カーオーディオの仕上がりの音の良し悪しを決定する要素は大きく3つある。「製品」「取り付け」「調整」、これらの総合力として最終的なサウンドが完成される。そのうちの1つである「調整」について、成り立ちから操作方法までを解説しようとしている当コーナー。
先週からは、“クロスオーバー機能”の成り立ち解説をスタートさせた。今回はそれに引き続いた内容をお届けする。
まずは、フロントスピーカーとサブウーファー間においての“クロスオーバー調整”を例に解説している。前回は主に、“ハイカット(ローパス)”と“ローカット(ハイパス)”について説明した。
さて、“クロスオーバー調整”とは、音楽信号の“帯域分割”を行う調整項目だ。そして、サブウーファーに送り込まれる信号の上側をカットする操作が“ハイカット(ローパス)”であり、フロントスピーカーに送り込まれる信号の下側をカットする操作が“ローカット(ハイパス)”である。
ただし…。
例えばサブウーファーの担当範囲を「80Hz以下」にしようとして“カットオフ周波数”を80Hzに設定したとしよう。しかしながら実際のところは、80Hzよりも上側の信号がバッサリとカットされるというわけではない。ここに、“クロスオーバー調整”の“妙”が隠されている。
実際は、80Hzよりも上側の音楽信号は、周波数が高くなるに従って徐々に小さくなっていく。スパッと切れるのではなく、緩やかに減衰していくのだ。そして、その“減衰率”は“スロープ”と呼ばれている。
“クロスオーバー調整”を行う際には、“スロープ”もいろいろと試され、決定される。その塩梅によって、サブウーファーの音とフロントスピーカーの音とが上手く“繋がる(ミックスされる)”かどうかが変わってくる。
なお、“スロープ”は「-○○dB/oct」という単位で表される(○○のところには数字が入る)。「oct」とは“オクターブ”のことである。つまり、「1オクターブ上昇(下降)するごとに何dB減衰するか」が調整される、というわけだ。
今週はここまでとさせていただく。次回以降も“クロスオーバー調整”の成り立ち解説を続行する。お楽しみに。
《text:太田祥三》