カーオーディオシステムの音は、製品の性能、取り付け方の良し悪し、そしてサウンドチューニングの巧拙、この3要素で決定付けられる。当連載ではそのうちの1つ、サウンドチューニングについて掘り下げている。
前回から新章に突入し、「クロスオーバー」という機能についての説明を開始した。まず前回は、当機能が「音楽信号の帯域分割を行う機能」であること等を解説した。それを踏まえて今回からは、当機能を扱おうとするときに知っておくべき用語について説明していく。
さて「クロスオーバー」とは要は、例えばフロント2ウェイスピーカーを使うときに、音楽信号をツイーター用の高音とミッドウーファー用の中低音とに分けるための機能なわけだが、別名で呼ばれることもある。
「信号を上下に分割する」という意味合いのときには「クロスオーバー」という名称が使われることの方が多いが、ことツイーター用の音楽信号にのみ着目する場合には、「高音信号だけを取り出すための機能」という意味合いで、「ハイパスフィルター」と呼ばれたりもする。ここでの“パス”は“通過する”という意味で、「ハイパスフィルター」とは「高音だけが通過する“ろ過装置”」という意味だ。
なお、さらに別名で呼ばれることもある。「下側の音をカットする」という意味合いで「ローカットフィルター」と呼ばれることもあるのだ。で、「ハイパスフィルター」と「ローカットフィルター」はまったくの同義語なのだが、使われる頻度が多いのは「ハイパスフィルター」の方だ。ビギナーからすると「ローカットフィルター」の方がしっくりくるかもしれないが、ツイーターにかける「クロスオーバー」はイコール「ハイパスフィルター」だと覚えておいた方が、後々混乱することは少ないはずだ。
というわけなので、ミッドウーファー用の信号に着目する場合には、ミッドウーファー用の音楽信号にかける「クロスオーバー」機能のことは、「ローパスフィルター」と呼ばれることも多い。これもあるいは「ハイカットフィルター」と呼ばれたりもするのだが、使われることが多いのはやはり、「ローパスフィルター」の方だ。
で、例えば「ハイパスフィルター」にて信号をカットするそのポイントのことは、「カットオフ周波数」と呼ばれている。
そしてこの「カットオフ周波数」という言葉にも、別の言い方がある。それは「クロスポイント」だ。これはつまり、音楽信号をツイーター用の高音とミッドウーファー用の中低音とに分割するその「境目」という意味の言葉だ。
今回はここまでとさせていただく。次回は「クロスポイント」に関して、もう一歩踏み込んで説明しようと思う。乞うご期待。
《text:太田祥三》