夏のドライブで注意したいのがETCのトラブルだ。ETCカードを認識しない、料金所の開閉バーが開かないといった症状は突然起こる。代表的な原因と自分でできる対策、トラブル発生時の正しい対処法を紹介しよう。
◆夏のドライブで注意したいETCトラブル
今では多くのドライバーが利用しているETC。高速道路や有料道路をスムーズに利用でき、一度慣れてしまうと料金所で支払いをするのが面倒に感じるほど便利なシステムだ。
しかしETCは車載器とETCカード、さらに料金所や道路上に設置された設備との無線通信によって成り立っている。そのためカードや車載器、通信などに問題が生じればエラーが発生する可能性がある。しかもETCのエラーは前触れなく発生するケースもある。せっかくのドライブ当日にETCカードを認識しなかったり料金所の開閉バーが開かなかったりすれば、慌ててしまうだろう。
◆ETCで起こりやすい3つのトラブル
代表的なETCトラブルを整理すると、大きく3つのケースが考えられる。ひとつ目はETCカードの認識エラーだ。
通常はクルマを始動してETCカードをセットすると「ETCカードを認識しました」「有効期限は○○です」など車載器から案内が流れる。しかしカードを正しく挿入しても認識されず、この時点でエラーになることがある。
ふたつ目は車載器が正常に起動しているように見えても、料金所でETCの開閉バーが開かないケースだ。入口では正常に通過できたものの、出口料金所で通信できない場合もある。
3つ目は料金所以外に設置されているETC通信設備で正常に通信できないケースだ。都市高速などでは出口付近のフリーフローアンテナを使って走行区間を判定し、通行料金を確定する仕組みもある。この部分で通信エラーが起きると正しい料金が記録されないことがある。
原因や発生した場所によってその後の対応が異なるため、まずはどこでどのようなエラーが発生したのかを確認することが重要だ。
◆ETCカードと車載器のどちらが原因か切り分ける
ETCエラーが発生した場合、自分でできる対処はあるのだろうか。まず確認したいのがETCカードとETC車載器のどちらに原因があるのかという点だ。
別の正常なETCカードを持っているなら、停車した状態で車載器にセットしてみる方法がある。別のカードなら正常に認識する場合は、最初に使用していたETCカード側の問題が疑われる。
逆に複数のETCカードを試しても認識しない場合は、車載器や電源、内部のカード接点などに問題がある可能性が高まる。ただし、この方法だけで故障箇所を完全に特定できるわけではない。カードを交換しても症状が続く場合は、無理にDIYで分解せず車載器メーカーやカー用品店、ディーラーなどで点検してもらうのが確実だ。
◆ETCカードが読み込めないなら金属端子をチェック
DIYでできるETCトラブル対策のひとつが、ETCカードの金属端子の清掃だ。
ETCカード表面にある金色の部分は、カード内部のICチップと車載器をつなぐための金属端子だ。ここに皮脂や化粧品などの汚れが付着すると車載器との接触が悪くなり、カードの読み取りや書き込みに影響する可能性がある。見た目にはきれいでも薄い汚れが付着していることがあるため、カード認識エラーが出たら確認してみる価値はある。
清掃する際は乾いた柔らかい布などを使い、金属端子を優しく拭くのが基本だ。デンソーもETCカードの金属端子について、清潔で乾いた柔らかい布で清掃するよう案内している。カード発行会社が別の清掃方法を指定している場合は、その指示を優先しよう。
◆ETC車載器は専用クリーニングカードで清掃できる
ETC車載器側にもカードと接触する部分があり、汚れが蓄積すると読み取り不良につながる可能性がある。しかし車載器内部にあるため、ユーザーが分解して直接清掃するのはおすすめできない。分解によって故障させてしまえば、かえって修理費用が増える可能性があるからだ。そこで利用したいのがETC車載器用のクリーニングカードだ。
ETCカードとほぼ同じサイズの専用品を車載器に抜き差しすることで、内部のカード接点に付着した汚れを除去する。デンソーからもETC/ETC2.0車載器用のクリーニングカードが用意されている。清掃しても認識エラーが続く場合には、こうしたクリーニングカードを試してみるのもひとつの方法だ。
ただしクリーニングで改善できるのは、あくまでも接点の汚れなどが原因の場合。車載器本体や配線、アンテナなどが故障していれば清掃では直らないため、症状が続くなら点検が必要になる。
