昨年春に日本市場に進出し、以後着実にネームバリューを上げている“DrARTEX”。この新しい“防音・制振材”ブランドをクローズアップする週刊特集をお贈りしている。前回はまず、創設者であるAndrey・Dmitriev氏へのインタビューの模様をお伝えした。
それに引き続き今回からは、製品紹介を行っていく。今週は2018年から発売されているレギュラーモデルを取り上げ、次週には今シーズンから投入されるニューアイテムをフィーチャーする。
◆上級グレードのアイテムでありながら“軽量 & 薄型”。車内の至るところで効果を発揮!
(写真)DrARTEX・Mantle
まずは“制振材”、『Mantle(マントル)』から紹介していこう。
2019年、“DrARTEX”がラインナップする“制振材”は計4モデル。スタンダードな“制振シート”が2タイプ、よりヘビーな“低音制振シート”が2タイプ。その中でこの『Mantle』は、2つある“制振シート”のうちのハイグレードモデル、という位置付けとなる。ただし価格的にはスタンダード。際立って高額な製品ではない。主要スペックは以下のとおりだ。
- ★Mantle(マントル) 税抜価格:3万5000円
- ●仕様:制振シート ●サイズ:(幅×奥行×厚さ)750×500×2mm(10枚入)●重量:2.1kg/m2 ●推奨取付箇所:ドア、ルーフ、トランクリッド、トランクサイド、ボンネット
シートは3層構成となっている。自己粘着性接着層、次世代合成ブチルポリマー層、強化アルミホイル層、という構造だ。ブチルポリマー層は高い損失係数を誇るピュアな上級素材でありながら、同時に軽量化も図られている。なので製品そのものの重さも同社のスタンダードグレードの“制振シート”と比べて軽い。
上級部材の方が軽いというのはなんとも斬新だ。通常ならば上級素材ほど重くなるので、コストをかけ手厚く施工をするほどに、作業後の車重は増していく。部材の使用量が増えることに加えて、部材自体も重くなるからだ。しかし“DrARTEX”なら必ずしもそうはならない。少なくとも部材自体は上級グレードの製品の方が軽いので、重量増の抑制が可能となるのだ。
アルミホイル層にもこだわりが注入されている。複数の熱処理による強化アップが成されている。長年にわたる研究で培われたノウハウを駆使し、最良な効果を上げるべく素材に手を掛けた上で製品化されているというわけだ。
推奨使用箇所も幅広い。厚さは2mmしかないので、クリアランスが少ない部位にも安心して使用できる。車内の至るところで力を発揮してくれそうだ。
◆ヘビーなノイズに対処可能な“低音制振シート”も用意!
(写真)DrARTEX・Armor
続いては2モデル用意されている“低音制振シート”のうちの1つ、『Armor(アーマー)』を紹介しよう。主要スペックは以下のとおりだ。
- ★Armor(アーマー) 税抜価格:3万6000円
- ●仕様:低音制振シート ●サイズ:(幅×奥行×厚さ)500×275×4mm(15枚入) ●重量:5.1kg/m2 ●推奨取付箇所:トランクフロア、ホイールアーチ、バルクヘッド、フロア
『Mantle』と比べて厚く、そして比重も高い。しかしながらその分、損失係数も高められているので、より低い周波数の共振を抑えたいときに重宝する。強力なノイズにさらされるフロアやバルクヘッド、トランクフロアでは、当アイテムを使うとより効果的に振動を抑制できる。
厚い分、構造も複雑化されている。自己粘着性接着層、合成ブチルポリマー層、アルミ層、合成ブチルポリマー層、アルミ層という5層構造が採用されている。なお当アイテムにおいても、合成ブチルポリマー層は従来部材と比べてより軽く仕上げられている。施工箇所が重くなり過ぎないよう配慮されているのだ。
ところで推奨取付箇所は上で説明したとおりなのだが、実際の施工においては、部分的にドア内部で用いられることもあるだろう。タイプの異なる“制振材”を用いると、より緻密なサウンドチューニングが行える場合もあるからだ。
“DrARTEX”なら“制振材”が複数用意されているので、それらを複合的に使うことも可能となる。この点もインストーラーから好感されているポイントの1つだろう。
◆作業性が高く対応周波数範囲も広い、使いやすい2タイプの“吸音シート”。
(写真)DrARTEX・Lace05
次には、“吸音シート”を紹介しよう。今季も“DrARTEX”からは、2タイプの“吸音シート”がデリバリーされる。それぞれの主要スペックは以下のとおりだ。
- ★Lace05(レース05) 税抜価格:1万4000円
- ●仕様:吸音シート ●サイズ:(幅×奥行×厚さ)500×375×5mm(14枚入) ●重量:0.38kg/m2 ●推奨取付箇所:ドア内張り
- ★Lace15(レース15) 税抜価格:1万2000円
- ●仕様:吸音シート ●サイズ:(幅×奥行×厚さ)500×375×15mm(6枚入) ●重量:0.612kg/m2●推奨取付箇所:ドア内張り、ルーフ、トランクリッド、ボンネット
これらは厚みが異なっているものの、素材的には同一だ。ともに、ポリウレタンラテックスでできている。なおこの素材は、幅広い周波数範囲で効果を発揮できることも特長。さまざまな場所で使用して、都度効果的にノイズを吸収してくれる。
また、柔軟性が高く、かつ、接着性も高いこともストロングポイント。複雑な形状のパートに使っても、凹凸にぴったりと追従させて施工できる。狭い場所ではそのスペースに収まるように圧着することも可能だ。
推奨取付箇所は、『Lace05』が主にドア内張り、そして『Lace15』がドア内張りも含めた各所、となっている。フレキシビリティが高いのは『Lace15』の方だが、どちらも作業性が高いので、インストーラーの創意工夫によってさまざまな使われ方がされそうだ。
◆画期的なひと品、“ゴムチューブ”タイプの“静音アイテム”もある!
(写真)DrARTEX・Redwind
今回はもう1アイテム紹介する。“DrARTEX”は他社にはない、ユニークなアイテムも用意している。それがこの『Redwind(レッドウィンド)』だ。
これは、ドアやトランクのいわゆる“ウェザーストリップ”と呼ばれているゴムチューブの中に封入して使う部材だ。主要スペックは以下のようになっている。
- ★Redwind(レッドウィンド) 税抜価格:9000円
- ●仕様:シーラー ●サイズ:直径6mm・長さ12m ●推奨取付箇所:ドアシール、トランクシール
写真を見てお分かりいただけるように、当アイテムはチューブタイプの部材である。そしてそのゴムチューブの中心軸には、ワイヤーが備えられている。
使用することで得られる効果は主に3つ。1つ目は、「静粛性の向上」だ。ドアやトランクリッドからの風切り音等のノイズの流入を抑制できる。2つ目は「密閉性の向上」。結果、ノイズをブロックできるばかりかホコリの進入も防止可能だ。さらには空調効率の向上も期待できる。そして3つ目が「開閉時の質感の向上」。ドアを開閉するときの音や閉まり方の“質”が良化するのだ。クルマのグレードが上がったかのような使用感が味わえる。
このようなスペシャルなアイテムが用意されていることからも、“DrARTEX”がノイズ対策にこだわりと信念を持って取り組んでいるブランドであることをひしひしと感じ取れる。
さて次週は、2019年より追加されるニューアイテムを一気に紹介する。“DrARTEX”には魅力的なアイテムがまだまだ他にも多々ある。次回の記事もお読み逃しなきように。
《text:太田祥三》