排気系チューニングといえばマフラー交換。マフラーを排気抵抗の少ないものにすることで、エンジンパワーやトルクを引き出す狙いがある。チューニングとしてはマフラー交換が有名だが、ぜひとも行っていただきたいのがスポーツ触媒への交換である。
これはマフラー交換と同等かそれ以上の効果を発揮するパフォーマンスアップに効果的なチューニングなのだ。
◆そもそも触媒って何をやっているパーツなのか?
触媒とは排気パイプに配置されているもので、内部にはレアメタルなどの金属が含まれたフィルターがあり、ここで排気ガスの物質と反応させて、排気ガスをクリーンにする装置である。内部にはハチノスのようなフィルターがあり、そこを通過するときに排気ガスと触媒が反応する。当然そこで排気抵抗が生まれている。その抵抗を少なくすればエンジンパフォーマンスをもっと引き出すことができるのだ。
触媒交換がオススメなのはその位置の問題もある。近年の排気ガス規制ではエンジン始動直後から排気ガスをクリーンにしなければならない。触媒はある程度の温度にならないとその効果を発揮せず、温度が上がるまでは排気ガスがクリーンになりきっていないこともあった。そこで少しでも早く触媒を温めるために近年のクルマでは触媒がエンジンに近いレイアウトになっている。30年ほど前のクルマであれば、触媒は腹下と呼ばれる室内の真下にあることが多かった。
ところが最近のクルマはエキマニの集合部の直後に触媒があったり、車種によってはエンジン内部で排気ガスが集合し、出口の直後に触媒が置かれていることもある。
触媒は抵抗になり、エンジンに近いほどその影響が大きい。エンジンから出てすぐの排気ガスに抵抗を与えるので、そのロスが大きくなりやすいのだ。なので、最近のクルマほど触媒交換がオススメなのだ。
◆効果は分かってもどんな触媒を選べば正解なのか
スポーツ触媒はその内部が低抵抗なものになっている。使われる金属などが変えられていて、より目の粗い触媒でも、純正と同等の浄化性能を持たせている。そのため排気ガスの規制には引っかからず、抵抗だけを下げることができるのだ。
エンジンに近い部分の抵抗を下げることで、アクセルレスポンスが格段に良くなる。エンジンパワーも出るようになり、トルクアップも期待できる。デメリットがとくにないのもスポーツ触媒チューンがオススメの理由である。効果としてはマフラー交換よりも高い。セットでマフラーも交換が理想的だが、あえてスポーツ触媒とノーマルマフラーを組み合わせる手もある。排気音量はノーマルとほとんど同じだが、エンジンパワーやレスポンスは格段にアップさせることができる。そうした見た目にはわからないチューンという手もあるのだ。気をつけるべき点は、低抵抗化によってエンジンのECU書き換えが必要になることもあること。
スポーツ触媒を装着すると大幅に排気抵抗が低くなり、エンジン側でなにか起きていると判断してエンジンチェックランプが点灯してしまうことがあるのだ。そこでエンジンECUチューンができる車種では、触媒をスポーツ触媒に交換したタイミングでのECUチューンがオススメ。
逆にいえば、ECUチューンを施してからスポーツ触媒に交換するのはオススメできない。あまりにも排気抵抗が変わってしまい、せっかくのECUチューンのデータがズレてしまって本来の性能を発揮できない可能性があるのだ。それだけ効果があるのが触媒交換チューンである。
近年流行っているバブリングは触媒に悪影響があるので要注意。バブリングは意図的に排気パイプ内で未燃焼ガスを爆発させることで、減速時にバリバリバリという音を楽しむためのチューニング。触媒に近い部分で爆発が起きるため、ダメージを受ける可能性がある。これは純正触媒でもスポーツ触媒でも同じで、決して好ましいことではない。バブリングをするならば触媒が破壊され、交換せざるを得ないというデメリットも理解した上で行うようにしてもらいたい。
《text:加茂新》