チェルノフのスピーカー・ケーブルはいまのところ2シリーズが輸入されていて、それぞれ2モデルずつあるので合計4モデルということになる。
Junior_One_SC(18ゲージ相当) ¥273/m
ジュニアONE SCはベーシックなジュニア・シリーズのスタンダードな製品で、独自のBRC導体を撚線とし、特別に柔軟なPVCで絶縁した平行タイプに構成している。取り立てて独自の構造というわけではないが、こういう場合にこそ精度が決め手となる。
その精度が確実に維持されているのか、非常に素直な音調だ。レスポンスにくせがなく、高低両端に伸びやかで平坦な出方をする。上級モデルに比べるとやや音数は減少するものの、特に不満は感じない。アカペラは高域が滑らかで響きが澄み、シャープだが棘はない。ジャズは若干下寄りだが、立ち上がりが速く歯切れのいい鳴り方だ。オーケストラも瑞々しく、瞬発力に富んだ再現である。
Juniot_Two_SC(15ゲージ相当) ¥420/m
ジュニアTWO SCはONEと同じ構造だが、芯線の数が多くゲージも大きい。それだけに音調が太さを増し、エネルギーが豊かだ。そして解像度と音数が増していることにも注目される。重心が適度に下がり、アカペラでは質感が落ち着いている。ハーモニーがきめ細かく、高域へスムーズに抜けた出方をする。ジャズは低域がよく沈んで輪郭も明瞭だ。弾みのいい音調である。オーケストラのダイナミズムも幅が広く、鮮明である。
Original_One_SC(15ゲージ相当) ¥945/m
オリジナルONE SCは上級モデルで、BRC導体を低密度ポリエチレンで絶縁し、ソフトPVCのジャケットで覆った平行タイプに仕上げられている。
立ち上がりが速くなるのと輪郭の明瞭度が向上するため、ディテールの音数が増した印象だ。静かさも増す。アカペラは一人々々の存在が背景の中に浮かび上がり、ハーモニーの凹凸がシャープに描かれる。ジャズは切れと弾みがよく、なにより瞬発力に富んでいることが表現力を濃厚にしている。オーケストラも峻烈で、鮮度が高まっているのを感じる。
Original_Two_SC(11ゲージ相当) ¥1,365/m
オリジナルTWO SCは上位モデルで、素線の数を増やした平行構造としている。
エネルギーが増すのは当然ともいえるが、明瞭で情報量が豊富だ。タッチが鮮明でしかも厚い。アカペラはハーモニーがきれいに揃い、位相が整ってピントがくっきりしている。高域の伸びやかさが、いっそうニュアンスを繊細なものにしているようだ。ジャズは広々とした響きとくっきりと沈んだ低音が秀逸。オーケストラは起伏が豊かで、変化に富んだ多彩な表現が味わえる。
《text:編集部》