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追求するほど楽しさ倍増! カーオーディオの“こだわりポイント”を大解説 Part2 システム編 その3 “マルチアンプシステム”を楽しむ!

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単体プロセッサーの一例(プラグアンドプレイ)。全 3 枚写真をすべて見る

カーオーディオにはこだわるべきポイントがさまざまある。その1つ1つを掘り下げている当特集。現在は「システム」をテーマに据え話を進めている。その第3回目となる当回では「マルチアンプシステム」をフィーチャーし、これにこだわることの楽しさを徹底解説する。

「マルチアンプシステム」では、スピーカーをトルクフルに駆動できる!

まずは「マルチアンプシステム」とは何なのかを説明しよう。これはつまり、「スピーカーの1つ1つにパワーアンプの1chずつをあてがう」というシステム構成のことを指す。

なお、「マルチアンプシステム」の実践方法は主には3通りがある。「メインユニットの内蔵パワーアンプで実行する方法」、「パワーアンプ内蔵DSPで実行する方法」、「外部パワーアンプで実行する方法」、この3つだ。

で、「マルチアンプシステム」を組むことで得られるメリットは主には2つある。1つは「スピーカーの1つ1つをトルクフルに駆動できること」だ。

というのも、「マルチアンプシステム」を組まない場合には「パッシブシステム」を構築することとなるのだが、この場合にはパワーアンプの1chでツイーターとミッドウーファーの両方を駆動することとなる。ステレオ音源の左右のchの音声をそれぞれパワーアンプのAchとBchで増幅し、それぞれの信号を左右のパッシブクロスオーバーネットワークへと送り込む。そしてその中で音楽信号を帯域分割して、高域の信号をツイーターへ中低域の信号をミッドウーファーへと伝送する。

対して「マルチアンプシステム」では、パワーアンプの前段であらかじめ音楽信号の帯域分割が行われ、その上で例えばパワーアンプのAchで右のツイーターの信号を、Bchで左のツイーターの信号を、Cchで右のミッドウーファーの信号を、Dchで左のミッドウーファーの信号を、というようにそれぞれ個別に増幅してから各スピーカーへと信号を伝送する。

結果、パワーアンプの1ch分のパワーを1つのスピーカーに全注力できる。さらにはパッシブという回路を通さずダイレクトにスピーカーを動かせる。ゆえに各スピーカーをトルクフルに駆動できるのだ。

単体プロセッサーのコントローラーの設置例(フォーカル)。

「マルチアンプシステム」では、より詳細なサウンド制御が可能となる!

そして「マルチアンプシステム」のもう1つのメリットとは、「各スピーカーの個別制御が可能になること」だ。

多くの場合「マルチアンプシステム」では何らかのプロセッサーが用いられる。そしてそれに搭載されている「クロスオーバー」機能を使ってあらかじめ信号の帯域分割を行うので、それぞれの信号を1つ1つ詳細にコントロールできるようになる。ツイーターの信号とミッドウーファーの信号にそれぞれ独立して「タイムアライメント」機能を掛けられて、高機能なプロセッサーを使う場合には各信号ごとで「イコライザー」機能も適用させられる。

対して「パッシブシステム」では、ツイーターとミッドウーファーが別々の場所に取り付けられていても、それらを1つのスピーカーとして扱うしかない。取り付け位置が異なればそれぞれから放たれる音の到達タイミングもズレるが、そのズレを個別にアジャストさせることは不可能だ。さらには取り付け位置が異なるので、スピーカーから放たれた音のその後の車内での反射の仕方も各スピーカーごとで変わり、周波数特性の乱れ方もそれぞれで異なってくる。プロセッサーで詳細にコントロールしたいと思ったとき、「パッシブシステム」は不利だ。

なおここまで説明してきた2つのメリットは、「マルチアンプシステム」を構築する3つの方法のいずれでも享受可能だ。しかし、「マルチアンプシステム」の利点をとことん味わおうと思ったら、「外部パワーアンプを用いる方法」がアドバンテージを発揮する。より高性能なパワーアンプを使え、しかも好みの音がするモデルを選定できるからだ。

ちなみにこの場合においても、システムの構築法は2つある。1つは「メインユニットを核とする方法」で、もう1つは「単体プロセッサーを核とする方法」だ。

単体プロセッサーを用いて「マルチアンプシステム」を組むと、より楽しめる!

で、よりこだわりを発揮しようと思ったら、利があるのは「単体プロセッサーを核とする方法」の方だ。なぜなら「メインユニットを核とする方法」では、フロント2ウェイ+サブウーファーというスピーカーレイアウトまでしか「マルチアンプ駆動」できない場合が多いが、「単体DSPを核とする方法」では多くの場合、フロント3ウェイ+サブウーファーという本格スピーカーレイアウトの「マルチアンプ駆動」も可能となる。かつ単体プロセッサーの方が、よりきめ細やかなサウンドチューニングを実行できる場合が多い。

ところで、単体プロセッサー+外部パワーアンプという組み合わせで「マルチアンプシステム」をとことん楽しみ尽くそうとすると、システムがハイエンド化していく。音にこだわればこだわるほど、高性能なユニットに手を伸ばすこととなるからだ。

しかし最近は、お手軽な単体プロセッサーもさまざま登場している。なので、こだわりの「マルチアンプシステム」を“ライトに楽しむ”というアプローチも可能となっている。

さらに、外部パワーアンプにもリーズナブルでかつ小型化が図られたモデルも増えてきた。そのような外部パワーアンプを組み合わせればそれほどコストも肥大化せず、インストールスペースも取られない。さらに単体プロセッサーにも小型モデルを選べば、シート下にプロセッサーとパワーアンプの両方を設置できる場合もある。

もちろん、ハイグレードな単体プロセッサー+外部パワーアンプで構築する「マルチアンプシステム」の方がより高音質化が果たせることも確かだが、お手軽な単体プロセッサー+リーズナブルな外部パワーアンプという組み合わせでも、「マルチアンプシステム」ならではのメリットは十二分に得られる。本格的な「マルチアンプシステム」の楽しさを“ライトに楽しむ”のもアリだ。覚えておこう。

今回は以上だ。次回もカーオーディオならではのこだわりポイントの解説を続行する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《text:太田祥三》

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