カーオーディオユニットのインストールに関するあれこれを解説している当コーナー。まずはスピーカーの取り付けにおけるセオリー等々を紹介している。前回からはミッドウーファー(ドアに装着するスピーカー)の「アウター化」について説明している。
まず前回は、「アウター化」の利点解説とタイプ紹介を行った。それに引き続き今回は、「アウター化」を実行する上での“難しさ”について考えていく。
最初に、ドア内部の鉄板を度台とするタイプの「アウター化」においての“難しさ”を、解説していく。
さて、鉄板を土台とする「アウター化」では、スピーカーの足場となるパーツ、「インナーバッフル」をかさ上げしてそれを実現させることとなる。
そうであるとその「インナーバッフル」が“筒状”になるのだが…。
実は、“筒状”になることはあまり良いことではない。なぜならば、「“背圧”のヌケが悪くなりがちとなるから」だ。スピーカーの振動板は前後に動いて音を発するわけなので、当然ながら後ろ側にも音を発する。その音エネルギーのことが“背圧”と呼ばれているのだが、インナーバッフルが“筒状”になると、空間が狭いがために、“背圧”がスムーズにヌケにくくなることが有り得てしまうのだ。
そうなると、ヌケ切らない“背圧”がスピーカーの振動板の動きにストレスを与え、スピーカーが十分に性能を発揮し難くなる。音に良かれと「アウター化」をするのに、むしろ音に悪影響が出かねない…、というわけなのだ。
そうならないために対策が打たれる。それは、“筒状”になった側面に「角度を付ける」というものだ。奥側にいくほどに筒の内径を拡げていき、そうすることで“背圧”がスムーズにヌケるようにするのである。
なお、この加工はなかなかに難易度が高い。手間も掛かるし、強度の確保も難しく、さらにはドア内部のコンディションによっても作りにくさが変わってくる。しかしカーオーディオプロショップは都度、ベストな「インナーバッフル」のかさ上げを実行し、「アウター化」の利点を最大限引き出す。
今回はここまでとさせていただく。次回も「アウター化」についての解説を続行する。お楽しみに。
《text:太田祥三》