◆夏はETCカードを車内に放置しない
筆者も過去に何度かETCトラブルを経験しているが、カードの金属端子を清掃することで正常に戻ったケースは少なくない。しかし清掃しても復活しない、あるいは一度直っても再びエラーになる場合はETCカードそのものが劣化やダメージを受けている可能性がある。特に注意したいのが夏場だ。
炎天下に駐車したクルマの車内は高温になる。ETCカードを車載器に挿したまま長時間放置すると、熱によるカードの変形や故障につながる可能性がある。カード会社も高温になる車内へのETCカードの放置を避けるよう案内している。味でも、クルマを離れる際はETCカードを抜いて携帯する習慣を付けておきたい。
また夏のロングドライブ前には次のポイントを確認しておくと安心だ。
・ETCカードの有効期限を確認する
・ETCカードが正しく認識されるか確認する
・金属端子の汚れをチェックする
・車載器からエラー音やエラー表示が出ていないか確認する
・ETCカードを高温になる車内に長時間放置しない
出発直前ではなく前日までに確認しておけば、カードに問題が見つかった場合でも余裕を持って対応できる。
◆ETCゲートが開かないときは停止してバックしない
実際にETCゲートで開閉バーが開かなかった場合、最も重要なのは慌てないことだ。
ETCレーンでは十分に減速し、いつでも停止できる状態で進入する必要がある。NEXCO東日本ではETCレーンへの進入速度を20km/h以下とし、レーン内は徐行するよう案内している。バーが開かなければ手前で停止し、係員の指示に従う。その際に車外へ出たり、自分の判断でバックしたりするのは危険なので避けよう。後続車との事故につながる恐れがある。
ETCシステム利用規程でも、路側表示器に「STOP 停車」と表示された場合は開閉バーの手前で停止し、係員の指示に従うことが定められている。開かなかったからバックして別のレーンへ移る」という判断はNGだ。その場で停止してインターホンなどを使い、係員の指示を受けるのが基本となる。
◆走行中にETC通信エラーが起きた場合は道路事業者へ連絡
少し厄介なのが出口料金所に開閉バーがなく、フリーフローアンテナなどによって走行区間を判定する道路だ。このタイプでは走行中にETC車載器からエラーが案内されても、その場で料金所スタッフに相談できないケースがある。
その場合は走行中にカードを抜き差ししたり電話をしたりせず、まず安全な場所まで移動する。その後、利用した道路を管理する道路事業者のお客さまセンターやWeb窓口へ連絡し、状況を説明しよう。道路によって料金の扱いは異なるが、走行区間を正常に確認できなかった場合に最大料金などが適用されるケースもある。
例えば阪神高速では出口でETC無線通信が正常に行われず出口が確認できなかった場合、利用した入口から最も遠い出口までの距離に応じた料金となる。ただし後から正しい料金に修正する手続きが用意されている。する際には、次の情報を準備しておくと状況を確認しやすい。
・利用したETCカード
・車両のナンバープレート
・利用した入口と出口
・通行したおおよその日時
・車種
・発生したエラーの内容
必要な情報や手続きは道路事業者によって異なるため、最終的には利用した道路の案内に従おう。
◆ETCトラブルは出発前の確認でリスクを減らせる
ETCは非常に便利なシステムだが、ETCカードや車載器の状態によって突然エラーが発生する可能性はある。
特に夏場は高温になる車内へETCカードを放置しないことが大切だ。ドライブ前にはカードの有効期限と認識状態を確認し、端子の汚れが気になるなら清掃しておこう。それでもETCゲートが開かなかった場合は慌てず停止して係員の指示に従う。走行中の通信エラーなら安全な場所まで移動した後、道路事業者へ連絡する。
簡単なメンテナンスと正しい対処法を覚えておくだけでも、ETCトラブルに遭遇した際の慌て方は大きく違ってくる。夏のロングドライブを安心して楽しむためにも、出発前のETCチェックを習慣にしておきたい。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後、出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務する。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請け負う。現在もカーオーディオをはじめ、幅広いジャンルの執筆活動を続けている。
《text:土田康弘》