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予算10万円以内でカーオーディオを満喫!? 具体的プランをシミュレート! Part 5「コントロール機能導入作戦」

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「ドライブと音楽は切り離せない関係にある」という方に向けて、その音楽をもっと良い音で楽しめるようになる“カーオーディオのスタートプラン”を紹介している。想定する予算は“10万円”。その中でどのような楽しみ方ができるのか、それらを1つ1つ提案してきた。

そんな当週刊連載も、いよいよ今回が最終回となる。トリを飾るプランは名付けて、「コントロール機能導入作戦」。この作戦で得られる楽しさとは…。じっくりとお読みいただきたい。

「コントロール機能」を導入すると、“聴こえ方”がガラリと変わる!


最初に、今回のこの作戦が、何を目指そうとするものなのかを解説しよう。「コントロール機能導入作戦」とはズバリ、“音の聴こえ方”を変えようとするアプローチである。今回の予算内ではスピーカーを交換するところまではいけないので、聴こえてくる“音の質”は基本的には変わらないのだが、しかし、“聴こえ方”はガラリと変わる。その変化幅はむしろスピーカーを換えたとき以上、とも言われている。当作戦はそれほどまでに、やり甲斐の高い作戦なのだ。

さて、この作戦がどんなものなのかを知っていただくためにまず、カーオーディオが抱えている問題についての説明をしておきたい。なぜなら当作戦は、その“問題”を解決することを目指すアプローチであるからだ。

クルマの中では、好きな音楽を誰にはばかることなく大きな音で聴ける。その点では、リスニングルームとして絶好の環境だ。しかし、音響的なコンディションは、実はあまりよろしくない。

良くない要素は主に2つある。1つは「リスニングポジションが左右のどちらかに片寄ること」だ。ステレオとは、音楽を左右のchに分けて録音し、それを左右の2本のスピーカーで再生することで、音像を立体的に感じ取ろうとするものだ。でもリスニングポジションが左右のどちらかに片寄ると、左右のスピーカーの音をバランス良く聴くことができなくなる。結果、ステレオの効果が額面どおりに発揮されない。

音響的なコンディションが良くない2つ目の要素は、「周波数特性が乱れがちであること」だ。車内は狭い。その中で大きな音を出すと、音は幾重にも反射する。そしてシート等では吸収も起こる。これらによって特性が乱れ、音楽の聴こえ方のバランスが崩れがちとなってしまう。

そこに“コントロール機能”を導入すれば、それらへの対処が可能となるのだ。

特に音に効くのは“タイムディレイ”と“イコライザー”。


続いては、どのように対処が可能となるのかを説明していこう。まず「リスニングポジションが左右のどちらかに片寄ること」に対しては、“タイムディレイ”という機能で解決可能だ。当機能を使うと、近くにあるスピーカーに“遅延(ディレイ)”をかけられる。音が出るタイミングを遅らせられるのだ。そうすることで、すべてのスピーカーから等距離の場所にいるかのような状況を作り出せる。

「周波数特性が乱れがち」になることに対しては、“イコライザー”で対処できる。しかもハイエンドな“コントロール機能”を持ったユニットを使えば、“左右独立”または“ch独立”で特性の乱れを正していける。

さて、このような強力な能力を持っているユニットとは何なのかというと…。そのユニットの名は「DSP(デジタル・シグナル・プロセッター)」だ。

なお、「DSP」を導入しょうとしたとき、これを手にできる方法は3つある。1つは、「優秀なDSPを搭載したメインユニットを導入する」という方法、2つ目は「パワーアンプを内蔵したDSPを導入する」という方法、3つ目は「単体DSP+パワーアンプを導入する」という方法だ。

というわけで、もしもメインユニットを交換できるのであれば、高性能なナビを導入するという作戦も浮上するのだが、それでは10万円という予算を大きくオーバーしてしまう。なので今回はその作戦は見送って、後の2つの方法を紹介していく。

今回も、具体的なプランの提案は「イース・コーポレーション」にお願いした。約30社にも上るカーオーディオブランドの製品を輸入している同社のその豊富な取り扱いアイテムの中から、10万円に収まる製品を2モデルピックアップしてもらった。それぞれを使ったプランのメリットと楽しみ方のポイントを、詳細に解説していこう。

★01 「完結型」プラン
【ターゲット】
●4chパワーアンプ内蔵8chデジタルシグナルプロセッサー『グラウンドゼロ GZDSP 4.80AMP』(税抜価格:10万円)
☆合計金額:10万円
グラウンドゼロ GZDSP 4.80AMP
グラウンドゼロ GZDSP 4.80AMPグラウンドゼロ GZDSP REMOTEGZDSP 4.80AMP のチューニング画面

