釣り用のレジャーカーに高音質化のシステムアップを施した岡本さんのマツダ『CX-8』。フロントスピーカーには試聴でピンと来たことからセレクトしたフォーカルのユートピアMをチョイス。広島県のリクロスががリクエスト通りのシンプルでスマートな取り付けを実施した。
◆デモカーの試聴で空間から音が現れる
ユートピアMのサウンドに惚れ込んで導入
釣り仕様の岡本さんのCX-8には前編でお伝えした通り、ラゲッジを犠牲にせずに高音質なシステムデザインを構築したのが見どころとなった。一方でサウンドの決め手となるフロントステージにはオーナーの思い入れがたっぷり込められている。
フロントスピーカーとして選んだのはフォーカルのユートピアM・3ウェイ。セレクト理由はデモカーの試聴だったという。
「フォーカルのデモカーを聴いたんですが、音量を上げてもスピーカーの存在感がまったくないんです。まさに音が空間から現れる感覚でした。これが決め手になってユートピアMの3ウェイを導入することにしました」
ツイーターとミッドレンジをAピラーに取り付けするスタイルがコクピットのインストールデザインのハイライトとなっている。サウンド面では中高域の情報量の豊かさをスポイルしない取り付けと調整を目指したという。ツイーター/ミッドレンジにそれぞれ角度を付けることで、スピーカーロケーション&角度付けを最適化しているのも見どころだ。
◆ドアスピーカーはあえてインナーバッフル化
レジャー仕様としての実用性を兼ね備えた
ユートピアM・3ウェイのミッドバスはツイーター/ミッドレンジがAピラーにカスタムインストールされているのに対して、ごくシンプルにドアへのインナーバッフル取り付けとされる。これは釣り仕様としてのラゲッジへのインストールをシンプル化したのと同じく、乗降性や普段使いする上での気を使わないシンプルさを求めたため。ただしユートピアMのミッドバスは岡本さんの印象では、しっかりと中低域を再生し情報量も十二分なため、中高域が無理せず再生できる状況を作れる優れたミッドバスであるのが美点だという。
3ウェイのバランスの良さもさすがで、狙ったとおりの一体感のあるサウンドを引き出している。ヘリックスのP-SIX DSPで詳細にコントロールされ、オーナーが望んだ空間から音が現れる音像を再現しているのもお気に入りポイントになっている。
ドアの純正スピーカー位置にユートピアMのミッドバスをインナー取り付けするため、ドアまわりのイメージは純正そのもの。オーナーもお気に入りのCX-8の内装デザインを大きく変更しないのもシンプルでスマートな仕上がりとなった。釣り仕様でガンガン使い倒すクルマなので、あえてインナー取り付けとした実用性を兼ね備えた取り付けがオーナーらしいフィニッシュだ。
◆オーディオプレイヤーのグレードアップに加え
ケーブルにも気を配ることで高音質化を果たす
コクピットのインストールはAピラーの加工以外はいたってスマート。これも“純正に見えるようにスマートに仕上げる”ことをテーマにした岡本さんの狙い通り。ただし使い勝手にはこだわった。ヘリックスのP-SIX DSPをコントロールするダイレクターはセンタークラスターの下部に設置。視認性と操作性を兼ね備えた設置場所はデザイン的にもスマートでインテリアへのフィット感も高い。
またオーディプレイヤーとして用いるのはFiioのフラッグシップモデルであるM15。豊かな情報量にこだわって高音質を狙う岡本さんのサウンドの好みにもフィットするプレイヤーとなった。
ユニット以外にも多方面で音のグレードアップを続ける。今回のシステムアップではスピーカーケーブルをM&Mデザインのケーブルに交換するなど、周辺パーツのグレードアップによるサウンドのレベルアップにも余念が無い。
大好きな釣りに行くためにチョイスしたCX-8、加えてサウンド面の向上を両立させるために厳選したユニット群を投入した岡本さん。しかも取り付けはあくまでもレジャー仕様としての使い勝手をスポイルしない範囲内という制約を付けた。そんな自分仕様のCX-8はレジャーカーとして&オーディオカーとしてフル活躍中だ。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。
《text:土田康弘》