カーオーディオでは、チューニングの巧拙も最終的なサウンドクオリティに大きな影響を及ぼす。とはいえその操作は難しく、本命の設定はプロに任せた方が安心だ。しかし、それと並行して自分でもやってみると楽しめる。
というわけで当連載では、自分でやる場合のコツを解説している。現在は、「クロスオーバー機能」の操作方法を説明している。今回はその最終回をお贈りする。
さて、これまでフロントスピーカーのツイーターとミッドウーファー間の「クロスオーバー」の設定方法を解説してきたが、それを完ぺきに仕上げるのは実のところ、かなり困難だ。しかしこれがばっちり決まると、スピーカーの性能をより引き出せる。というのも「クロスオーバー」の設定はまさしく、スピーカーの性能を引き出すためのものだからだ。
なおこの操作に慣れていない場合には、使用しているスピーカーに付属されている「パッシブクロスオーバーネットワーク」の値をそのまま再現し、そこから微調整を加えていくのもアリだ。「パッシブクロスオーバーネットワーク」の設定はつまりは設計者が考えた値であり、そのスピーカーにとってのいわば“基本値”だ。なのでそこをベースに設定すれば、大きく的を外すことはないはずだ。
そしてそこから微調整を加えていくと、どうすると音が変化するのかを知れる。その経験則を蓄えていくと、操作のコツがつかめてくる。
ところで微調整を加える際には、以下の点に留意しよう。まずは「ツイーターのカットオフ周波数を下げすぎないこと」が重要となる。どこからが危険ゾーンなのかはケースバイケースで一概には言えないが、通常鳴らす帯域よりも低い音の信号を入力するとツイーターは壊れることがある。くれぐれもご注意を。
そして、「位相を合わせる」意識を常に持つことも大切だ。「スロープ」の設定を変えると「位相」がズレる。そして「位相」がズレるとツイーターとミッドウーファーの音の一体感が損なわれる。そうなってしまったら、サウンドは悪い方向へと進むのみだ。「位相」を合わせることが、「クロスオーバー」設定のキモとなる。
また、各スピーカーの音量バランスを取ることも実に重要だ。ちなみにいうと、「パッシブクロスオーバーネットワーク」にて「クロスオーバー」を設定する場合には、フロント2ウェイの個々のスピーカーユニットの音量を厳密に調整できない。しかし「プロセッサー」にて「クロスオーバー」を設定する場合には、それが可能となる。この点も「プロセッサー」にてサウンドチューニングを行うことの大きな利点であり、ポイントとなる。
これらに注意しながらさまざま試し、そうして自分ならではのコツを会得しよう。「習うより慣れろ」の精神で、粘り強くトライを。
今回は以上だ。次回からは「タイムアライメント」の設定方法を解説していく。お楽しみに。
《text:太田祥三》