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“アドオン”する新基軸スピーカーシステム『MST』。そのコンセプトと実力を完全分析! Part 3

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『CDTオーディオ・MST』デモカー、トヨタ・C-HR(製作:イース・コーポレーション)。全 7 枚写真をすべて見る

アメリカンHi-Fiカースピーカーブランド“CDTオーディオ”から登場した、新機軸なスピーカーシステム『MST』をクローズアップする週刊特集をお贈りしてきた。今回はその最終回として、搭載デモカーの音を聴いて感じた印象と可能性について、詳細にリポートしていく。

『MST』には「既存のシステムに追加する」以外の、別の使い方もある…。


当回から当週刊特集を読み始めたという方のために、『MST』が何なのかを簡単におさらいしておきたい。当システムは、『MST-02P』(シックスオクターブミッドツイーター、税抜価格:4万8000円)と、『MST-1SM』(MSTシステムコントロールユニット、税抜価格:2万4000円)、この2つのユニットで構成されるものであり、既存のスピーカーシステムに加えて使う“補助装置”である。そしてこれを足すことで、「音場・音像をよりリアルに再現する」ことが可能となる。

実際にどのような効果が得られるのかは、前回の記事の中で詳しくリポートしているので、ぜひ、そちらも併せてお読みいただきたい。

ところで第1回目の記事で触れたように実は、『MST』にはもう1つの活用方法が存在している。それは「シックスオクターブミッドツイーター『MST-02P』を単独で使う」というものだ。

『MST』の各ユニットはそれぞれが単体で売られている。ただ、MSTシステムコントロールユニット『MST-1SM』は単独では使いようがないのだが、『MST-02P』はそうではない。「ワイドレンジツイーターとして活用すること」も可能だ。

実は、『MST』搭載デモカー「C-HR」では、『MST-02P』がまさしくそのようにして使われている。

CDTオーディオ・MST-02PCDTオーディオ・MST-1SM

(写真左)CDTオーディオ・MST-02P、(写真右)CDTオーディオ・MST-1SM

話題のパワーアンプ内蔵DSP、『DSP-680AMP』を使ってコンパクトにシステムメイク!


では、デモカー「C-HR」についてのリポートを進めていこう。最初に、搭載されている機材の全容をお伝えする。

システムの核となっているのは、ミューディメンションのパワーアンプ内蔵DSP、『DSP-680AMP』(税抜価格:7万7000円)だ。そしてスピーカーシステムはフロント2ウェイ+サブウーファーというレイアウトになっていて、そのツイーターとしてシックスオクターブミッドツイーター『MST-02P』が使われている。

それに組み合わせるミッドウーファーにも“CDTオーディオ”のモデル、『ES-6』(税抜価格:6万円)がチョイスされている。サブウーファーももちろん“CDTオーディオ”だ。新製品である小口径モデル『ES-CRM-06+』(税抜価格:4万2500円)がバスレフボックスで鳴らされている。

なおシステム総額は、『DSP-680AMP』を操作するためのコントローラーを加えても、24万2500円(税抜)で収まっている。フロント2ウェイだけで10万8000円(税抜)なのだが、各スピーカーをマルチアンプ接続し、それらを高度にコントロールできるシステムが完成されているにもかかわらずこの予算ですんでいるのは、パワーアンプ内蔵DSP『DSP-680AMP』がリーズナブルだから、に他ならない。しかもこれ1台でサブウーファーまでドライブできるので、システムをコンパクトにもできている。

ところで、ソースユニットはさまざま組み合わせられるのだが(『DSP-680AMP』に同梱されているBluetoothレシーバーを使ってスマホをワイヤレス接続することも可能)、テストではデジタル接続されていたクラリオンのクワッドビューナビ『NXV977D』をソースユニットとして使用した。

『CDTオーディオ・MST』デモカー、トヨタ・C-HR(製作:イース・コーポレーション)。『CDTオーディオ・MST』デモカー、トヨタ・C-HR(製作:イース・コーポレーション)。『CDTオーディオ・MST』デモカー、トヨタ・C-HR(製作:イース・コーポレーション)。

(写真)『CDTオーディオ・MST』デモカー、トヨタ・C-HR(製作:イース・コーポレーション)。

ツイーターとミッドウーファー間のクロスポイントはなんと“230Hz”!