ところで、「DSP」を使ってサウンドを緻密にコントロールしようとするときの、そのメカニズムについても説明しておきたい。

音楽信号を緻密にコントロールするためにはまず、「DSP」の中で信号を“帯域分割”する必要がある。左右のchの信号をそれぞれ、ツィーター用の信号とミッドウーファー用の信号とに分け、その上でそれぞれに対して個別に“タイムディレイ”等を適用させていくのだ。

となると信号を制御した後も、それぞれを個別に伝送する必要が出てくる。パワーアンプで増幅する際にも、それぞれに個別のchをあてがわなければいけなくなる。

なお、このようにスピーカーごとに個別にパワーアンプのchを用意するシステム体系のことは、“マルチアンプシステム”と呼ばれている。

で、ここでピックアップされている『GZDSP 4.80AMP』には、4ch分のパワーアンプも内蔵されている。つまり、これ1台があれば“マルチアンプシステム”を完結できる。ゆえに当プランは「完結型」と名付けられているのだ。

ただし、取り付け作業には少々手間が掛かる。スピーカー配線を変える必要も出てくるからだ。純正スピーカーのスピーカー配線をそのまま流用するのが難しい場合は多く、当機から各スピーカーへとケーブルを引き回さなければならなくなることも、頭に入れておいてほしい。

もちろん、この際なのでスピーカー交換までも同時に行ってしまうのは大アリだ。予算が許せばそれについても検討しよう。

そうしないまでも、とりあえず配線だけ整えておけば、後からそれがそのまま使える。そして頃合いをみてスピーカーも換えれば、音が良くなる感動を2回味わえる。段階を踏むというやり方も、またおすすめだ。

★02 「本格派」プラン
【ターゲット】
●デジタルシグナルプロセッサー『ロックフォード・フォズゲート DSR1』(税抜価格:7万8000円)
●4chパワーアンプ『ヴァイブオーディオ POWERBOX 60.4-V7』(税抜価格:2万8500円)
☆合計金額:10万6500円
ロックフォード・フォズゲート DSR1
ロックフォード・フォズゲート DSR1DSR1 のチューニング画面ヴァイブオーディオ POWERBOX 60.4-V7

続いては、「単体DSP」+「外部パワーアンプ」という、「本格派」プランを紹介する。

なお、当プランにおいてはどうしても10万円以内に収めることができず、予算オーバーとなってしまった。ちなみに「2chパワーアンプ」であれば10万円に収まるモデルもある。おすすめなのは、『グラウンドゼロ GZIA 2080HPX-II』(税抜価格:2万円)だ。

グラウンドゼロ GZIA 2080HPX-II

実を言うと、このやり方も十分にアリだ。2chモデルであると、とりあえずフロントスピーカーを“フルレンジタイプ”的に扱うことになるのだが(ツィーターとミッドウーファーを個別にはコントロールせず、左右で1つずつのスピーカーとして扱う)、そうであっても「DSP」がなかったときと比べると、聴こえ方はガラリと変わる。

そして後からもう1台、同じ2chモデルを追加すれば、結構クオリティの高いシステムを完成させられる。また、後から別の「4chパワーアンプ」を導入して、当機では「サブウーファー」を鳴らすという使い方もできる。このアンプが後々ムダになることはなく、むしろ本格システムのベースを築ける、というわけなのだ。

もちろん、10万円というシバリを破った、ここで挙げている『ヴァイブオーディオ POWERBOX 60.4-V7』を用意すれば、最初から“マルチアンプシステム”を構築できるので、文字どおり“本格派”なサウンドを最初から楽しめる。ヴァイブオーディオもまた、廉価なモデルのコスパが高いことで知られているブランドだ。そしてさらには、同時にフロントスピーカー交換に踏み込んでもいい。いろいろな応用法が考えられる。

ところで『DSR1』は、チューニング操作をスマホやタブレットで実行できる。自分自身でチューニングを楽しみたいと考えた時にも、当機は至って使いやすい。「単体DSP」の導入を視野に入れる際には、リーズナブルでコンパクトで使いやすい当機のことを思い出すベシ。

さて、計5回にわたってお贈りしてきた当企画は参考になっただろうか。10万円という予算があれば、いろいろなアプローチでカーオーディオライフをスタートできる。まずはどんなプランが良いのか、そしてどんな製品を選ぶと良いのか、それらを悩むところから十二分に楽しもう。

クルマの中で良い音が聴けるようになれば、日々のカーライフが今よりもっと充実する。ぜひぜひトライを♪

《text:太田祥三》

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