワーアンプ、この3つが一体化したタイプの製品だ。音を出すにはこの3つが絶対的に必要だ。サブウーファーユニットは空気を震わせる役割を負い、ボックスはドライバーユニットの裏側から発せられる音を閉じ込める(コントロールする)役割を担う。そしてパワーアンプはドライバーユニットを動かすための原動力となる。「パワードサブウーファー」は、あらかじめこれらがコンプリートされているので、導入がしやすい。あとはケーブル等のショートパーツを用意して(それらが同梱されているモデルも多い)、配線作業を行い本体を車両に固定すれば音が出せる。

なお、「パワードサブウーファー」にもタイプ違いがいくつかあるのだが、大きくは以下の2つに分類できる。1つが「小型・薄型モデル」、もう1つが「大型モデル」だ。前者の場合はシート下への取り付けも可能となるので、特に導入のハードルが低い。対して「大型モデル」はトランクに装着することになる場合がほとんどで、積載性への影響が少なからず出てくる。なのでその点は不利要因とはなるが、ボックスが大型化する分迫力ある低音を出しやすくなる。

ボックスサブウーファーの一例(カロッツェリア)。

理想のサウンドを追求したい場合には「ユニットサブウーファー」が力を発揮!

続いては「ボックスサブウーファー」について説明していこう。これは大型の「パワードサブウーファー」からパワーアンプが省かれたもののことを指す。ゆえにこのタイプのサブウーファーをセレクトする際には、好みのパワーアンプを組み合わせられる。そこが最大のメリットとなる。

そしてもう1つの「ユニットサブウーファー」とは、サブウーファーが裸の状態で売られているもののことを指す。つまり、ボックスをワンオフする必要があり、パワーアンプも別途用意しなくてはならないので、導入のハードルは高くなる。しかし、サウンド設計を自由に行える。ボックスは設計の仕方によって鳴り方が変わる。なので、どんなサウンドが欲しいかを鑑みて自由にボックスを設計できる。さらには、組み合わせるパワーアンプでも最終的なサウンド傾向が変化する。そこでも、組み合わせの妙を楽しめる。

なお、「ボックスサブウーファー」はあらかじめボックスが完成されているので、ボックス設計に趣向を凝らせないところが不利要素となるのだが、サブウーファーユニットを設計したメーカーが用意する箱なので、そのサブウーファーユニットに適した仕様であることは確かだ。なので、失敗がない。この点は「ボックスサブウーファー」の強みだ。

ちなみに、今回ここで解説した3タイプの中で製品バリエーションがもっとも多いのはズバリ、「ユニットサブウーファー」だ。もっとも導入のハードルが高いにもかかわらず、多種多様にリリースされている。そうである理由は、カーオーディオとは「創意工夫を発揮させることで楽しみが深まる文化だから」だろう。完成されたものを導入するよりも、未完成のものを手にしそれを自分にとってのベストな完成形へと持っていくことも、カーオーディオの醍醐味の1つだ。低音強化では、「ユニットサブウーファー」がもっともそれを満喫できる。

今回は以上だ。次回以降は各タイプごとでのチョイスのポイントを説明していく。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《text:太田祥三》

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