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初めてのスピーカー。選ぶならどれ? 2万円~3万円台の注目機、6機種比較テスト!! Part.3

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エントリースピーカーの比較テストを実施した。価格帯は2万円台から3万円台。というのも、この価格帯には良品がひしめいていて、製品選びが実はなかなかに難しい。初めてのスピーカーを選びたいと思っても、判断材料が少なく、混迷を極めることになりかねない…。

というわけなので、製品選びの指針にしていただくべく、当特集を企画した。セレクトしたモデルは計6機種。連載3回目となる今回は、最後の2機種についてのインプレッション・リポートをお伝えしていく。

なお、今回の6機種はすべて、イース・コーポレーションがディストリビュートしている製品だ。であるので、試聴は同社の試聴室にて実施した。

使用したリファレンスパワーアンプは、「ロックフォード・フォズゲート」の『T600-4』(税抜価格:12万円)。敢えて上級アンプを使い、各機の特長を十二分に引き出そうと試みた(4chモデルだが、フロントchのみを使用してテスト)。USBケーブルに「チェルノフケーブル」の新製品を使い、その他のケーブルは「モンスターカーオーディオ」で揃えた。バッテリーには日本初上陸を果たしたばかりの「XSパワーバッテリー」を使用した。

6機種中、唯一の新製品。なんと、注目すべきスペシャルな特長を持っていた…。


グラウンドゼロ・GZRC 165AL-IV

では、本編に入りたい。5機種目としてテストしたのは、こちらのモデルだ。

【Entry No.5】
☆グラウンドゼロ GZRC 165AL-IV(税抜価格:3万8000円)
●仕様:16.5cm 2wayコンポーネントスピーカー
●最大入力:190W ●定格入力:120W ●公称インピーダンス:3Ω ●周波数特性:35Hz-26kHz ●能率:90.0dB ●取付穴直径:Φ142.5mm(ウーファー部) ●取付深さ:68mm(ウーファー部) ●スピーカーグリル(付属):サイズ(外径×高さ)Φ173×21mm
ドイツ発の気鋭ブランドである「グラウンドゼロ」。日本初上陸を果たしたのはつい数年前なのだが、今や、押しも押されもしない人気ブランドの1つとなっている。支持を集めている要因はズバリ、製品のクオリティが高いから、だ。口コミで良さが広まり、評判が評判を呼び、人気が定着した。

さて、当アイテムは今回の6製品中、唯一の新製品である。編集部としても、初めて目にするスピーカーだ。

まずは実機に触れて、早速期待が膨らんだ。しっかり感が高いのだ。フェライトマグネットが使われている磁気回路は大型で、スチール製のバスケットもいかにも剛性が高そうだ。また、ミッドウーファーの振動板はアルミニウム。高級感も十二分にある。

トゥイーターは25mmチタニウムドーム・タイプだ。ミッドウーファーの振動板と同様に金属系の素材であるので、音色的な繋がりも良さそうだ。装備されている砲弾型のスラントハウジングのルックスも良好。ダッシュボード上に取り付けたときに良い雰囲気を醸すことだろう。

ただし…。

当機はなかなかの“変わり種”でもあった。というのも、付属のパッシブクロスオーバーネットワークがなんと、“バイアンプ専用”であったのだ。バイアンプにも対応するパッシブは少なくないが、“専用”というのは珍しい。

ということなので、当機のみ、“バイアンプ接続”で試聴を行った。つまり、パワーアンプの4chすべてを使って鳴らしている。

なお、トゥイーターおよびウーファーの公称インピーダンスは3Ω仕様のため、“バイアンプ接続”せずそのままパラレル接続すると、合成インピーダンスは1.5Ωの低インピーダンスとなるので注意が必要だ。組み合わせるアンプとしてのお薦めは、2Ωステレオ接続対応の4chモデルだろう(例:GZIA 4115HPX-ll・税抜価格:3万4000円)。こういったタイプのアンプで“バイアンプ接続”するのがベストだが、もしも“バイアンプ接続”しないで使うときには対応を確認したい。

さて、実力のほどはいかに…。

使用するパワーアンプのコストが倍になった、ということであるので当然なのだが、そのサウンドはもはやエントリーモデルのそれではなかった。『T600-4』の実力がいかんなく発揮されている。まずは“バイアンプ接続”に利得があることを、まざまざと思い知らされた。

