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電源配線の“安全性”を支える重要ショートパーツとは? カーオーディオ『用語解説・2021』 Section 4・アクセサリー編 第2回

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「ヒューズホルダー」の一例(グラウンドゼロ)。全 4 枚写真をすべて見る

カーオーディオを楽しもうとするとき、専門用語の知識も必要となる。当特集では、それらの意味を1つ1つ解説している。現在は、「アクセサリー」に関連した用語に焦点を当てている。今回は、電源配線に関する語彙を説明していく。

「ショート」という危険な状態を終了させる、頼れるパーツがある!?

前回はまず、各種ケーブルの名称等について解説した。それに引き続いて今回は、「パワーケーブル」の「ワイヤリング(引き回し作業)」をする際に使われる「アクセサリー」について説明していく。

さて、前回の記事の中で触れたとおり、「外部パワーアンプ」や「パワードサブウーファー」のプラス電源は多くの場合、車両のメインバッテリーから直接電源を引き込む「バッ直」と呼ばれる配線方法が実行されるのだが、その際には必ず「ヒューズ」が設定されることとなる。

「ヒューズ」とは、電気回路に多大な電気が流れたときに溶けて(切れて)電流を遮断してくれるという安全パーツだ。ちなみにクルマには「ヒューズボックス」が設定されていてそこには「ヒューズ」が多々装着されている。で、何か電装品が使えなくなったときにはその「ヒューズボックス」を点検すると、切れた「ヒューズ」を発見できることがある。そんなときはその切れた「ヒューズ」を交換すれば問題を解決できる…、かというと、実はそうではない。

というのも基本的に、「ヒューズ」はトラブルの原因となるものではないからだ。「ヒューズ」はむしろ、トラブルから車両や電装品を守るためのものである。そのトラブルとはズバリ、「ショート」だ。

ちなみに「ショート」という語句にはさまざまな意味があるのだが、電気回路に関して使われる「ショート」というワードには、「プラスとマイナの導線がダイレクトに繋がってしまう状態」のことを指す。そうなると「抵抗」がなくなるので一気に大量の電気が流れ出す。「ヒューズ」はその「ショート」が起こったときに、自ら切れて「ショート」の状態を終了させてくれるものなのだ。

なので、「ヒューズボックス」を点検してもしも切れた「ヒューズ」を発見したら、回路のどこかでトラブルが起こっていることを疑おう。そのトラブっている箇所を見つけて対処しないと問題は解決されない、というわけなのだ。

「パワーケーブル」の一例(M&Mデザイン)。

「外部パワーアンプ」の電源配線の上流に「ヒューズ」を設定し、安全を担保!

なお、「外部パワーアンプ」を設置した際に「ショート」が起こるメカニズムは以下のとおりだ。前回も説明したとおり、クルマのボディにはマイナス側の電気が流れている。電気配線を簡略化するために、ボディがマイナス側の導線の役割を果たしているからだ。ゆえに例えば、「バッ直」している「パワーケーブル」がシートレールに挟まれて切れたとしたら、その切れた導線とクルマの金属部分が触れ合うと「ショート」が起こる。

そして「ショート」が起こると、一気に大量の電気が流れ出したちまちのうちにケーブルが溶け出す。そして最悪、車両火災に発展する。

しかし「ヒューズ」を設定しておけばそれを防げるわけだが、「ヒューズ」はどこに設置しても良いというものではない。ベストな設置場所は「メインバッテリーの割とすぐそば」、これがセオリーだ。メインバッテリーから離れたところに設定すると、バッテリーと「ヒューズ」の間のどこかで「ショート」が起こったときにそれに対応できない。「ヒューズ」のところまで電気は流れないからだ。つまり「ヒューズ」は、「ショート」が起こった場所の上流になければならないわけだ。ゆえに「ヒューズ」は、電気の流れの最上流に設置する。結果、エンジンルームの中のどこか安全性が確保できる場所に設定されることとなる。

なお、「ヒューズ」を設定するためには「ヒューズホルダー」が必要となる。その中に「ヒューズ」を入れて配線の途中に組み込み、安全に固定すれば「ヒューズ」の設置を完了できる。

「リングターミナル」の一例(モンスターカーオーディオ)。

「リモート」を繋ぎ「ボディアース」も行えば、電源系の配線は完了!

ところで「外部パワーアンプ」を接続する際には「リモート」という配線も行わなければならない。これはつまり、「外部パワーアンプ」のオン/オフを司るための配線だ。多くの場合、「メインユニット」の裏の「リモート端子」と「外部パワーアンプ」の「リモート端子」とをケーブルで繋げばそれにて配線作業を完了できる。こうすることで、「メインユニット」のオン/オフと「外部パワーアンプ」のオン/オフが連動する。

そしてマイナス側の配線は。車両の金属部分にマイナス側のケーブルを接続することで完了できる。このことは「ボディアース」とか「グランド」と呼ばれている。

なお、「ボディアース」の実行においてもさまざまなコツがある。まず大事なことは、通電性の良い場所を見つけることだ。例えば、クルマのボディの多くの部分はなんらか塗装されているので、その塗装の上に端子を接続するのはNGだ。塗装されている上に端子を接続してもスムーズに電気は流れない。なので塗装がされていない場所を探すか、または塗装を削り取る必要がある。ちなみにプロは、テスターを用いて通電性がより良いポイントを探したりもする。

また、マイナス側の「パワーケーブル」は基本的に、プラス側の「パワーケーブル」と同じ太さのものが使われる。プラス側とマイナス側での電位差が生じないようにするためだ。

ちなみに、マイナス側の「パワーケーブル」の先端には何らかの「端子」が接続されることとなるのだが、そこで用いられるのは「平形端子」とか「リングターミナル」と呼ばれるものである場合が多い。それを、ボディにもともと開いているネジ穴等にネジで固定する。

今回は以上だ。次回も「アクセサリー」に関連した用語の解説を継続する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

《text:太田祥三》

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