有名カーオーディオブランドを1つ1つ取り上げ、各メーカーならではの魅力を浮き彫りにせんと試みている当特集。今回は、日本でも絶大な支持を得ているフランス発の名門、“FOCAL(フォーカル)”をクローズアップする。
フラッグシップとして君臨するのは、世界最高峰カースピーカーの1つ『ユートピア ビー ウルティマ』!
“フォーカル”は、現社長であるジャック・マユール氏により、1979年にフランス東部の都市サンテチェンヌで創業された。設立理念は「世界最高のスピーカーユニットを創り出すこと」。これが礎となり、現在の製品ラインナップが形作られている。
ちなみに“フォーカル”は、設立当初はオーディオメーカーにスピーカーユニットを供給するOEM専業メーカーとして活動していた。そして各社の要望に応えながら製品を開発・生産することで技術とノウハウを蓄積し、その後の自社製品開発にそれらを注入。こうして、“フォーカル”ならではのサウンドを奏でられるモデルを次々と誕生させてきた。
なお、“フォーカル”をスピーカー専業ブランドとイメージしている方も少なくないかもしれないが、現在同社は、パワーアンプやパワードサブウーファー、さらにはプロセッサーまで幅広く製品展開する総合ブランドとなっている。だが、主力はあくまでもスピーカーだ。ホーム用、プロ用、そしてカー用と、それぞれにおいて名機を多々リリースしている。
では、カー用スピーカーのラインナップを見ていこう。まずはフラッグシップから。トップエンドとして君臨するのはこちら、『ユートピア ビー』シリーズだ。そして当ブランド中の最高峰モデルとして、『ユートピア ビー ウルティマ』が看板を張っている。
当製品は、パッシブクロスオーバーネットワークレスの3ウェイコンポーネントキットで、インバーテッド・ドームタイプの75mmピュアベリリウムツイーター、16.5cmミッドウーファー、20cmサブウーファー、これらによって構成されている。
なお、コンポーネントキットの税抜価格は200万円。実力的にも価格的にも、世界最高峰カースピーカーの1つであることは間違いない。当機だからこその、豊潤で繊細でそして力強いHi-Fiサウンドを堪能できる。
ちなみに当ラインにはもう1アイテム、パッシブレスの2ウェイコンポーネントキットも存在している。製品名は『165 W-RC』。こちらの税抜価格は16万5000円となっている。
トップエンドに続く『ユートピア エム』シリーズは、コスパもすこぶる高い!
そして『ユートピア ビー』シリーズに続く2ndラインとなるのが、『ユートピア エム』シリーズだ。なお、『ユートピア ビー ウルティマ』はいわば象徴的なアイテムでもあるので、こちら『ユートピア エム』シリーズが、実質的なフラッグシップラインと言っていい。
なお当ラインは、5つの単品ユニットと1つの2ウェイコンポーネントキットとで構成されている。単品ユニットの顔ぶれは以下のとおりだ。34mmピュアベリリウムドームツイーター、87.5mmスコーカー、16.5cmミッドウーファー、20cmミッドウーファー、25cmサブウーファー、以上だ。ちなみに、ツイーターと16.5cmミッドウーファーとを組み合わせたときの合計価格(税抜)は31万5000円だ。昨今、超高額なスピーカーが多々リリースされている中では、この価格はハイエンドスピーカーとしては至ってユーザーフレンドリーだ。ゆえに、多くのカーオーディオ愛好家からチョイスされている。
これに、実質的な2ndラインとして『K2 パワー』シリーズが続く。なお現行モデルは、2016年にフルモデルチェンジされ販売がスタートしている。このときの進化度合いはめざましく、振動板に“フォーカル”のアイデンティティともいうべきイエローカラーのアラミド系素材が使われている以外、従来モデルとの共通点はほとんどない。ほぼすべてが刷新され、満を持して新登場した。
当シリーズは以下の9アイテムで形成されている。1つの16.5cmコアキシャルスピーカー、5つの2ウェイコンポーネントキット、1つの3ウェイコンポーネントキット、そして2つのサブウーファー、以上だ。ちなみに16.5cmの2ウェイコンポーネントキットは3タイプあり、その中でもっとも高額なモデルが『ES 165 KX2』(税抜価格:11万円)だ。このように当シリーズも、性能に対して価格が手頃だ。エントリーグレードスピーカーからのグレードアップモデルとして、さらには初めてのスピーカーとしても選ばれている。
『車種別専用キット』の中には、日本市場向けのスペシャルキットもラインナップ!
“フォーカル”は、それに続くアイテムも手厚く用意している。実質的3rdラインとして、振動板素材にフランス特産の“麻(Flax)”が使われた『フラックス』シリーズを用意し、さらには『車種別専用キット』シリーズ、そして『カスタムフィットモデル』シリーズまで、エントリーユーザーに向けても手厚く製品展開させている。
ちなみに『フラックス』シリーズは、1つのコアキシャルスピーカー、2つの2ウェイコンポーネントキット、1つの3ウェイコンポーネントキット、4つのサブウーファー、これら計8アイテムでラインナップが構成されていて、その中の2ウェイコンポーネントキットの上位機種『PS 165FX』の税抜価格は7万円だ。当シリーズもコスパの高さが光っている。
とこで“フォーカル”の『車種別専用キット』の中には、特に注目したいアイテムが存在している。同社製品をディストリビュートしている“ビーウィズ”が、日本市場に向けたスペシャルキットを用意しているのだ。1つが『PLUG&PLAY elite for BMW/MINI』、そしてもう1つが『PLUG&PLAY elite for Mercedes』だ。なお後者には、『K2 パワー』シリーズのユニットを使用しているものと『フラックス』シリーズのユニットを使用しているものと、計2タイプがある。
これらはともに、対応車種に適合する取付パーツ等々も同梱されていて、取り付け工賃も含めて必要コストが分かりやすくなっている。“フォーカル”サウンドに興味がある対応車種オーナーは、これらにも大いに注目しよう。
艶やかで豊かなサウンドを奏でるスピーカーを探しているのなら、“フォーカル”のチェックはマストだ。お見逃しなく。
《text:太田祥三》