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アンティフォン 松居邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど~なのよ?』 No.104 新「デモカー・製作記」#09

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『アンティフォン』の新デモカー「PORSCHE Macan」。全 5 枚写真をすべて見る

松居さんが率いるオーディオプロショップ『アンティフォン』の新デモカー「PORSCHE Macan」。その製作に際して松居さんが感じたあれこれを綴っていただいている。今週は、未来のオーディオに対する期待感について記していただいた。

■最先端の科学技術によって、オーディオはさらなる進化を続けている…。

前回、ダイヤトーンのフラッグシップスピーカー『DS-SA1000』を搭載した当店のニューデモカー「PORSCHE Macan」で、「超えたくても超えられなかった何かを超えられたのではないか」と綴らせていただいた。今回はそのことについて、さらに深掘りしていこうと思う。

昨年3月にカリフォルニアにあるハーマンのR&Dを見学した話を、当連載の「No.101」で紹介させていただいたが、そこで見て驚いた装置(スピーカーの振動を解析できる装置)が、もしかすると、スピーカー開発にイノベーションを起しているのではないか、と想像している。

ところで、そこで見ることができた解析図とほぼ似たような図を、実はそれ以前にもダイヤトーンのカタログで目にしていた。ダイヤトーンスピーカーが『DS-G50』から『G500』になったときに、コーンに補強(カタログではソリッドラインと書かれている)が取り付けられたのだが、それについての記述に“変形シミュレーション図”なる物が添えられていた。そのカタログの画面が、ハーマンで見て驚いた装置のそれと、ほぼ同じ画面なのである。

ダイヤトーンの新フラッグシップスピーカー『DS-SA1000』が、フルピストンモーション領域(同位相で音波を発生させられる範囲)を2KHz台まで広げられたのも、このような解析装置でより適切な振動板の設計が行えるようになったからなのではないかと思う。

もちろん、“NCV”のような剛性の高い素材を持っているからこそ、なのではあるのだが。

話はそれるが、昨年の『インターナショナルオーディオショー』でこれまた驚きのオーディオ体験をしてしまった。そこで出会ったのは、『YG ACOUSTICS Sonja XV』というスピーカーシステムだった。

生演奏の緊張感に極めて近い雰囲気を漂わせるその再生音は、「今までに聴いたオーディオ再生音の中で、最高レベル」と言って良かった。これまでに体験したことのない驚きの世界が、そこにはあった。

このスピーカーは、航空機に使われるグレードのアルミニウムの無垢材を削り出して製作された複雑な構造の振動板(耐荷重300Kg。当振動板は360°の球面波を発射する)と、同じ素材から(最大36mm)複雑な切削加工により製作されたエンクロージャーとで成り立っていて、メカニズムとして、直線的な位相特性を保証するらしい。

加えて、これだけの静寂感を得るためにはこれだけの材料とコストとを必要としたのだろうが、その規模、価格を考えるとため息しか出てこない。ただ、これだけのメカニズムが作り上げられたのも、スピーカーシステムを開発するための装置環境が、今までとは違った次元になってきたからだと思うのだ。

『DS-SA1000』も、これと同じ次元で開発されたスピーカーなんだと思う。
目指している方向も極めて近いのでは、と思った。

このところ、オーディオとは最先端科学技術の賜物であるとつくづく思わされる体験が続いている。それらによって僕は、オーディオにはまだまだ伸びしろがあることを知ってしまった。

《text:松居邦彦》

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