積載性を重んじて選んだトヨタ『ハイエース』だが、音の良さも同時にグレードアップしたい。そう思ったオーナーの山野さんは、フロントスピーカーにお気に入りのユニットを選んで千葉県のアークライドで高音質でカスタム性も高いオーディオインストールを開始した。
◆ハイエースのサウンド面の弱点を克服すべく
ドアスピーカーの取り付け位置を上に移動
遠方に行ってロードバイクを楽しむためにオーナーの大野さんが手に入れたハイエース。ロードバイクを余裕で2台積載できる荷室が車両選びの必須条件だった。加えて長距離ドライブを快適にするためにオーナーが愛車に求めたのが良い音のオーディオだった。ハイエースの弱点も克服しつつ、前編でお伝えした通り荷室スペースをスポイルしない取り付けなど、工夫満載のインストールを実施した。
サウンドの中核として選んだのロックフォードのスピーカー群だ。中でもフロントスピーカーには鳴りっぷりの良さが気に入ってロックフォードのT3652-Sをセレクトした。クオリティの高い2ウェイシステムをフロントスピーカーに用いて、アメリカンサウンドを堪能するのが目標となった。
インストールではスピーカーの持つポテンシャルを十分に引き出すことが大きなテーマになった。ハイエースは純正ドアスピーカー位置がかなり低いのが弱点なのだが、このクルマはドアパネルを加工してスピーカー取り付け位置を上方に移動、アウターバッフル化もこなして中低域の情報量を大きくアップさせている。ドア形状も純正ラインをうまく生かした加工で違和感も感じさせない。
◆個性的な振動板を持つツイーターをピラー設置
コクピットで主張するピラーデザインを完成させる
ツイーターはAピラーにビルトイン取り付けする。ロックフォードT3652-Sのツイーターはこのモデルの特徴であるLCPF(液晶ポリマーファイバー)素材を使ったドーム振動板が採用(ミッドバスにも同様の振動板素材を採用)されている。白っぽい個性的な振動板はグリル越しに透けて見え、ピラーでもしっかり自己主張している。
ピラーをツイーター形状に合わせて加工、適度な角度を付けることで高域特性をコントロールしている。ピラーの張り替え処理も加え、アシストグリップにはアフターパーツとして用意されるビレットパーツを取り付けて質感の高いピラーまわりが完成した。
ダッシュのトップパネルやドアミラー裏のパネルにはウルトラスエードを使ってオーナー自身がDIY張り替えしている。他にもドアまわりはフェリソニを使ったデッドニングや足まわりのパーツ交換などをDIYで施すなど、プロに任せる部分とDIYを楽しむ部分をしっかり棲み分けているのも、もともとDIYで取り付けを実施していたオーナーならではの賢い選択だろう。
◆センターコンソールへの操作部の集中化や
ステアリングリモコンの移設で使いやすさをキープ
前編でお伝えした前席~後席に繋がるコンソール(後席側にはウーファーのエンクロージャーがビルトインされている)、コクピット側のセンターコンソールにはDAPの設置スペースさらにはダイレクターやバスコントローラーを設置する。すべてが手もとで操作できる使い勝手の良いコクピット&オーディオ操作系を作り上げた。
DAPにはウォークマンの高音質モデルであるNW-WM1ZM2をチョイス。リアシート下に設置したオーディオテクニカのDACを介してD/D変換した上でヘリックスのDSP PROに入力するシステムを構築。音源の質を損なうこと無く高音質再生が可能にするためソースのクオリティにこだわっているのがわかる。
ステアリングはナルディに交換するなどコクピットのデザインにも徹底してこだわる。そのため純正ステアリングリモコンをセンターコンソール内に移設して、実用上も純正の使い勝手を損なわない装備にしている点もオーナー&ショップのこだわりだ。
クルマ好きでオーディオ好きなオーナーが、ロードバイクのトランスポーターとして導入したハイエース。カスタム&オーディオのグレードアップにも力を注ぎ、サウンド、デザイン、使い勝手と三拍子揃ったハイエースを作り上げた。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。
《text:土田康弘》