カーオーディオにおいて、良い音で音楽を楽しめるか否かのキーポイントの1つとなる『サウンド調整術』について解説している当連載。前回からはテーマを「イコライザー」に移した。今回はその2回目として、「バンド数の少ないイコライザー」の調整方法を紹介する。
なお、ここで言うところの「バンド数の少ないイコライザー」とは、“5バンド”程度のものを指す。
さて、以前にも触れたことがあるように、「イコライザー」には2つの役割がある。1つは「音に色づけを加えること」、そしてもう1つは「周波数特性の乱れを補正すること」、以上の2つだ。しかしバンド数が少ないタイプでは「補正」はしにくい。特性が乱れている部分にピンポイントにアプローチし難いからだ。
というわけで「バンド数の少ないイコライザー」では主に、「音に色づけを加える」ための操作が行われることとなる。さて、そのときのコツは何かと言うと…。
“好み”の問題となるので、基本的には好きなように操作して構わないのだが、やってはいけないことが1つある。それは「すべてを目一杯上げること」だ。操作する度合いが大きくなりすぎるともともとの音色との差異も大きくなる。「イコライザー」調整は「やり過ぎない」方が良い結果が得られやすいのだ。
ちなみに言うと、「イコライザー」の操作の極意は、“上げる”ことよりも“下げる”ことにあると言われている。というのも、音がキャンセリングされている部分は、「イコライザー」で持ち上げようとしても得られる変化が少ない。消えてしまっているものは上げようがないからだ。しかしピークになっている部分に対しては、“下げる”という操作が効果を発揮する。
とはいえこれは、「補正」を目的としたときのコツなのだが…。しかし、“下げる”ことで音を変えることに慣れておくことには意味がある。「イコライザー」は上げるばかりではなく、むしろ“下げる”ことに妙味がある。覚えておこう。
なお、経験を積むという意味では、「プリセットデータをもとに、そこから微調整を加える」ことにも取り組んでみても面白い。習い事では得てして、“お手本”に近づけようとしながら腕を磨いていくが、「イコライザー」調整の場合は、“お手本”を元にそこから少しずつ崩していくことが勉強になったりもする。「イコライザー」調整に興味があれば、ぜひともお試しを。
今回はここまでとさせていただく。次回も「イコライザー」調整についての解説を続行する。お楽しみに。
《text:太田祥三》