カーオーディオにおいて「サウンド調整」が必要となる理由から、その操作方法までを解説しようとしている当コーナー。現在は、本格システムにおいての基本機能について、それぞれの“成り立ち”を解説している。今回からは「タイムアライメント」についての説明を開始する。
ところで当コーナーの連載開始当初に、カーオーディオではなぜに「サウンド調整」が必要となるのかを解説し、その中で「タイムアライメント」についてはこれがどのような機能であるのかを軽く説明させていただいた。今回はまず、そこでの話のおさらいから入りたい。
そこでは以下のように紹介した。クルマの中ではリスニングポジションが左右のどちらかに片寄ってしまう。なので車内では「ステレオ」の効果を感じ取りづらい。「ステレオ」を楽しもうとする際には、左右のスピーカーから等距離の場所にポジションすることが前提となるからだ。
しかし「タイムアライメント」機能を使うと「ステレオ感」を楽しめるようになる。近くにあるスピーカーに対して音を発するタイミングを遅らせることが可能となり、各スピーカーからの音の到達タイミングを揃えられるようになる。こうしてあたかもすべてのスピーカーから等距離の場所にいるかのような状況を作り出せる、というわけなのだ。
これを踏まえて、さらに詳しく「タイムアライメント」という機能の“成り立ち”について解説していく。
まずは、「タイムアライメント」には“簡易的なタイプ”と“詳細なタイプ”との2種類があるということから説明したい。
“簡易的なタイプ”とは、スピーカーがセパレート2ウェイであったとしても、つまりツィーターとミッドウーファーが別々の場所に取り付けられていたとしても、それらを“1つのスピーカー”として扱う、というものだ。
一般的なメインユニットには内蔵パワーアンプが4ch分備わっているが、通常はそれらによって、フロントの左右のスピーカーとリアの左右のスピーカーが鳴らされる。つまりフロントスピーカーのための出力は2ch分しかない。ゆえに、ツィーターとミッドウーファーとを個別に制御することが不可能なのだ。
というわけで“簡易的”なタイプでは、ツィーターとミッドウーファーの距離差は考慮できず、ざっくりとした設定しかできないのだが…。
しかし、有ると無いとの違いはかなり大きい。ざっくりではあっても、いざ使ってみるとなかなかの効果が発揮される。
もしも愛車のナビに“簡易的”なタイプであったとしても「タイムアライメント」機能が搭載されていたらしめたものだ。これを使わない手はない。すぐにでもその機能を触ってみよう。
今回はここまでとさせていただく。次回も「タイムアライメント」の“成り立ち”解説を続行する。お楽しみに。
《text:太田祥三》