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エンジンオイルを替えるだけで走りが変わる!“規格”と“粘度”の正解~カスタムHOW TO~

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カスタムやチューニングというとパーツを取り付けたりすることが思い浮かぶが、エンジンオイルの銘柄や粘度を変えるのも十分にカスタムやチューニングに当たるもの。

最も交換頻度の高い消耗品であり、リーズナブルな価格でできるカスタムのひとつがオイルだ。その選び方を見直してよりクルマのパフォーマンスを引き出すという手もあるのだ。

◆エンジンオイルの役割と選び方の基本

エンジンオイルはご存知のようにエンジン内部を潤滑し、清浄し、熱を奪うなど、さまざまな役割を持っている。そこでオイルを変えることでフィーリングやトルク感、燃費なども変わってくる。では、どういったオイルを選べばよいのだろうか。まずはそのエンジンに対応した規格を取得しているかを確認してもらいたい。

クルマごとにオイルの対応規格が定められている。これは、APIやILSACなどのいくつかの基準があり、その基準に合致したオイルを使うように定められている。

例えば最新のダウンサイジング・ターボエンジンだと、オイルに含まれる清浄分散剤であるカルシウムが原因になったLSPI(低速早期着火)と呼ばれるノッキングが起きやすいことがわかっている。そのため、ダウンサイジングターボエンジンでは、API規格でいうSN Plus以降(SPなど)のオイルを使うことが定められている。それ以前の規格のオイルを入れるとこのカルシウムが影響して、LSPIと呼ばれる低速ノッキングが起きやすい。

最近のクルマではノッキングが起きたからといってすぐエンジンが壊れてしまうわけではないが、それによってリタードし、出力が落ちる。また、ノッキング自体はもちろん起きないほうがよいことなので、規格に合致したオイルを使用したほうがよい。このようにエンジンによってどんな規格のオイルを使えばいいのかが決められているので、まずはそれを確認することから始めてもらいたい。

◆粘度選びは“指定内”でチューニングする

次に粘度である。オイルの流動性を示す粘度もクルマごとに定められていて、勝手な判断で粘度を変えるのはかなりのリスキーなこと。

例えば昔ならサーキット走行をするのであれば、オイルの温度が上がりやすいので、粘度を上げることが一般的だった。しかし、粘度をアップさせると、エンジン内部に循環するオイルがオイルパンに戻ってくるまでに時間がかかってしまう。そのため、オイルパンに溜まるオイルの量が減って、オイルポンプがオイルを吸い上げられなくなり、内部は潤滑不足になり、そこからエンジンブローに至ることがある。

特に最近の低粘度オイルが指定されたエンジンで、高粘度オイルを入れると、そういったトラブルが起きやすい。そのためサーキットに行くから良かれと思って、例えば0W20指定のクルマに15W50のオイルを入れるのはかなりリスクが高い。もしどうしても高粘度オイルを入れるのであれば、ある程度の規定量よりも多くオイルを入れるなどの対策が必要になるが、それはそれでまたブローバイガスが増えてエンジンにオイルが入り込んでしまうなどの問題もあるので、素人判断ではおすすめできない。

まずは、そのクルマで定められている粘度の指定に幅がある場合もあるので、その中で選ぶようにしてもらいたい。例えば0W20と5W30が指定されているクルマなら、サーキットに行くときは5W30にしてみるとか、気温の低い冬場は0W20にしてみるなど、そういった調整も十分なチューニングと言える。

◆添加剤は“相性”と実績で選ぶ

そういった規格や粘度に合致したオイルから選んでもらえればいいが、気をつけたいのはオイル添加剤である。添加剤はすべてのオイルに対して必ずしも謳っているような効果が出るとは限らない。すでに添加剤と同様の成分がオイルに含まれている場合もあるし、元のオイルと添加剤の成分のマッチングが良いこともあれば、あまり良くないこともありうる。

必ずしもエンジンオイルの性能に加えて、添加剤の性能がプラスされるとは言い切れない。それは、それぞれの相性があるので、添加剤もできればプロショップで実績のある組み合わせや、オイルメーカーが出している添加剤などを使うのが安心である。オイルメーカーは、オイル単体で狙った性能を発揮するようにオイルを設計しているので、そこに異なる成分を入れたからといって、必ずしも良い効果を引き出すとは限らないのだ。

《text:加茂新》

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