ちょい古のユニット群をインストールしたこのゴルフ。ダイヤトーンならではの重厚なサウンドを引き出すため、北海道のAUDIO.VISUAL.SECURITY FISTと綿密な相談の上に導き出したシステムデザインが功を奏し、狙い通りの方向性のサウンドを再生する。
オールドスクールなシステムを使い
現代流のデザインを施したラゲッジ
オーディオユニットは大切に扱っていけば長く使える耐久性の高い製品が多い。しかも趣味性が高いので必ずしも新しいユニットが良いとは限らず、好みのサウンドを奏でるユニット群をメンテナンスしつつ長く使い続けるユーザーも多い。そんなオールドスクールなシステムデザインを徹底したのがこのクルマだ。自分の耳にフィットしたユニットだけを厳選して採用し、それを愛車に使い続けているという。少しずつ好みのサウンドを追求しユニットを厳選した完成形がこのシステムだ。デザイン面でも見どころ満載のクルマに仕上がったのでチェックした。
ラゲッジのカスタムスタイルは見せる要素と実用面がうまく融合したフラットインストールを実施。ゴルフのラゲッジをほぼ全面使ってオーディオボードを組み込み、大型のパワーアンプ×1台、サブウーファー、パッシブネットワークをレイアウトする。アクリル×人工スエードに加え間接照明を使ったインストールスタイルは上品で落ち着いた仕上がり。カバーを掛ければ荷物も載せられる実用性も兼ね備えているのも見どころだ。
存在感あるa/d/s/のパワーアンプを中心に
少数精鋭のユニット群が主張するラゲッジ
こだわりユニットの筆頭になるのがa/d/s/のパワーアンプであるPH30.2 ISHIDA Tuningだ。かつての名機であり、国内で特別なチューニングを施された特別モデルとしてマニアに高い評価を受けたパワーアンプだ。同モデルのサウンドに惚れ込んだオーナーも、長らくこのモデルを使い続けている。やや大型のパワーアンプだけにインストールした際の存在感は満点。オーディオボードの左サイドに縦に設置され、ラゲッジの前後いっぱいに及ぶスペースを使い切って収めたスタイルが独特。フェイスパネルは全面をヒートシンクなのもインストールした際のラゲッジデザインのアイキャッチにもなっている。
ラゲッジ右側にインストールされるのはダイヤトーンのサブウーファー・SW-G50だ。フロントスピーカーに同社のDS-SA3を使っていることから、同ブランドのサブウーファーを組み合わせることを目的にチョイスされた。ダイヤトーンのスピーカーが持つ“重厚で音楽性豊か”な面を高く評価したオーナーがシステムしたスピーカー群となった。
さらに右奥にはフロントスピーカーとして用いているダイヤトーン・DS-SA3のパッシブネットワークをインストール。システム的にはダイヤトーン・サウンドナビ+パワーアンプとし、パッシブネットワークを使ったシンプルなシステムとしているのもこのクルマの特徴。パッシブを使うことでダイヤトーンの狙ったサウンドをストレートに表現することも狙いとなっている。
アクリル使いや間接照明など
見せる効果満点のラゲッジデザイン
ラゲッジにフラットに組まれたオーディオボードだが、カバーを開けると見せる要素が随所に込められている。そのひとつが各ユニットの取り付けスタイルだろう。パワーアンプやパッシブは単にフラットに取り付けるのでは無く、いったんパネル面を彫り込み一段下がった位置に設置する工夫が込められる。ユニット回りに陰影を付け、それぞれのユニットの存在感を強調する効果がある。
さらにフロアパネルはグレーの人工スエードで処理し、パネルの周囲から照らし出す間接照明を受けてオーディオボード全体を浮かび上がらせるデザイン。周囲には濃いグレーのベゼル処理を加え、その上にアクリルパネルを設置する積層構造を取ることで、フラットなインストールに奥行きを感じさせる演出も加えた。
気に入ったユニットを長く使い続けるオーディオユーザーの典型例を紹介した今回。ダイヤトーンやa/d/s/などのブランドに対する思い入れも強く、そのサウンドをこよなく愛しているのがわかるインストールとなった。次回の後編ではフロント回りを紹介していく。こちらもダイヤトーンをメインユニットに使った構成で、一貫したオーナーの狙いが見えてくる。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。
《text:土田康弘》