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低音の“鳴り方”にこだわるなら、サブウーファーには「バスレフボックス」!?…キーワードから読み解くカーオーディオ

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「バスレフボックス」の一例(ヴァイブオーディオ・SLICKCBR12-V7)。全 3 枚写真をすべて見る

音響機材のカタログ等々を見ているとさまざまな専門用語が目に入り、それらが入門者を困惑させる…。当連載は、その払拭を目指して用語解説を継続してきた。現在は、「サブウーファー」に関連した用語に焦点を当てている。

◆カーオーディオで使われる「ボックス」タイプは、主には2つ!

今回は、「バスレフボックス」について説明していく。

ところで「サブウーファーユニット」が単体で売られている「ユニットサブウーファー」を使う場合には、「ボックス」を別途用意する必要があるのだが、どんな「ボックス」を用意するかで鳴り方を変えられる。その点も「ユニットサブウーファー」を使う醍醐味の1つとなっている。

なお、実のところ「ボックス」のタイプはさまざまあるのだが、カーオーディオでは以下の2つのうちのどちらかが選ばれることが多い。1つが「シールドボックス」で、もう1つが「バスレフボックス」だ。

ところで「シールドボックス」とは前回の記事にて説明したとおり、日本語に訳すと「密閉箱」だ。なので「シールドボックス」では、箱の中の空気は外部と完全に遮断されている。対して「バスレフボックス」には「ポート」あるいは「ダクト」と呼ばれる“穴”が開いている。この点が、「シールドボックス」との大きな違いだ。

さて、「ポート」はどんな役割を果たすのかというと……。

◆「バスレフボックス」の「ポート」からは、「位相が反転された音」が放出される!

ちなみに本来は、「ボックス」は密閉性が高い必要がある。「ボックス」にはそもそも、中の空気を閉じ込めるという役割があるからだ。というのも、スピーカーは振動板を前後に動かして空気を震わせて音を伝えるのだが、その営みはスピーカーの裏側でも行われている。

で、裏側から放たれる音は耳で聴く分には前側から放たれる音と同じなのだが、音波としては裏返った状態となっている。なぜならば振動板の動き方が真逆だからだ。表から見て振動板が前に出ているとき、それを裏側から見ると振動板は引っ込んでいる。ゆえに音波としては真逆の関係となるのだ。そして耳で聴く分には同じでありながら音波としては真逆の関係にある音同士が同一空間で混ざり合うと、「キャンセリング」が引き起こされる。お互いがお互いを打ち消し合ってしまうのだ。

しかし「ボックス」にて裏側から放たれる音を閉じ込めれば、「キャンセリング」は起こらない。

にもかかわらず、「バスレフボックス」では穴が開いている。となると「キャンセリング」が起こるのでは…、と心配する向きもあるかもしれないが、その心配は無用だ。

なぜなら「バスレフボックス」の「ポート」から放たれる音は、「音波のタイミング(位相)がひっくり返っているから」だ。「バスレフ」というワードには「位相反転」という意味があり、「バスレフボックス」はそれを行える仕組みを備えているというわけだ。なので「ポート」から放出された音が表側の音と混ざり合っても「キャンセリング」は起こらない。

◆「バスレフボックス」の方が、低音をコントロールできる幅が広い!

続いては、このような仕組みを持つことでどういった利点が発揮されるのかを説明していこう。利点は主には3つある。まず1つ目は「低音を増強できること」だ。「音波のタイミング」が同じになった音が振動板以外の場所からも放たれるのだからそれもそのはずだ。しかも、設計の仕方で増強する周波数帯を変えられる。計算して低音増強を行えるのだ。

利点の2つ目は、「より伸びやかな低音を出しやすくなること」だ。タイトな低音を鳴らしたい場合は「シールドボックス」の方が向いているが、「バスレフボックス」ではその逆に、深みのある低音を出しやすくなる。そして利点の3つ目は、「低域側のレンジを広げられること」。この点を重視して「バスレフボックス」を選ぶ愛好家も多い。

しかしながらデメリットもある。まず、ボックスサイズが大きくなりがちだ。「ボックス」をコンパクトに仕上げたい場合には不向きだ。そして設計と製作の難易度が高まる。

なお、「シールドボックス」でも設計次第で伸びやかな低音を出すことも、また再生レンジを広げることも可能だ。なので決めつけて考える必要はない。とはいえ、「バスレフボックス」の方が鳴り方を調節できる幅が広がることもまた事実だ。そのことは頭に入れておいて損はない。

今回は以上だ。次回も「サブウーファー」に関連した用語について解説していく。乞うご期待。

《text:太田祥三》

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