トヨタ『プロボックス』の使い勝手を保ったまま高音質化を目指した揚妻さん。クァンタムで3ウェイ化を施し仕事車に上質な音を宿した。
◆プロボックスの音を変える鍵はフロントスピーカーの刷新
仕事にも用いる日常ユースのクルマとして揚妻さんが乗るプロボックス。しかし純正サウンドが気に入らなかったため、オーディオのグレードアップを茨城県のサウンドステーション クァンタムで開始した。特にフロントスピーカーが弱点となるプロボックスを、プロショップの手によるインストールで大幅に改善しているのが見どころとなった。
プロボックスの純正スピーカーはダッシュ上の両サイドに取り付けられている10cmユニット。これは近年のトヨタ車でありがちなスタイルだ。一方でドアへのスピーカー設置はなく取り付けスペースそのものも用意されていない。商用バンと割り切った作りではあるが、カーオーディオ的には大きな障壁となる。そんな過酷なオーディオ環境を、各部に加工を加えることで大きく改善したのがこのプロボックスだ。
スピーカーユニットとして選んだのは、JLオーディオの高品質モデルであるC7シリーズの3ウェイ。16.5cmミッドバス、9cmミッドレンジ、2.5cmツイーターという構成のユニット群をプロボックスのコクピットにフィットさせている。中高域を担当するミッドレンジ+ツイーターは、ドアミラー裏とAピラーを加工してインストール。特に9cmミッドレンジをドアミラー裏にマウントをワンオフ製作してインストールしている点が見どころだ。ドアを閉じればツイーターと隣り合う位置にレイアウトされ、サウンド面はもちろんデザイン面でもスマートな仕上がりとなった。
一方のツイーターはAピラーにビルトイン取り付けされる。C7のデザイン性豊かなグリルをそのまま用い、ピラーに埋め込むスタイルは美しく完成度も高い。えぐり処理を加えて角度付けされているため、高域サウンドの特性も狙い通りに引き出している。
◆ドアスピーカーを持たないプロボックスに専用バッフルを製作
このプロボックスの大きな見どころとなるのはドアだ。先にも紹介した通り、純正でドアスピーカーを持たない同車は中低域の再生能力が弱点。そこでドア前部を加工して新たにスピーカー取り付け位置を新設し、16.5cmユニットを収める構造を作っている。ドアポケットの延長線上にアウターバッフルを作り付ける構造で、ドアのデザインや純正ラインとも違和感のない仕上がりとなったのが見どころだ。
ここにJLオーディオC7シリーズのミッドバスユニット、16.5cmモデルをインストールすることで、一般的なドアスピーカーを持つクルマと同じように中低域の厚みを表現できるようになった。ピラーまわりのツイーター&ミッドレンジに加えて3ウェイ構成にすることで、音の厚みや密度を高めることに成功している。
しかしコクピット全体を見ると、純正内装のグレー系カラーを踏襲したりC7のメッシュグリルを採用するなど、大きく加工したことを感じさせないスマートなデザインとしているのも仕事で使う車両らしいコーディネイト。さりげない仕上がりで高音質を発揮するこの仕様は、働くクルマらしいフィニッシュだ。
◆スマホとディスプレイオーディオで手軽に高音質を楽しむ
ヘッドユニットはカロッツェリアのディスプレイオーディオであるDMH-SZ700をチョイスした。6.5インチモニターを備えるシンプルモデルで、プロボックスの質実剛健なイメージにもぴったり。音楽再生時にはiPhoneをUSB接続してApple CarPlayを利用し、ディスプレイオーディオからはプリアウト出力を使ってDSPにRCA接続するスタイルだ。
「仕事で普段使いするので車内で使いやすいことを優先しました。特別な接続や操作なしにスマートに使いこなせるのがこのシステムの狙いです」とオーナーが言う通り、クルマに乗ってiPhoneをUSBに接続すればすぐさまオーディオ再生が可能になる。使いやすいシステムこそがオーナーの望みだった。
仕事でも使う普段使いのクルマに高音質オーディオを投入する。そんな狙いから生まれたプロボックスのオーディオシステムは、派手過ぎずハイエンド過ぎず、それでいて高音質は抜かりなく実現する。こうして普段使いできるハイファイマシンが出来上がった。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者へ転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請け負い現在もカーオーディオをはじめとしたライティングを中心に活動中。
《text:土田康弘》