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HONDA シビック Type Rユーザー注目! 街乗りからサーキットまで“楽しく走れる”各社カスタマイズレビュー

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街乗りから本格的なサーキット走行までユーザー好みに仕上げられるホンダ シビック TypeRは、チューニングメーカー各社もしっかりとした個性を発揮したパーツが存在する。今回は実車レビューも含めて5メーカーにスポットを当ててみた。

SPOON

HONDA専門の老舗パーツクリエイターであるSPOON。2024年シーズンから久しぶりにFL5でスーパー耐久シリーズに復帰。自社メンテナンスで参戦しているからこそ、さまざまなアイディアから新パーツが生まれ、そのテストや検証も行っている。

デモカーはストリートからミニサーキットをターゲットにした仕様。試作オリジナルタービンをSPOONの取り扱うECUチューンであるHondata社製 FlashProで制御して約370psを発揮。インタークーラーも試作品で、オリジナルエアクリーナーフィルターとビックスロットルとを組み合わせる。排気系は自社のN1マフラーキット。

足まわりはKWと協同で開発したオリジナル仕様。減衰力2WAY調整式でバネレートはF10kg/mm R12kg/mmで発売予定品。強化スタビライザーも発売予定品でフロント130~136%強化の調整式。リアは180%の固定式。前後ともにボディ補強はMOTION CONTROL BEAM(MCB)試作品と、フロントスティッフプレートで強化。前後ともリジカラでメンバーとボディの締結を正す。

ホイールはオリジナルで19×9.5J 45を装着。サーキットメインなら18インチもあるがこちらはインセットが40になり、キャンバー角を付けないとフェンダーに収まらないので普段乗りメインなら19インチがマッチするという。

レース復帰から生まれたパーツは洗練された極上のフィーリング

走り出すとサスペンションのその質感がまさにレーシング。バネは固めだが、フィーリングに硬さはない。必要最小限のストロークで段差や路面のうねりを吸収していくのでフラットライドな印象を受ける。減衰力が微細な動き始めからしっかりと効いていてしっとりとサスペンションが動いてくれる。

曲がるとシンプルにハンドルを切った分だけ曲がっていく。ロールやピッチングがすごくスムーズにシンプルに、動き戻しがなく動いていくのはリジカラとMCBの効果が現れている。限界走行してみると、曲がり始めた先の奥でさらにハンドルを切った時にも舵がよく効く。まさにレーシングカー的なスムーズな動きを体感できる。エンジンパワーはさすが370ps。3500rpmほどからフルブーストになる。ノーマルよりも500rpmほどインターセプトは上がるが、その分トルク感は遥かに高まる。これでもか!というほどのパワーを体感できる。

SPOONオリジナルシートは表皮が薄く、それでいてしっとりとカラダを包んでくれる。ハンドルとシフトノブもオリジナル品でどちらも定番パーツだが、改めてそのしっとりした質感の高さを実感。シートと相まって、カラダが触れる部分がそれぞれ気持ち良い。極めて走ることが楽しめる仕様に仕上がっている。今後はレースからフィードバックされたクーリング対策として、フロントバンパーやボンネットなどもラインアップが追加されていく。

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FUJITSUBO

排気系パーツ専門メーカーFUJITSUBO。自社で開発から製産・販売まで一貫しておこない、こだわり抜いたエグゾーストパーツを提供している。そして信条としているのが、騒音規制に対応しつつエンジンの性能を最大限に引き出すこと。ノーマルエンジンに装着しても、いかにパフォーマンスアップできるかにこだわっている。

FL5の場合はフロントパイプとマフラーを開発。ホンダの誇るタイプRシリーズの最新作であるFL5、そこに期待されるのはもちろんパフォーマンスアップである。近年は純正マフラーも軽量に作られていて、アフターパーツメーカーのマフラーだからといって軽くできるわけではない。そこでFUJITSUBOでは、フランジからステーまで軽量化にこだわったフルチタン製のマフラーを開発。純正18.3kgに対して12.9kgと5.4kgの軽量化に成功している。

マフラーのメインパイプはφ70mm。純正に比べて太いが、何度も走行テストやパワーチェックをおこない、ノーマルエンジンでもパワー・トルクがさらに引き出せるメインパイプ径を採用。メインサイレンサーはFK8のものに比べて全長を長く取り消音性能をアップ。そのうえでアンダーディフューザーが取り付けられるようにタイコ底部はフラットにしてある。FK8では1つだった中間サイレンサーも2つに増やす。こちらも消音効果を狙ってのこと。純正でもかなり音量が大きく、加速騒音規制に適合させるには大変だったということだが、こういった努力によって排気効率をアップさせつつ、規制にも対応させている。

