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【三菱 デリカD:5 新型試乗】19年目の今も唯一無二! 恐るべき「走るシーラカンス」…中村孝仁

自動車試乗記

三菱 デリカD:5全 31 枚写真をすべて見る

かつて、三菱が作った乗用車『デボネア』は、初代モデルが、誕生から22年間もモデルチェンジされることなく、連綿と作り続けられた。その長寿ぶりから、「走るシーラカンス」などというあだ名をつけられたものである。

翻って最新の『デリカD:5』であるが、このクルマもすでにD:5を名乗るようになってから、今年で19年目を迎えた。あと3年頑張れば、デボネアの領域に達するから、このデリカもまさに「2代目走るシーラカンス」といっても差し支えない。

しかも、現行スタイルとなった2019年以来、すでに7年目のモデルイヤーに突入し、普通ならばモデルチェンジがささやかれてもおかしくない時期に至って大きなマイナーチェンジを断行し、おまけに6年目の昨年、即ち2025年は過去最高の販売台数を記録したというのだから、「走るシーラカンス」恐るべし!なのである。

◆ライバル不在のオフロードミニバン

今回のマイナーチェンジでは、三菱の伝家の宝刀ともいえる車両運動統合制御システム「S-AWC」が装備された点や、同様にヒルディセントコントロールなどがついて、益々オフロード走行性能に磨きがかかったことが大きい。ならば、当然それを試すのが道理なのだが、広報車を借り出して多少なりともリスクを伴うオフロードの試乗は、試乗会でやりたいもので、今回それはなし。

でも、おおよそ500kmを日常で使ってみると、いいところや悪いところなどが、それなりに見えてきたので、お伝えしよう。

元々デリカD:5には、はっきり言ってライバルが存在しない。というのも、本格的なオフロード走行を可能にする4WD機構を持ったミニバンは、デリカD:5しかないからだ。そのオフロード走行は元来、今言うところのSUVの領域であり、SUVにはそうしたクルマがいくつか存在する。しかし、やはりデリカD:5は形の上ではミニバンだから、ライバルがいないというわけだ。

最低地上高は185mmある。同じようなミニバンの代表的存在である、トヨタ『ノア』の場合、これが140mmだから、いかにデリカD:5が地上高をたっぷり取っているかわかるだろう。この地上高の高さは、同時にサスペンションストロークにも影響を与える。当然ながらストローク量は、ノアなどの一般的なミニバンに対して大きくとられているはずである(メーカーからの公式な話は聞いていないが)。恐らくそれが大きな要因と思えるのだが、デリカD:5の乗り心地は至ってゆったりとして快適なのである。

◆あえて“ダル”なステアリングがもたらす直進性

かつて、クロカンと呼ばれたオフロード専用車両を得意分野としていた三菱だけに、そうしたモデルの流れを汲んだ作り込みをデリカD:5にも施していて、ステアリングフィールはお世辞にもシャープと呼べるものではない。

そもそも、オフロードを主体とするモデルにシャープなステアリングフィールを与えると、オフロード走行時のキックバック(ステアリングへの反力)に耐えられない。だからどうしても少しダルにしてやる必然性があるのだが、これが高速走行などでも、多少の横風などに動じない直進性をもたらしてくれているので、却って好都合である。実際今回は400kmほどを高速で移動してみたが、元々強靭な骨格にストロークをたっぷりとったサスペンションと、少しダルなステアリングのおかげで、とても安楽に移動することが可能であった。

◆シーラカンスのシーラカンスたる所以も

2019年にダイナミックシールドと称して、まるで電気シェーバーの網目のような顔つきだったフロントマスクは、ギラギラ感を抑えた樹脂で作られた、どちらかといえば落ち着き感のある顔つきに変更され、いわゆる「どや顔」感はだいぶ薄れている。同時にリアガーニッシュのデザインも変更を受け、こちらも光物のない、すっきりデザインにして、フロントとの整合性を図った。

一方で前後バンパー下からサイドホイールアーチには新たに黒のモールが取り付けられた。今回の試乗車はボディ色が白だったために、そのコントラストも際立っていた。

まあ、シーラカンスのシーラカンスたる所以もある。一つは、未だにステアリングポストにテレスコピック機構を持たない点。つまり、ポジションのアジャストはチルト機構のみに頼ること。また、3列目シートの折り畳みにしても、特定の場所(サイドに三角の印がある)までシートをスライドさせた後に、リリースレバーを引っ張って跳ね上げるのだが、これが案外わかりづらく、背の低いユーザーだと、乗り込んで作業する必要があるなど、部分的には使い勝手が良くない。

それでも、「余人をもって代えがたい」ではないが、独壇場の市場を持っているのだから、多少のことには目をつぶる必要もある。ミニバンに乗りたいアウトドア派のユーザーで、かつ高速で長距離移動が多いというような層には完璧にフィットする。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員・自動車技術会会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来46年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。

《text:中村 孝仁》

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