カーオーディオシステムを充実させることに興味を抱くドライバー諸氏に向けて、それを実践する際の参考となる情報を多角的に紹介している当連載。現在は、AV一体型ナビ選びのポイントを説明している。今回は、「イコライザー」について解説していく。
ところで、どのようなAV一体型ナビにも何らかの「イコライザー」が搭載されている。しかしその性能には開きがある。簡易的なものからハイエンドタイプまで、性能差は案外大きい。
ちなみにもっとも簡易的なものとなると、バス(低音)とトレブル(高音)、この2バンドしか操作できない。そしてこのようなタイプは「イコライザー」とは呼ばれずに「トーンコントロール」と名付けられている場合がほとんどだ。つまり、サウンドの風合いを変える機能という位置付けとなる。
なお「イコライザー」の「イコライズ」という単語には、「均一にする」とか「等しくする」という意味があり、つまり「イコライザー」は周波数特性の乱れを「均一にする」機能であり、もともとの音源と「同じ音にする」ための機能だ。しかし2バンドタイプではその役目を負えない。バンド数が少なすぎるからだ。なので「イコライザー」とは呼ばれずに「トーンコントロール」と呼ばれているのだ。
とはいえ「イコライザー」も、「トーンコントロール」的な役割も果たす。というわけで「イコライザー」は、ふたとおりの使い方がされることとなる。
さて、「イコライザー」は何バンドタイプであると良いのだろうか。結論は以下のとおりだ。「周波数特性の乱れを正す」という目的で使おうとする場合には特に、バンド数は多ければ多いほど良い。しかし多くしようとすればその分コストもかかり使いこなすのも難しくなる。というわけで現状は、「左右独立31バンド」というあたりが最高レベルとなっている。
これがどのくらいの能力なのかと言うと…。人間の可聴帯域は20Hzから20kHzまでと言われていて、音階で言うと概ね10オクターブ分に相当する。で「イコライザー」はその全範囲をカバーできるようになっている。そして31バンドタイプともなると、各バンドは1/3オクターブ間隔で並ぶこととなる。このくらいの細かさであれば、ある程度ピンポイントで問題箇所にアプローチできる。
ところで「左右独立」タイプの「イコライザー」では、右chと左chとを個別に調整できる。車内の内装の形状は右側と左側とでは微妙に異なり、結果、周波数特性の乱れ方も左右で微妙に変わってくる。ゆえに、より詳細にコントロールしようとするのなら「左右独立」タイプが利を放つ。
というわけでまとめよう。音にこだわった機器が欲しいと思うなら「31バンド」タイプがお薦めだ。そしてそれに準じるのが「13バンド」タイプだ。オーディオ機器として手応えのあるモデルを手にしたいと思う向きには、「13バンド」タイプ以上がお薦めだ。参考にしてほしい。
今回は以上だ。次回以降も機器選びの勘どころの解説を続行する。お楽しみに。
《text:太田祥三》