クルマのドアに取り付けられるスピーカーは口径的に17cmクラスが最大サイズだが、この大きさでは超低音までをスムーズに再生するのが難しい。でも「サブウーファー」を使えば超低音をしっかり鳴らせる。というわけで当特集では、この活用法を解説しようと試みている。
◆「パワードサブウーファー」のリモコン設定の前に、やるべき重要な調整項目がある!?
今回からは、サブウーファーのサウンドセッティング法を説明していく。まずは、「パワードサブウーファー」の音設定のコツを紹介する。
なお、高度なプロセッサーがシステムに組み込まれている場合には詳細なチューニングを行えるが、そうでなくてもパワードサブウーファーに付属しているリモコンを活用すれば、ある程度的確なサウンド設定を実行できる。
ではその詳細を説明していこうと思うのだが、実はリモコンにて設定を行う以前に、やるべき重要な調整項目が1つある。それは、「ゲイン設定」だ。
ゲインとは、「パワードサブウーファーの「入力ボリューム」のことを指す。で、その設定を誤ると、せっかくのパワードサブウーファーがむしろノイズの発生源にも成りかねない。なぜなら入力ボリュームを上げすぎると、いわゆる“クリップ”と呼ばれる現象が起こり音が歪んでしまうがゆえだ。
◆「ゲイン」調整が上手くいけば、クリアかつパワフルな低音を堪能可能に!
そうならないための設定手順は、以下のとおりだ。まずはゲインを最小にして、付属のリモコンのボリュームをマックスに上げておく。その上で普段もっとも大きな音で聴くときの音量まで上げて音楽を再生する。
その状態にてゲインを少しずつ上げていくと、パワードサブウーファーから聴こえてくる音が歪み始めるポイントが見つかるはずだ。それが見つかったら、その手前でゲインを設定しておこう。こうすることで、リモコンでサブウーファーの音を最大にしたときでも低音が歪まなくなる。
なお、ゲインを任意に変更できない機種もある。でもそのような機種でも、入力感度を「ロー」か「ハイ」のいずれかに選べるようになっている場合が多いので、同様の手順で両方を試しハイでも歪まなかったらハイで良く、ハイでは歪んでしまったらローに設定しておこう。
◆サブウーファーの再生範囲の見極めも、良質なサウンドを楽しむためのポイントに!
ゲイン設定が完了したら、その後は付属のリモコンの「フリークェンシー」を設定しよう。これはパワードサブウーファーの再生範囲を決めるスイッチだ。
なお、せっかくパワードサブウーファーを導入したのだからその音をたくさん聴きたくなるのが心情だ。なので再生範囲を広めに設定したくなるが、そうするとむしろステレオイメージが狂いかねない。
なぜなら、ドアスピーカーとパワードサブウーファーの両方から聴こえてくる音の範囲が広くなるので、両方から聴こえてくる音のズレが目立ってしまう。そうなると、それぞれのスピーカーの存在感が高くなる。それぞれから音が出ていることがはっきり分かってしまうのだ。
なので再生範囲は、ドアスピーカーからは聴こえにくい帯域に限定すべきだ。そうすることでサウンドの一体感が高まりやすくなり、結果スピーカーの存在感は希薄になって、リアルな音像が目の前に出現しやすくなる。
今回は以上だ。次回はもう1つ大事な設定項目について説明する。お楽しみに。
《text:太田祥三》