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「単体DSP」は実は経済的!?「キーワードから読み解くカーオーディオ」Part4「プロセッサー編」その8

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「単体DSP」を使用したオーディオカーの一例(製作ショップ:カーオーディオクラブ<大阪府>)。全 5 枚写真をすべて見る

カーオーディオシステムのバージョンアップを図ろうと考えて調べてみると、専門用語を多々見かける。当連載ではそれらの意味を1つ1つ解説しながら、カーオーディオの面白さや奥深さまでをも紐解こうと試みている。今回は「単体DSP」というワードにフォーカスする。

◆「単体DSP」は、「純正メインユニット」が換えづらくなったことにより誕生!?

まずはおさらいから入りたい。サウンドチューニングを司るメカである「プロセッサー」には、タイプ違いが3つある。「メインユニット内蔵タイプ」、「パワーアンプ内蔵DSP」、「単体DSP」、これらだ。なおふた昔前までは、「メインユニット内蔵タイプ」しか存在していなかった。ゆえに高度なチューニング機能を手にしようと思うとき、つまりはシステムを本格化させたいと思うときには、「メインユニット」が高性能なモデルへと交換された。

しかし2000年代に入り「メインユニット」を交換しづらい車種が増え始め、カーオーディオシステムのバージョンアップがしづらくなった。その状況を打破するものとして「単体DSP」が登場し、さらには「DSP」と「パワーアンプ」とが一体化された「パワーアンプ内蔵DSP」も出現し、これらは次第に普及した。

で、「単体DSP」と「パワーアンプ内蔵DSP」は、システムの中で以下のような立ち位置となる。基本的には交換しづらい「純正メインユニット」の下流に置かれる。純正メインユニットのスピーカー出力を受けそれを一旦微弱な状態へと変換し、その上で各チューニング機能を適応して信号を制御しそれを「外部パワーアンプ」へ送り、または「内蔵パワーアンプ」にて信号を増幅してスピーカーを駆動する。

◆システムを発展させていきたいと考えるなら、「単体DSP」の方が合理的かつ経済的!?

なお、「単体DSP」は「パワーアンプ内蔵DSP」と比べて導入のハードルが高い。「外部パワーアンプ」を別途用意しなくてはならないからだ。

しかしながら実を言うと、場合によっては「単体DSP」を使った方が合理的かつ経済的だ。なぜならば、「単体DSP」は組み合わせる「外部パワーアンプ」を自由に選べる。

なので例えば、以下のようなやり方を実行できる。当初はリーズナブルな「4chパワーアンプ」を手にしておき、システムアップしたくなったときにまずは高性能な「2chアンプ」を購入し、その後また予算ができたときにもう1台それと同じ「2chアンプ」を買い足す。このように、段階を経てシステムアップを実行できる。そしてそうする場合は案外ムダが出ない。最初に購入した「4chパワーアンプ」は後に「サブウーファー」用として使うことも可能となるからだ。

対して「パワーアンプ内蔵DSP」は、後にシステムアップをしようとするときには「パワーアンプ内蔵DSP」自体を買い換えるしかなくなる。そうなったらむしろムダが出る。

◆「単体DSP」なら長く使えて、より深くカーオーディオを楽しめる!

このように「単体DSP」は、システムアップをフレキシブルに行えることが最大のメリットで、かつ、とことん音にこだわったシステムの構築も行える。長く使えて、しかもより深くカーオーディオを楽しめる。

ただし、コントロール可能なch数は後から増やせない。この点は「パワーアンプ内蔵DSP」と同様だ。なので「単体DSP」の購入時には将来的にどんなシステムを手にしたいかも熟考する必要がある。例えば、とりあえずはフロント2ウェイ+サブウーファーというスピーカーレイアウトで良いと考えてコントロール可能なch数が「6」のモデルを購入したとする。しかし後からフロント3ウェイ+サブウーファーを組みたくなったら、8chをコントロールできるモデルへと買い換えるしかなくなってしまうのだ。

ところで「単体DSP」も「パワーアンプ内蔵DSP」と同様に、基本のサウンドチューニング能力は各ブランド、そして各機ごとで大きな差はない。細かく見ていくと差はあり、その差が大きな差だと捉えられることもあるが、搭載されている機能の種類は同様だ。とことん音にこだわろうとするとき以外は、チューニング能力的に不足を感じる機種はないはずだ。

今回は以上だ。次回以降も、難解なカーオーディオの専門用語の意味を解説していく。お楽しみに。

《text:太田祥三》

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