さて、このワイドレンジなツイーターを組み込むにあたり、ツイーターとミッドウーファー間のクロスポイントはどんな設定になっているのかと言うと…。なんとその値は、“230Hz”とのことだった。今もいろいろと試している最中でもあり微調整が重ねられているようだが、『MST-02P』が鳴らせる範囲(周波数特性は、200Hz~20kHz)がほぼほぼ目一杯使われている、というわけだ。

ちなみに、一般的な2ウェイスピーカー(ツイーターがドームタイプやリングタイプのもの)の場合、ツイーターとミッドウーファーとのクロスポイントは、2kHzから5kHzの間あたりに設定されることが多い。

つまりこの「C-HR」では、通常のツイーターではあり得ない設定がされている。果たしてそのことが出音にどう影響するのか。興味津々でテストトラックを再生させると…。

音が鳴り出して最初に感じたことは、「音像のリアリティの高さ」だった。上手くまとめ上げられた3ウェイシステムで聴けるような、情報量が多く高解像度な立体的な音空間が目前で展開されていたのだ。

実際この「C-HR」のシステムは、2ウェイでありながらも3ウェイ的に鳴らされている。3ウェイではスコーカーがツイーターのそばに取り付けられることが多く、そうすることで中域から上の帯域がごそっと目の前から聴こえてくる。『MST-02P』を用いることでそれと同様な状況が作り出せている、というわけなのだ。

しかも、3ウェイよりも音響的なコンディションは良好だ。中高音を2つのユニットで鳴らす場合にはそれらを上手くバランスさせるために調整を煮詰めていく必要が生じるが、スコーカーとツイーターでカバーする帯域の再生を1つのユニットでまかなえるので、状況は至ってシンプル。結果、音のまとまりも良い。

『CDTオーディオ・MST』デモカー、トヨタ・C-HR(製作:イース・コーポレーション)。

(写真)『CDTオーディオ・MST』デモカー、トヨタ・C-HR(製作:イース・コーポレーション)。

再生音の質感も良好。スピーカーユニットとしてのポテンシャルは高い。


音色的にも、なかなかに魅力的だ。ピアノの音などは特に、ツヤがあり響き感も良好で、消えゆく余韻も美しかった。また、ヌケの良さも感じられた。S/N感も上々でサウンドステージの見通しも良い。

もっとも、出来上がりのサウンドはすべてのユニットの総合力で決まる。ゆえに、この音を持ってシックスオクターブミッドツイーター『MST-02P』の特長と性能を100%推し量ることは難しいのだが、当機が質感の高い再生音をデリバリーできるツイーターであることもまた確かだ。さらには、情報量の多さと音像のリアルさも、当機の再生能力があってこそだろう。『MST-02P』のポテンシャルの高さを疑うべくもない。

想像以上のサウンドが聴けたことで、以下のような思いも込み上げてきた。「既存の2ウェイシステムに加えて、スコーカー兼補助ツイーターとして使ってみても面白いのでないだろうか」と。

補助スピーカーシテムとして使用する際には、MSTシステムコントロールユニット『MST-1SM』を用いた方が簡単かつ合理的なのだが、それを使わずDSPでコントロールしても、腕の利くカーオーディオプロショップならば良い結果を導き出せるに違いない。

前回の記事で結論づけたように『MST』は、初めてのスピーカー交換をしたその“次の一手”としての新たな選択肢の1つとなり得るものなのだが、Hi-Fiシステムに組み込むという手もありそうだ。『MST』は可能性に満ちている…。

とにもかくにも、まったく新しいスピーカーシステムであるこの『MST』。興味があればぜひともお試しいただきたい。貴方のカーオーディオシステムに、新たな“ノビシロ”を付加してくれるであろうことは、間違いない。

《text:太田祥三》

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