もちろん、当機が“バイアンプ接続”の良さを十二分に発揮できるポテンシャルを持っている、ということでもある。

良さとして際立っているのは、音の質感だ。滑らかさ、きめ細やかさが光っている。そして、リアルさも特筆的。手を伸ばせば触れられそうなほど、1音1音の実在感が高い。

低域も至って上質だ。生命力に溢れた生き生きとした低音を堪能できた。立ち上がりも素早く、止まるべきときはしっかりと止まる。磁気回路も優秀だ。

とにもかくにも、当機はユニークなスピーカーだ。“バイアンプ接続”が条件となるわけだが、結果、クラスを超えたサウンドが楽しめることは明白。パワーアンプ選びが悩ましいが、エントリーグレードのアンプでも特長は十分出るだろう。むしろ手軽なアンプで“バイアンプ接続”のメリットを楽しんだほうが、お得かもしれない。注目すべき逸品であることは間違いない。

素直で生真面目。クセのない自然なサウンドをお探しなら、有力な候補に。


いよいよ、最後の機種となった。トリを務めたのはこちらのモデルだ。

JLオーディオ・TR650-CSi

【Entry No.6】
☆JLオーディオ TR650-CSi(税抜価格:3万8000円)
●仕様:16.5cm 2wayコンポーネントスピーカー
●最大入力:75W ●定格入力:50W ●公称インピーダンス:4Ω ●周波数特性:59Hz-22kHz ●能率:91.0dB ●取付穴直径:Φ141mm(ウーファー部) ●取付深さ:62mm(ウーファー部) ●スピーカーグリル(付属):サイズ(外径×高さ)Φ171×22mm
大御所アメリカンブランドの1つである「JLオーディオ」。根強く、そして絶大に支持されている実力ブランドである。

製品ラインナップは多岐にわたりそれぞれがヒットしているが、伝統的にサブウーファーが充実しているブランド、というイメージも強い。グレード、タイプともに幅広く製品を有し、そして鳴りっぷりの良さでも定評がある。

スピーカーは、今年度中の発売が予定されている新製品『C7シリーズ』を加えると、計6グレードが用意されていて、初心者から上級者までのワイドなニーズに対応可能だ。

さて、当機『TR650-CSi』は、7シリーズ中の最エントリーシリーズに属するモデルである。インストール性を高めるべく、トゥイーターに対してのハイパスフィルターは、トゥイーター用のスピーカーケーブル内に収められ、ミッドウーファーについてはパッシブクロスオーバーネットワークを用いず、ローパスは自然にロールオフさせる設定となっている。ミッドウーファーの取り付け奥行き寸法も短めで、しかも磁気回路も大き過ぎないので、取り回しが良さそうだ。

なおミッドウーファーのマグネットは高性能なネオジウム。回路は小ぶりでも能力は高そうだ。そしてフレームは剛性が確保されたスチール製、振動板は耐久性の高いPP(ポリプロピレン)。各所が、安心して使える仕様になっている。

トゥイーターは12mmサイズのテキスタイル・ドームで、こちらも小型化が図られている。もろもろ、エントリーユーザーに優しい設計となっていることが見て取れる。

では、音はどうだったのかと言うと…。

仕様的にはもっともエントリー機らしいのだが、音からは貫禄が感じられた。価格に見合った実力を備えている。

まず、基本的な要素においての安定感が高い。解像度は高く、S/Nも良好だ。クリア感も申し分なくサウンドステージの見通しも良い。

音色傾向は、どちらかと言えば、ドライな方向のように思えた。誇張がなく、淡々と原音を再生している印象だ。高域のシャープさにも特長がある。質感がどちらかと言えば硬質で、キレ味が鋭い。そういったところも、ドライなイメージを与える要因になっているようだ。

しかし、味気ない、ということは決してない。音符の1つ1つのしっかり感は高く、聴き応えもある。

原音をストレートに表現できるエントリー機を探している方には、当機は有力な候補になりそうだ。素直で生真面目。クセのない自然なサウンドを楽しめる。総合力は高い。

6機種の試聴を終え、この価格帯の製品のレベルが上がっていることを実感した。これからカーオーディオを始めてみようと思っている方々の期待に応え得る製品が増えている。エントリーグレードは激戦区でありいろいろなモデルが出ているが、ここでご紹介したモデルはどれもお薦めできる。ブランドイメージで選んでも良いかもしれない。各機がブランドならではの特長を出せていた。

製品選びは、楽しむべき項目だ。当記事をご参考にしていただきながら、あれこと迷いながらも、自分にとってのベストを、しっかりと見つけ出していただきたい。

《text:太田祥三》

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