アクセスランキング

ブレーキ性能を劇的向上! 意外と知らない「ローター交換」の効果とは?~カスタムHOW TO~

カスタマイズカスタマイズ特集記事

ブレーキ性能を劇的向上! 意外と知らない「ローター交換」の効果とは?~カスタムHOW TO~全 5 枚写真をすべて見る

ブレーキチューンといえば、パット交換に始まり、最終的にはビックキャリパーキットの導入となる。だが、実はその間にブレーキローターを変えるというチューニングがある。

◆ブレーキはパッドで決まる!?相方のローターの事を忘れるな!

パッドと摩擦し、多くの熱を吸収しているブレーキローターは、パットと同じようにブレーキの重要な要素を担っているパーツである。このブレーキローターを交換することで、ブレーキの性能を大幅に高めることもできるのである。今回はそんなローターチューニングに迫る。

ブレーキはタイヤと同じ速度で回転するブレーキローターを、ブレーキパッドで挟み込んで摩擦させることによって効かせている。一般的にブレーキパッドが減って、ローターはそれほど減らないと言われているが、これは国産車がそういったセッティングになっているから。欧州車ではパットと一緒にローターも摩耗して減っていくのが一般的。走行距離がかさむと車検時にパットとローターの両方交換することが多い。

対して、日本ではユーザーからの要望により、できるだけブレーキパッドの交換だけで済むようにローターはあまり減らず、パットが多く減るように素材を設定し設計されている。欧州車はローターも減るので、ランニングコストは高くなるが、その分独特の扱いやすいブレーキに仕上がっているともいえる。

◆走るステージによって適性が変わってくる

スポーツチューニングの世界では、ワインディングやサーキット走行すると、ブレーキから多大の熱が発生し、ローターの温度が上がっていってしまう。ブレーキローターの温度が400度を超えるようになると、ブレーキパッドはフェード現象を起こし、効きが甘くなり、時にはまったく効かなくなることもある。そこでブレーキパッドを金属成分の多いスポーツパッドに交換するのが一般的。

だが、それでもブレーキが厳しいのであればオススメしたいのがローター交換だ。アフターパーツメーカーのブレーキローターは放熱性がアップするような設計をされていることが多い。同じだけ熱量が発生しても空気中に放熱していくので、ブレーキローターの温度が上がりにくくブレーキパッドの負担を減らしてくれる。また材質も純正ローターとは変えられていて、踏み込むほどに効く特性に仕上げたりもしやすい。

チューニングとしては、ブレーキローターを大きなものにし、純正キャリパーをオフセットさせることで、ブレーキキャパシティー自体を引き上げる場合もある。こうなると大幅なブレーキキャパシティの引き上げが可能である。

だが、そこまでしなくてもローター自体を純正からアフターパーツメーカーのものにするだけでも、ブレーキタッチは良くなり、ブレーキの効きも良くなり、サーキットやワインディングでのフェード現象も起きにくく耐熱性がアップすることも多い。

その鍵となるのがベンチレーテッドディスクのベーン数だ。ベンチレーテッドディスクは内側のディスクと外側のディスクの間にベーンと呼ばれる柱が多数入っている。この柱の中を空気が抜けることでローターを冷やしていくのだが、このベーン数やベーンの角度、ベーンの太さなどによっても、ローターの温度は変わってくる。アフターパーツメーカーでは、このベーンを使う速度やコースなどを想定して最適化することで、放熱性に優れ、温度が上がりにくいローターを開発している。

また、ブレーキローター選びの時に気をつけたいのはスリット。ローターの表面に溝が掘られているもので、これはブレーキパッドの表面に発生したガスを排除し、スリットのエッジでブレーキパッドの表面を削り取っていく。常にパットの新しい面がローターに接して、フレッシュなブレーキパッドの効きを体感することができる。

スリットなしのプレーンローターからスリットローターにするとブレーキの効きはやや良くなる。特に踏み込めば踏み込むほど奥でブレーキの効きが高まるようになってくる。これはスリットによるパッドのリフレッシュ効果と、スリットのエッジによって効きが高まっているのが理由。

しかし、デメリットとしては、このスリットのエッジがローター表面を常に削っているので、ブレーキパッドの摩耗が速くなる傾向にある。このあたりはブレーキメーカーのノウハウがあり、スリットの角度やスリットを直線にしたり、曲線にしたりすることで、パットの表面を削れるようにしたり、削り具合を抑えたりというコントロールをしている。

いずれにせよ、パッド摩耗は早くなる傾向なので、街乗りのみとかブレーキフィーリングにすでに満足しているのであれば、スリットなしローターを選ぶのも手のひとつである。

《text:加茂新》

編集部ピックアップ

TOP