多くのカーオーディオ愛好家から支持されている、または羨望の眼差しを向けられている“名機”を1つ1つ取り上げ、それぞれの魅力を紐解いている当シリーズ。今回は、イスラエル発の名門「モレル」が擁する革新的なスピーカー、『ヴィルタス ナノ カーボン』に焦点を当てる。
◆手厚くスピーカーをラインナップする「モレル」。その中堅に注目モデルが…
「モレル」は、世界的な実力ブランドの1つだ。なお日本に紹介されたのは比較的に古く、国内での知名度は高い。そしてラインナップが分厚いことでもお馴染みだ。ゆえに、上級者から入門者まで幅広い層に愛用されている。
なお同社は近年パワーアンプもリリースした。なので総合カーオーディオメーカーと言って良いのだが、ラインナップの中心はスピーカーだ。なので「スピーカーブランド」というイメージが強い。
そのスピーカーラインナップをざっと見ていこう。まずはトップエンドラインとして『スプリーモ』シリーズがある。ちなみに当シリーズの2ウェイコンポーネントキットの『スプリーモ 602 アクティブ』の税抜価格は、77万円だ。この価格からも分かるとおり当機は、押しも押されもせぬスーパーハイエンドスピーカーの1つだ。そして実力も確かであるがゆえ、音へのこだわりが強いサウンドコンペティターの中にも愛用者が多くいる。
で、これに続いて『38 アニーバーサリー リミテッド エディション』を擁し、その下に新たな上級ライン『イレイト カーボン プロ』と『イレイト カーボン』を配し、さらにその下に『ハイブリッド』シリーズを持つ。
そしてそれに続くのがこの、『ヴィルタス ナノ カーボン』シリーズだ。
◆異次元の“薄さ”を実現。ミッドウーファーの奥行きはなんと、わずか「17mm」!
というわけでこの『ヴィルタス ナノ カーボン』シリーズは「モレル」の中堅ラインとなるのだが、他にはないこれだけしか持ち得ていないスペシャルな特長を有している。それは、「ミッドウーファーが驚異的に薄い」ということだ。
普通カースピーカーのミッドウーファーは、インストール性が高いとされるモデルでも取付奥行き寸法は60mm程度はある場合が多い。そして高級機になるにつれてさらに厚くなっていく。
対して『ヴィルタス ナノ カーボン』のミッドウーファーの取付奥行き寸法は、なんと「17mm」しかないのだ。その薄さたるや、著しく群を抜いている。
ちなみに、振動板には「ドーム型」が採用されている。ほとんどのミッドウーファーは「コーン型」だが、当シリーズはその点でも独特だ。とはいえ、この薄さが実現されている要因はそれにとどまらない。そのことだけでは不可能だ。詳細は明らかにされてはいないが、磁気回路やフレーム構造等々、すべてにおいてスペシャルな技術が注入されているからこそ、この薄さが現実のものとなっている。
◆今年になって、10.9cmミッドウーファーがラインナップに追加!
では、『ヴィルタス ナノ カーボン』のラインナップを紹介していこう。
なお実を言うと、今年からニューモデルが加わっている。それは、10.9cmミッドウーファーの『ヴィルタス ナノ カーボン MW4』(税抜価格:8万8000円)だ。そしてこれをツイーターと組み合わせた2ウェイコンポーネントキット『ヴィルタス ナノ カーボン 42』(税抜価格:13万4000 円)、さらにツイーターを同軸上に配置した10.9cmコアキシャル2ウェイ『ヴィルタス ナノ カーボン インテグラ 42』(税抜価格:13万1000 円)、以上の3モデルが新登場した。
結果、これにて欧州車をはじめとする純正ミッドウーファーが小口径のクルマでも、当シリーズならではの温かみのあるそしてコクのあるサウンドを楽しめるようになったというわけだ。
で、それ以外のコンポーネントキットは2つある。16.7cm3ウェイシステムの『ヴィルタス ナノ カーボン 63』(税抜価格:19万6000円)と、16.7cm2ウェイシステムの『ヴィルタス ナノ カーボン 62』(税抜価格:15万円)、これらだ。加えて、16.5cmコアキシャル2ウェイの『ヴィルタス ナノ カーボン インテグラ 602』(税抜価格:13万2000円)も名を連ねる。
そして単品(ペア)にて、16.7cmミッドウーファー、88mmミッドレンジ、76.7mmミッドレンジ、28mmツイーターが顔を揃える。
ところで……。
『ヴィルタス ナノ カーボン』シリーズは、取り付け性が優れていることだけを特長とするスピーカーではない。あくまでもこれは、「モレル」の新時代のミドルグレードスピーカーだ。なので、もしも価値あるハイエンドスピーカーの入門機を探しているのなら、取り付け性のことを特に重視していなくても当機のサウンドをチェックすべきだ。そうして音が気に入ったら、当機も候補に加えて検討しよう。
今回は以上だ。次回以降も注目すべき“名機”のプロフィールを紹介していく。お楽しみに。
《text:太田祥三》