リーフnismoに乗り換えたのを機に8インチのミッドバスにツイーターを加えたシステムにチャレンジしたオーナーの石川さん。それに応えてインストールを担当したのは静岡県のレジェーラだった。ドアへの8インチの取り付けは特に注目のインストールとなった。
8インチミッドバスを違和感なく
デザイン性豊かにドアインストール
これまでもハイエンドなオーディオを経験してきたベテランオーナーである石川さん。愛車をリーフnismoに乗り換えるにあたって、新しい試みを実施してみることにした。それがミッドバスに8インチ(20cm)ユニットを用いることだった。フォーカルのユートピアMには一般的な6インチミッドバスに加えて8インチミッドバス(8WM)がラインアップされている。これに目を付けた石川さんは8インチとツイーターを組み合わせたサブウーファーレスのシステムをプランすることになったのだ。
しかしドアに8インチユニットを取り付けるのはかなりの大加工。物理的にも実際に取り付けられるのかは未知数だ。そこでクルマの納車前にレンタカーを借りてショップに持ち込み、フォーカルの8インチがドアにインストールできるかどうかをショップスタッフと検討した。そんな念入りな準備のかいもあって無事インストールが完成した。
ドアの前方下部を加工してアウターバッフルを組むがインテリアの純正デザインに対して違和感を感じさせない作り込みがなされているのが見て取れる。しかも「ドリンクホルダーは使えるようにして欲しい」というハードルの高いオーナーのリクエストに応えて、かなりギリギリのデザインで実現。8インチユニットのビルトインと純正機能を融合させたレジェーラの力作となった。
バッフル形状もドアのデザインを踏襲しつつ、バッフル面には人工スエードを用い、純正グリルを使ったデザインとするなど上質な仕上がりを追求した。見た目にも迫力満点な8インチをビルトインしたドアがこうして完成。他じゃ滅多に見られない8インチミッドバスをスマートにドアにビルトインしたこのインストール、充実の中低域サウンドを再生する体制が整った。
中抜けを補うためにミッドレンジを追加
ドア上部を加工してインテリアと融合させる
8インチミッドバス+ツイーターの2ウェイでスタートした石川サンのリーフnismoだったが、試聴&調整を煮詰めていく中でやはり中域の中抜け感がなかなかぬぐうことができず、ミッドレンジの追加を決意する。もともと“いずれはフロント3ウェイにしよう”と思っていたオーナー、その際にミッドレンジの取り付け位置はドア上部と決めていたという。このあたりの潔さもオーディオを知り尽くしたベテランらしい決断だったと言えるだろう。
ミッドレンジにはもちろんフォーカル・ユートピアMの3.5WMをチョイス。取り付けは当初の想定通りドア上部に加工ビルトインを実施。ロケーション的にはドアの最前縁に取り付け、ドアを閉めたときにはダッシュ両脇のエアコン吹き出し口と一体化するようなデザイン処理なのも美しく存在感がある。大きく角度が付けられているのもサウンド面で狙うところがあってのこと。
ドア上部の加工と言うこともあってかなり大がかりなカスタムとなっているが、それを感じさせないスマートな仕上がりとなっている。スピーカーユニットの周辺をわずかに盛り上げる形状でドアとフィットさせる手法でドア側の加工は最小限に抑えているのも見どころ。純正カラーと融合させるグレー系のレザーを用い、振動板もグレー系であることからもドアとの一体感も確保している。
Aピラーのデザイン性を高める
ブラックの生地を使ったツイータ取り付け
ユートピアMのツイーター・TMBはAピラーにビルトイン取り付けされる。そもそもオーナーがユートピアMをチョイスしたのはこのツイーターの高域特性の良さに惚れ込んだからでもあった。そのサウンドを余すところなく再現するためにひとつひとつのスピーカーのインストールは入念に施された。
取り付けは美しエッジを立てたピラー造形の中にツイーターをビルトイン。ブラックの生地を使った張り替え処理も美しく、インテリアとのマッチングも絶妙。ユートピアMならではの異形のツイーターはAピラーでも存在感を放っているため、コクピットのもうひとつの見どころとなった。
次回の後編ではユートピアMのスピーカー群をドライブするパワーアンプやDSPのこだわりについて紹介して行くこととしよう。また取り付けでもスペース効率を考えたアイデアが込められるなど、ベテランオーナーのアイデアとショップのセンスが融合した作り込みとなっている。参考になる部分も多いので期待して欲しい。
《text:土田康弘》