カーオーディオユニットは、「ただ付けば良い」というものではない。製品の性能を引き出すためにはケアすべき項目や守るべき鉄則等がさまざまある。当連載ではそれらを紹介しながらカーオーディオの面白さや奥深さを明らかにしようと試みている。
さて前回は、高音再生用のスピーカーであるツイーターを「カスタムインストール」することのメリットを説明した。それに引き続いて今回は、「カスタムインストール」する場所として良いのはどこなのかを説明していく。
主な候補は2つある。1つが「Aピラー」でもう1つが「ドアミラー裏」だ。なお、この2つのうちでどちらがベストなのかは一概には言えない。それぞれで利点が異なるからだ。
ただし、使用するツイーターの大きさによっては「ドアミラー裏」には付けられない場合があり、またはそもそも「ドアミラー裏」には取り付けられるスペースを確保できない車種もある。これらのケースでは選択肢はおのずと「Aピラー」に絞られる。
では、場所ごとの利点を説明していこう。まずは「Aピラー」から。「Aピラー」は何といっても「高さが稼げること」が利点だ。ツイーターをある程度高い位置に取り付けられると、サウンドステージを上げやすくなる。というのも、音は音程が高くなるほど真っ直ぐに進もうとする性質が強くなり、ゆえに音の出どころが分かりやすくなる。逆に音程が低くなるほどに障害物を回り込んで進もうとする性質が強くなり音の出どころが分かりにくくなる。なので高音を発するツイーターを高い位置に取り付けると、人間の耳は低音までもが高い位置から放たれていると錯覚する。このように、高音には低音をいわば「引き上げる力」が備わっているのだ。
また、サウンドチューニング機能が充実していないシステムでは「左右の距離差が少なくなること」も利点となる。インテリアのデザインによって状況が変わってくるものの、ドライバーから見て「Aピラー」が奥まった場所に位置している場合には特に、運転席側のツイーターをある程度遠い位置に取り付けられる。結果、助手席側のツイーターとの距離差が少なくなる。
対して「ドアミラー裏」に取り付ける場合には運転席側のツイーターはドライバーの近くに位置することとなるので、左右の距離差が大きくなる。
なお、システムに「タイムアライメント」という機能が搭載されていれば、近くにあるスピーカーの発音タイミングを遅らせられる。なので左右の距離差が大きくても補正が効く。しかし「タイムアライメント」がシステムに装備されていない場合には補正をかけられないので、そもそも左右の距離差が少ない「Aピラー」の方が有利となるのだ。
今回はここまでとさせていただく。次回は「ドアミラー裏」の利点を中心に説明していく。お楽しみに。
《text:太田祥三》