フロント3ウェイをマルチアンプで駆動するヘビーなシステムを完成させた佐々木サンのルークス。3台のパワーアンプはシート下に設置。DSPの埋め込み設置も含めて青森県のingraphがアイデア満載の取り付けを実施。注目のインストールテクニックを見ていこう。
フロント3ウェイをマルチ駆動する
3台のパワーアンプをシート下に設置
前編でお伝えしたとおり、職場の社長の影響からカーオーディオに興味を持ち、さらに試聴で出会ったホームオーディオの音質に近づけたいという目標を掲げて愛車のオーディオ・システムアップを始めた佐々木さん。フロントスピーカーにモレルの3ウェイをインストールしたことで立体感のあるお気に入りのサウンドへと変貌させることに成功した。
後編の今回はそんなスピーカー群をドライブするパワーアンプのインストールに注目してみた。そもそもルークスはスペース効率を考えたユーティリティ自慢の軽カーだ。そのためデッドスペースも少なくパワーアンプを設置する場所もかなり限定される。そこでオーナーとショップが注目したのはシート下だった。フロントシートの下に比較的スペースに余裕があったのを見逃すこと無く、パワーアンプを詰め込むことに成功した。
インストールしたのはクワトロリゴのA級アンプであるTempoシリーズのプレシジョンワン。しかも合計3台をシート下スペースに設置するというかなりツメツメのインストールを実施した。このクラスのアワーアンプとしては比較的コンパクトなモデルながら、シート下をのぞき込むと前方には2台のパワーアンプを積み重ねて設置、その後方にも1台をアンプラックに設置するという、かなり苦労した後が見られる取り付けを実施している。
フロア下にプロセッサーを埋め込み
空きスペースをトコトン利用する取り付け
さらにスペース効率を高めるための取り付けはプロセッサーにも及んでいる。システム全体をコントロールするDSPにはヘリックスのDSPウルトラをチョイス。本体の設置はなんとパワーアンプのさらに下部、フロア下に半ば埋め込むように設置されているのだ。シートの脇から見るとわずかに本体の一部が見える程度なので、いかにユニットをフロアの奥底に設置しているかが分かるだろう。
また、サブウーファーをドライブするパワーアンプとしてはカロッツェリアのPRS-D800をチョイス。こちらはラゲッジのフロア下にあるわずかなスペースにピタリと納められている。シート下のスペースやフロア下など、あらゆるデッドスペースをフル活用して、パワーアンプ×4台、DSP×1台をヒドゥンインストールすることに成功。軽カーの車内にここまで大量のオーディオユニットが詰め込まれてるのはかなりの驚きだ。
ラゲッジにはサブウーファーとしてカロッツェリアのTS-W1000RSをエンクロージャーにセットして設置。フロントスピーカーのスピード感や帯域バランスを考慮して、最適なサブウーファーとして選んだのがこのモデル。サウンド面での不足はない。
高音質DAPを導入するなどシステムの
隅々にまで狙い通りのユニットを投入
音源として用いるのは高音質で定評のあるウォークマンNW-WM1Z。スピーカーやパワーアンプ、DSPなどに気を配ったシステムデザインを施したオーナーは、音楽プレイヤーにも徹底して高音質ユニットをチョイス。このようにパワーアンプとして選んだクワトロリゴの持つ優しいサウンドを最大限に引き出すための周辺システムを整備したのもオーナーのこだわり。立体感満点のサウンドでオーケストラをリアルに再現することに成功しサウンド面での満足度も高い。
プロセッサーに用いるヘリックス・DSPウルトラには操作&表示部としてダイレクターを設置。センタークラスターの下部にシンプルに取り付けることで操作性&視認性も高めた。普段使いを含めて使い勝手の良さを優先するオーナーならではのシンプルな設置スタイルだ。
クルマのサイズに妥協すること無く、狙ったサウンドを実現するために、必要と思うユニットを妥協すること無くインストール。デッドスペースをうまく活用することで軽自動車とは思えないヘビーなシステムを搭載することに成功した。アイデア次第で軽カーのオーディオシステムはここまで可能性が広がるという、お手本的なインストールとなった。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。
《text:土田康弘》