アクセスランキング

粘度でフィーリングもパワーも激変する、エンジンを壊さないオイル選びの新常識~カスタムHOW TO~

カスタマイズカスタマイズ特集記事

粘度でフィーリングもパワーも激変する、エンジンを壊さないオイル選びの新常識~カスタムHOW TO~全 1 枚写真をすべて見る

オイルはもっとも交換頻度が高い消耗品。そして、異なるオイルにすることでフィーリングやパワーやトルクまで変えることができる。また、壊さないためにオイルを選ぶこともある。そんなチューニングとしてのオイル選びにフォーカスする。

◆オイル選びでフィーリングが大きく変わる!?

エンジンオイルはエンジン内部を潤滑し、金属部品が摩耗することを防いでいる。ほかにも冷却したり、洗浄したり、シリンダーとピストンの間を密閉する役割もある。オイルを変えることでそれらの効果を変えて、フィーリングやパワーを変えることもできる。

だが、どこそのメーカーのオイルが良いとかは、それぞれの使い方や思想もあるので結論は出ない。だが、同じオイルでも粘度を変えることで大きくフィーリングは変わるし、それも十分なチューニングになる。まずは粘度のアジャストから始めるのも方法のひとつである。

大前提としてまずは自動車メーカーの指定粘度に従うこと。これがもっとも重要である。エンジン内部はその指定粘度に合わせて設計されている。とくに最近のエンジンで多いトラブルが、この粘度を守っていないことに起因するもの。最近では低粘度オイルが主流。だが、サーキット走行をするとか、夏場だからという理由で粘度を上げるユーザーもいる。

自動車メーカーでは使用できる粘度に幅を設けていることもある。「0W20もしくは5W30が使用可能」のように定められているのだが、サーキット走行をするからと油温上昇対策として15W50のような粘度の高いオイルを入れてしまう人もいる。

たしかに油温が高くなった時の油膜強度では0W20よりも15W50のほうが高い。しかし、オイルパンからポンプで汲み上げられたオイルはヘッドや各部に供給されるが、そこから重力で自然落下してオイルパンに戻って来る。エンジン内部自体が低粘度向けに設計されていると、それに合わせたオイルの通路やオイルパンの容量になっている。ところがそこに高い粘度のオイルを入れるとなかなかオイルパンに戻ってこなくなってしまう。

高粘度向けに設計されているエンジンであれば、そこまで考慮してあるので大丈夫だが、低粘度オイル向けエンジンにドロドロのオイルを入れると、なかなかオイルがオイルパンにリターンしなくなってしまう。

オイルパンのオイルが少なくなったところで、コーナリングやブレーキング時のGでオイルが片寄って、オイルパンから吸い上げられなくなり油圧が低下。エンジン内部が異常摩耗してブローに至るということが増えている。

良かれと思って粘度の高いオイルを入れたことが原因になってしまうこともあるのだ。プロショップからオイル粘度の指定があればそれでいいが、ユーザー判断で粘度を変えるのはリスクが伴うのである。まずはメーカー指定粘度を守り、そのなかでアジャストをしてもらいたい。

◆季節によってオイルを変えると走りが変わる!

上記のように0W20と5W30の両方が使えるクルマだとしたら、夏場は5W30にして、冬場は0W20にするのも立派なチューニング。燃費としては0W20の方が数%良くなることが多いが、夏場に炎天下で渋滞にハマる機会が多いとか、暑い季節に高速道路の走行が多いなら5W30を選んだ方がフィーリング的にもマイルドに感じられるかもしれない。

また、オイルの規格にも気を配りたい。APIやILSACなどの規格があり、自動車メーカーからどの規格のオイルを使用するかも指定されている。API規格で言えばSM、SN、SN+、SPと新しくなっていて、後方互換性がある。SN規格が指定のクルマならSMは使用できないが、SN、SN+、SPは使用できるという具合。

とくにSN+以降はLSPIに対応している。LSPIとは低速早期着火のこと。簡単に言うとダウンサイジングターボエンジンの場合、低回転からモリモリ過給していてノッキング(早期着火)が起きやすい。それによってエンジンにダメージを与えてしまう。その原因の一つがエンジンオイルに含まれる清浄分散剤(カルシウム)であることがわかっていて、SN+規格以降はこのカルシウムが含まれていない。そのためダウンサイジングターボエンジンは特にこういった規格に気を配ってもらいたい。

具体的にどこのオイルメーカーのものが良いかは一概には言えないが、そのあたりはプロに効くのがもっとも信頼できる。フィーリングの良さなどはもちろん、これまでのトラブルが起きていないなど、その経験から実績あるオイルを使っているプロショップがほとんど。そういったプロにオイル選びを託すもが近道である。

《text:加茂新》

編集部ピックアップ

TOP