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サウンド制御を司る超重要アイテムとは? カーオーディオ『用語解説・2021』 Section 5・コントロール関連編 第3回

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『フォーカル・FSP-8』のサウンドチューニング設定画面。全 8 枚写真をすべて見る

とかく専門用語が使われることが多いカーオーディオ。当連載ではその用語の1つ1つ1を解説しながら、カーオーディオへの興味を深めていただこうと試みている。現在は、サウンド制御に関連した用語にスポットを当てている。今回は「プロセッサー」について説明する。

「メインユニット」には必ず、なんらかの「プロセッサー」が内蔵されている!?

ちなみに一般的に「プロセッサー」と言えば、コンピューターに内蔵されている演算装置のことを指す。対してカーオーディオにおいての「プロセッサー」とは、音楽信号の制御を行うための装置のことを指す。

なおひと口に「プロセッサー」と言っても、タイプ違いがさまざまある。まず「メインユニット」には必ず、なんらかの「プロセッサー」が内蔵されている。例えばベーシックなモデルでも、左右の音量バランスを調整する「バランス」と、前後の音量バランスを調整する「フェーダー」、そして高音と低音の音量を変えられる「トーンコントロール」、これらが搭載されている。これらも立派なサウンド制御機能であり、これらの操作を行うための回路部分は「プロセッサー」と言って良い。

そして「メインユニット」のグレードが上がっていくと、「プロセッサー」部の能力も上がっていく。「トーンコントロール」より調整できるバンド数が多い「イコライザー」が搭載されるようになり、さらには、「フロントスピーカー」と「サブウーファー」に対してそれぞれの再生範囲を設定できる「クロスオーバー」という機能が搭載されるようにもなる。で、さらに「メインユニット」のグレードが上がっていくとこの「クロスオーバー」も高度化し、「フロント2ウェイスピーカー」の「ツイーター」と「ミッドウーファー」に対しても運用できるようになる。

また、各スピーカーユニットの発音タイミングをコントロールできる「タイムアライメント」という機能を搭載する機種もあり、もっともハイグレードなモデルともなると「イコライザー」のバンド数が「31」までに上がる。

このようにできることは各機ごとで異なるが、「メインユニット」には「プロセッサー」も必ず内蔵されている。

『フォーカル・FSP-8』のサウンドチューニング設定画面。

高機能な「プロセッサー」が搭載されている機種とは?

ちなみに、“ハイエンド”と呼べるほどの高機能な「プロセッサー」を搭載した機器はそれほど多くはない。「AV一体型ナビ」の中では、以下の機種がそれに該当する。三菱電機の『ダイヤトーンサウンドナビ』、カロッツェリアの『サイバーナビXシリーズ』、『車種専用10V型サイバーナビ』、『サイバーナビ』、アルパインの『ビッグXシリーズ』、これらだ。

そして「プロセッサー」にはあと2タイプが存在している。まずそのうちの1つが、「単体プロセッサー」だ。「単体プロセッサー」とはその名のとおり、「プロセッサー」としてのみ機能するユニットだ。つまりサウンドチューニングを行うことに特化した機器、というわけだ。

なお、「単体プロセッサー」にも2タイプがある。1つがアナログタイプで、もう1つがデジタルタイプだ。ちなみに、デジタルタイプの「プロセッサー」は、「DSP」と呼ばれることも多い。「DSP」とは「デジタル・シグナル・プロセッサー」の略称だ。で、アナログタイプとデジタルタイプは、音楽信号をアナログ状態で処理するかデジタル状態で処理するか、ここが異なる。

ところで、現代カーオーディオにおいての主流はデジタルタイプの方だ。アナログタイプの「プロセッサー」もさまざまな機種があるけれど、使われている台数は圧倒的にデジタルタイプの方が多い。

その理由は単純明快だ。デジタルタイプの方が詳細な設定を行えるからだ。特に、「タイムアライメント」という機能が使えることが違いとして大きい。当機能は音楽信号をデジタル状態にて処理するからこそ可能となる機能だ。「DSP」は実は、「タイムアライメント」が使えるからこそ普及したと言っても過言ではない。それほど当機能は、現代カーオーディオでは重宝されている。

「単体プロセッサー」の一例(フォーカル・FSP-8)。

「単体プロセッサー」は導入のハードルが高い。なので今は、「パワーアンプ内蔵DSP」が人気!?

なお「単体プロセッサー」をシステムに導入する際には、「外部パワーアンプ」も併せて用意しなければならない。というのも、信号の制御は音楽信号が微弱な状態のままで行いたい。なので「プロセッサー」には「メインユニット」の「内蔵パワーアンプ」で増幅される前の信号を入力すべきで、もしも増幅後の信号しか入力できない場合にはそれを一旦「DSP」内部で微弱な状態に戻してから制御されることとなる。ゆえに、「単体プロセッサー」の後段には自ずと「外部パワーアンプ」が必要となるのだ。

というわけで「単体プロセッサー」は、上級者向きのアイテムとなっている。音を追求しようとするときにはベストなチョイスとなるのだが、ある程度はシステムが大型化するのでコスト的にもインストールスペース的にもハードルが上がってしまうからだ。

ところで、そのハードルを下げられるアイテムも存在している。それは、「パワーアンプ内蔵DSP」だ。これはその名称のとおり、「DSP」と「外部パワーアンプ」とが一体化したアイテムだ。これならば別途「パワーアンプ」を用意しなくても良いので、コスト的にもインストールスペース的にもハードルが下がる。なので昨今は「パワーアンプ内蔵DSP」は人気が高い。結果、各社からさまざまな製品がリリースされていて、ユーザーは自分にピッタリな1台を選びやすくなっている。

例えば、コンパクトであることと廉価であることが徹底されたモデルもあれば、逆に高音質であることにこだわったハイスペックモデルもある。そしてその中間的なタイプもさまざまある。

ただし「パワーアンプ内蔵DSP」は、システム発展はさせにくい。「外部パワーアンプ」の接続ができない場合がほとんどだからだ。ゆえに、もっとハイグレードな「パワーアンプ」を使いたいと思ったときには買い替えるしかない。なので、購入する際の機種選定は、他のユニット以上に慎重に行いたい。

今回は以上だ。次回以降は、サウンドチューニングの各機能に関する用語解説を行っていく。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《text:太田祥三》

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