クルマの中で良い音を楽しもうとするときに大活躍するサウンドチューニング機能。その使い方を解説している当シリーズ。現在は「イコライザー」について説明している。今回も前回に引き続き、本格仕様の「イコライザー」の扱い方を解説していく。
さて、本格的な仕様の「イコライザー」とは、バンド数が13とか31あるもののことを指す。で、前回は、すべてを「フラット」な状態にした上で、1バンドずつ目一杯上げてみて「嫌な感じ(うるさい感じ)がするかどうか」を探ることについて解説した。もしも「嫌な感じ」が顕著に増大するのであれば、そのバンドでは「ピーク」が起きていると推測できる。そうであればそのバンドは下げる方向で設定するべきだと説明した。
それに続き今回は、それとは反対の状態である「ディップ」への対処法を紹介していく。
ところで「ピーク」とは、特定の周波数帯の音量が増大してしまう状況のことを言う。対して「ディップ」とは、特定の周波数帯の音だけが減衰してしまう状態のことを言う。で、これらがなぜに起こるのか、その理由を簡単に説明しておこう。
車内は狭いがゆえに音が幾重にも反射するのだが、平行面に挟まれた空間ではその間を音が行ったり来たりする。そのときその平行面の間隔と音波の長さが倍数の関係になったり割りきれる関係になると、音が増幅したり減衰したりするのだ。この増幅された状態が「ピーク」と呼ばれ、減衰した状態が「ディップ」と呼ばれている。
では、「ディップ」への対処法を紹介していこう。なお、これについては音楽ではなく、「ピンクノイズ」と呼ばれているテスト信号を使って行うとわかりやすい。
操作方法は以下のとおりだ。これも「イコライザー」の各バンドを1つずつ上げていくと見つけられる。「ディップ」になっている場合には、そのバンドを持ち上げても音量の変化幅が少ない。なのでそうであったら、そのバンドは少々持ち上げてやるとバランスが整う。
ただし…。とあるバンドを持ち上げても聴こえ方に変化が起きないこともある。そうであったらやっかいだ。そのバンドの音がキャンセリングにより消失していると推測できるからだ。そうであると、「イコライザー」を操作しても復活しない。
なので万が一そのような現象が起こっていたら、スピーカーを取り付けたカーオーディオ・プロショップにクルマを持ち込み相談しよう。そうなっている場合には、スピーカーの取り付け方を変更する等の物理的なチューニングを施すしかないのだ。
「ディップ」は至って深刻な現象だ。このようなことが起こり得ることも、頭に入れておく必要がある。覚えておこう。
今回は以上だ。次回も本格的な「イコライザー」の操作方法を解説していく。乞うご期待。
《text:太田祥三》