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アンプには、とある便利機能が付いている!? カーオーディオ『用語解説・2021』 Section 7・外部パワーアンプ編 第4回

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「外部パワーアンプ」が搭載されたオーディオカーの一例(製作ショップ・ジパング<鳥取県>)。全 7 枚写真をすべて見る

カーオーディオではとかく専門用語が使われるが、それらが“親しみにくさ”を感じさせる要因ともなっている。当連載はそういったイメージを払拭すべく展開してきた。今回はその最終回をお贈りする。

取り上げるのは「外部パワーアンプ」に搭載されている「クロスオーバー」機能だ。さて、これの使い道とは…。

「クロスオーバー」機能には、タイプ違いがいくつかある!?

実は「外部パワーアンプ」には、「クロスオーバー」機能が搭載されている場合が多い。で、これはどのような局面で活用されるのかと言うと…。

それを説明する前に、「クロスオーバー」とはどのようなものなのかを簡単におさらいしておこう。「クロスオーバー」とは、音楽信号を帯域分割する機能だ。そしてこれには、タイプ違いがいくつかある。

まず大きく2タイプに分類できる。1つが「パッシブ」タイプでもう1つが「アクティブ」タイプだ。この2つは以下の点が異なっている。前者は「パワーアンプ」の後段にて帯域分割を行うもので、後者は「パワーアンプ」の前段にて帯域分割を行うものだ。

なお「パッシブ」タイプの「クロスオーバー」は「パッシブクロスオーバーネットワーク」と呼ばれていて、多くの場合これは「セパレートスピーカー」に付属されている。つまり、スピーカーの一部、という側面も持っている。そしてこれは以下のような仕事をする。「パワーアンプ」にて増幅された後のフルレンジの音楽信号を受け、その信号をツイーター用の高音信号とミッドウーファー用の中低音とに分割し、それぞれをツイーターとミッドウーファーとに送り込む(2ウェイスピーカーの場合)。

対して「アクティブ」タイプの「クロスオーバー」は、「プロセッサー」と呼ばれる信号の制御を行うための機器に搭載されていて、その機器内でフルレンジの音楽信号を帯域分割し各信号を「パワーアンプ」へと送り込む。

したがって「アクティブ」タイプの「クロスオーバー」を使う場合には、例えば「フロントスピーカー」が2ウェイだった場合には、計4つあるスピーカーユニットを「パワーアンプ」の計4chを使って鳴らすこととなる。結果、スピーカーの駆動力が上がるので音が良くなる。で、このように1つ1つのスピーカーユニットに「パワーアンプ」の1chずつをあてがうシステムレイアウトのことは、「マルチアンプ接続」と呼ばれている。

「クロスオーバー」機能が搭載された外部パワーアンプの一例(DLS・CCシリーズ)。

「クロスオーバー」機能は、「サブウーファー」を鳴らすときにも活躍!

ところで「プロセッサー」に搭載されている「クロスオーバー」機能は、「フロントスピーカー」と「サブウーファー」間にも使われる。「サブウーファー」を導入する場合に音楽信号を「フロントスピーカー」用の信号と「サブウーファー」用の信号とに分割すると、「サブウーファー」が鳴らすサウンドをより緻密にコントロールできるようになり、かつ両方のサウンドをよりスムーズに繋げられる(一体感を出しやすくなる)。

で、「外部パワーアンプ」に搭載されている「クロスオーバー」機能は多くの場合、「フロントスピーカー」と「サブウーファー」間で使うためのものとして存在している。「サブウーファー」を鳴らす場合に「サブウーファー」帯域よりも上の信号をカットでき、その際の「フロントスピーカー」用の信号の「サブウーファー」帯域をカットできるようになっている。

ちなみに、使用している「メインユニット」に「サブウーファー出力」が備わっていると、「メインユニット」内で「フロントスピーカー」と「サブウーファー」間に「クロスオーバー」をかけられる。なのでそうであれば、わざわざ「プロセッサー」を別途導入する必要がなく、「外部パワーアンプ」に搭載されている「クロスオーバー」を使う必要もない。

しかし愛用の「メインユニット」に「サブウーファー出力」が備わっていない場合には、「外部パワーアンプ」に搭載されている「クロスオーバー」機能が役に立つ。これを使えば、「メインユニット」に「サブウーファー出力」が備わっていなくても、超低音をより良いコンディションで鳴らせるようになるのだ。

「クロスオーバー」機能が搭載された外部パワーアンプの一例(カロッツェリア・GM-D8400)。

「マルチアンプ接続」が可能になる「クロスオーバー」機能もある!?

なお「外部パワーアンプ」に搭載されている「クロスオーバー」機能の中には、ツイーターとミッドウーファー間にかけられる仕様となっているものもある。そうであると、「プロセッサー」を導入せずとも「マルチアンプ接続」が行える。

ただし、「外部パワーアンプ」に搭載されている「クロスオーバー」は、きめ細やかな設定は行いにくい。デジタルタイプの「プロセッサー」ならば、「クロスポイント(帯域分割するときの境目)」を緻密に設定できるが、「外部パワーアンプ」に搭載されている「クロスオーバー」では、「クロスポイント」の設定はツマミを回して行うこととなるのだが、そのときにその値を表示する機能がないので、アバウトな設定になりがちだ。

なので、「マルチアンプ接続」をしようとする際には、「プロセッサー」が導入されるケースが多い。そうすれば他のサウンドチューニング機能も使えるようになる場合が多くその点でも便利だからだ。つまり、そのようなタイプの「クロスオーバー」機能は、実際に使われるケースは少なめだ。

しかし「サブウーファー」を鳴らす場合には、「外部パワーアンプ」に搭載されている「クロスオーバー」機能が使われることは結構ある。もちろん「プロセッサー」を導入した方がより細やかなサウンドチューニングを行えることは同様だ。しかし「サブウーファー」は気軽に使われることも多く、そのような場合には「外部パワーアンプ」に「クロスオーバー」機能が搭載されていれば「プロセッサー」を導入しなくてもすむ。

というわけなので、もしも「外部パワーアンプ」で「フロントスピーカー」と「サブウーファー」の両方を鳴らそうとする場合には、「クロスオーバー」機能の有る無しは確認すべきだ。これが搭載されていると、「サブウーファー」をより良いコンディションで鳴らせるようになる。覚えておこう。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《text:太田祥三》

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