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“クラス”が変わると音も変わる!?「外部パワーアンプ」、貴方ならどう使う? Part8「動作方式」もチェックすベシ

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「AB級パワーアンプ」の一例(シンフォニ/クワトロリゴ・プロデジオ)。全 7 枚写真をすべて見る

カーオーディオシステムを本格化させたいと考えたときには、「外部パワーアンプ」の出番となる。当特集では、これを使うメリットから使い方、そして現在は選び方を解説している。今回は、チェックポイントの1つとなる「クラス」について説明していく。

各モデルの特徴を知るには、「クラス」をチェックすると参考になる!

「外部パワーアンプ」には、「クラス違い」がいくつかある。なお、「外部パワーアンプ」においての「クラス」とは、製品の“等級”を表すものではなく、“動作方式”、つまりは動かし方の違いを表すものだ。なのでこれにて良し悪しを推し量れるわけではないのだが、どのようなタイプなのかを知る参考にはなる。ゆえに、それぞれの特徴を知っておくことは必要だ。

さて、カーオーディオの「外部パワーアンプ」では主に、以下の3タイプが存在している。「A級」「AB級」「D級」、この3つだ。なお「D級」は特別なタイプなので、最後に詳しく解説する。というわけでまずは「A級」と「AB級」について説明していく。

ちなみにいうと、本当はもう1つ「B級」という動作方式も存在している。そして「A級」と「B級」は、タイプとして対象的な存在となっている。

それぞれの特徴は以下のとおりだ。「A級」は、小出力ながら高品位な音を出しやすいとされている。しかし効率が悪く消費電力も多い。ゆえに熱を持ちやすい。そして扱いが難しい場合もある。消費電力を計算して使わないと、クルマのバッテリーの負担が大きくなりすぎることもあるのだ。

対して「B級」は、効率が良く大出力を出しやすい。しかしながら歪みが出やすく音的には不利だ。なのでカーオーディオの「外部パワーアンプ」でこの動作方式を採用しているモデルは見当たらない。

で、「AB級」とは、「A級」と「B級」の中間的な存在だ。つまり両者の良いところ取りがされている。結果、ある程度効率が良く大出力タイプも作れる。そして音的にも良好だ。なので、「A級」と「AB級」の比較で言うと、カーオーディオでは「AB級」がスタンダードだ。最近は「D級」のモデルも増えていて、サブウーファー用の「外部パワーアンプ」は「D級」である場合がほとんどなのですべてをひっくるめると「D級」モデルも多くあるが、「AB級」の「外部パワーアンプ」も相当にバリエーションが豊富だ。

「A級パワーアンプ」の一例(シンフォニ/クワトロリゴ・プレシジョンワン)。

ちょっと背伸びをして1グレード上のモデルを狙うと、満足度の高い「外部パワーアンプ」を手にできる!

ところで、「A級」の方が絶対的に音が良いというわけではないので、そこのところは誤解のなきように。確かに「A級」のモデルは高級品である場合が多く上質なサウンドを奏でるモデルが多々あるが、「AB級」の超高級モデルもさまざまある。なので、好みのモデルを探すには結局のところは試聴をして判断するしかない。

なお「A級」のモデルにはどちらかというと温かみのあるサウンドを持ち味とするものが多い傾向にはある。とはいえ「AB級」のモデルの中にももちろん、温かみのあるサウンドを特長としているモデルもある。サウンドの特長は一概には言い難い。

ちなみに、「A級」も「AB級」も、価格が高くなればなるほど性能が上がっていくことは確かだ。というのも「外部パワーアンプ」は、品質を上げようしたときには物量を投じるとどこまでも高性能化していく。「A級」と「AB級」とでは動作方式が異なるとはいえ、基本的な仕組みはそれほど大きくは違わない。どちらも言ってしまうと工業製品としては仕組みは割とシンプルだ。

そういうタイプの工業製品は得てして、使用するパーツに贅を尽くせば尽くすほど、どんどん高性能化していく場合が多い。

ゆえにカーオーディオ用の「外部パワーアンプ」は、価格の開きがとても大きい。5万円以下のエントリーモデルがある一方で、100万円を超えるモデルもいくつかある。

なので、価格的なクラスが上がると性能もそれなりに上がっていく。というわけなので、ちょっと背伸びをして1グレード上のモデルを選ぶと、満足度の高いモデルを手にしやすくなる。

「D級パワーアンプ」の一例(カロッツェリア・PRS-D800)。

「D級」モデルはコストパフォーマンスが高い!

続いては、「D級」について説明していく。最初に「D級」の動作方式を簡単に解説しておこう。「D級」の「外部パワーアンプ」では、入力した音楽信号をいったん「0」と「1」のパルス信号へと置き換えてから増幅する。そして最後にはまた元のアナログ信号に戻す。このような動作方式となっている。

このような仕組みであるがゆえに、「D級」は高効率で小発熱だ。つまり、使用する電力が熱に変わってしまう比率がとても少ない。そして大出力を取り出しやすい。しかも小型化も効く。

ちなみに言うと、かつては「D級パワーアンプ」というとサブウーファー用である場合がほとんどだった。高効率で大出力を取り出しやすいからだ。さらにはサブウーファー用のパワーアンプには、振動板をレスポンス良く動かす能力と振動板をしっかりと止める能力の両方が求められる。「D級」は、その部分においても優れた性能を発揮する。そのこともサブウーファー用の「パワーアンプ」としてもってこいなのだ。

その一方で「D級」は音質性能的には不利があり、フルレンジの「外部パワーアンプ」には不向きだった。それもあってサブウーファー用である場合が多かったのだが、音質性能的に見劣るというのはもはや過去の話だ。今では音の良い「D級」パワーアンプはたくさんある。しかも超小型化が図れるので取り付け性が高く、今では主流になりつつもある。

ちなみに「D級パワーアンプ」は、コストパフォーマンスが高い場合が多い。物量を投じなくても高性能化が図りやすいからだ。逆に言うと、超高級モデルは数が少ない。つまり、使いやすいモデルが多くなっている。

今回は以上だ。次回は、特別な「外部パワーアンプ」の使い方を紹介していく。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《text:太田祥三》

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