官能的なサウンドを目指してこだわりを突き詰める

また、コモリ音の大きさが気になるポイントだったそうで、解決手段としてレゾネーターを配置。これはメインサイレンサー横に配置される行き止まりのチャンバーのことで、特定の音域を消すことができる。コモリ音が気にならなくなるように大きさなどが調整されているが、メインパイプからの分岐の角度がポイント。できるだけ直角に配置することで排気抵抗になることを抑えつつ、コモリ音を消す効果を発揮できたという。また、回転が下がる時にも音が大きくなりやすいが、その領域もレゾネーターの効果で消音できている。

フロントパイプは別売り。サイレンサーが存在しないので、セットで購入しないと車検に引っかかるなどの規制はない。先にマフラーだけ導入して、あとからフロントパイプを取り付けることも可能。こちらもメインパイプはφ70mmで排気効率をアップ。ベローズを入れることで振動を吸収し割れを防いでいる。

フロントパイプとマフラーをセットで導入するとパワーはピーク時で11.3ps向上、トルクはピーク時で1.6kg・m向上。40km/hから80km/hへの中間加速は0.1秒速くなり、加速度を高めることができるので、ノーマルエンジンでも、よりパフォーマンスアップを体感することができるだろう。

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ホンダアクセス

ホンダ純正アクセサリーパーツを開発、販売しているホンダアクセス。純正ならではの高いクオリティのアクセサリーパーツを提供。さらに質感や性能を高めるカスタマイズパーツをリリースしているが、その中でも注目なのがテールゲートスポイラー。

標準でもアフターパーツのような大きなウイングが装着されている。そのステーはそのままにウイング部分を交換するホンダアクセス製テールゲートスポイラーはドライカーボン製で軽量。オリジナルの形状でより空力効果を高めているが、注目なのがその下面である。『実効空力』はホンダアクセスが掲げるエアロダイナミクス開発思想で、普段乗りの領域からハンドリングが良くなることに効く空力パーツ開発を目指している。そこから生まれたのが下面のギザギザ形状。シェブロンとも呼ばれるもので、大きな乱流を細かくし、クルマの安定性や質の高いハンドリングをもたらしている。

実際、直進時のダウンフォースというよりも、曲がり始める時など空気の流れが変わるところでの効果を感じやすい。直進から曲がる瞬間やコーナリング中という、風洞実験でも数値に現れにくい部分だが、確実にその効果を持つという。また、ドライカーボン製の本体はノーマルのテールゲートスポイラーに対して約1kg軽量に仕上げられている。わずか1kgと思われるが、オーバーハングのルーフに匹敵する高さの部分だけにその効果は期待できる。今回は茂原ツインサーキットでインプレッションを行った。全開走行も含めたが、ワインディングを想定した走りをメインとした。

実効空力で走る楽しさをアップ!明確に感じられるその効果

デモカーの変更パーツはテールゲートスポイラーと内装パーツなどで、機能部品は完全のノーマル。その状態でノーマルスポイラーと付け比べをして素早く走行。気温などの条件も変わらないように5分以内の交換時間で行った。だが、そんな配慮をせずとも明確に効果はわかった。まず走り出しから明らかに軽さを感じる。交差点を曲がる動きでもクルマの動きが軽い。車両後端の高い位置だけに1kgの軽量化でビックリするほど印象が変わる。

空力的にはリアの安定感が感じられるだけでなく、攻めて行ったときのフロントタイヤの安心感まで高まっている。限界域で走行するとノーマルスポイラーの方がアンダーステアが起きやすい。リアの荷重が高まったらホンダアクセスのスポイラーの方がフロント荷重が抜けてアンダーステアになりそうなものだが、そのあたりがホンダアクセスの提案する実効空力。4輪のグリップの総和を高めようというバランスで作られているだけに、全体のバランスが良くなっているのだ。

ほかにもインテリアパネルのセンターコンソール部とドアパネル部もドライカーボン製で高い質感を実現。テールゲートスポイラーと合わせたこの3つは供給数と注文数のバランスによって一旦は販売終了になっていたが、今回供給の目処がつきラインアップが復活。改めて購入できるようになったのも大きなニュースである。

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BLITZ

総合パーツメーカーBLITZ。エンジンパーツやECUチューン、電子パーツを得意としていて、近年はオリジナルサスペンションが代名詞的なパーツになっている。その特徴はしっかりと想定ステージを決めてパーツを開発していることにあり、基本的にそのメインステージはストリート。普段乗りを快適に、もっと楽しめるように味付けされているパーツが多い。今回のFL5もまさにそこを狙っている。

FL5を好きな人に向けての「プラスワンパーツ」をテーマに掲げ、フロントリップ、フロントアーチディフューザー、リアサイドディフューザー、リアウイングに追加するタイプのリアガーニーフラップ、フロントダクトラインなどを開発。エンジン系では純正エアクリーナーボックスを取り外し、冷たい外気をダイレクトに低抵抗でエンジンに送り込むカーボンインテークシステムを開発。マフラーはニュルスペックカスタムエディションで、新作のフォージドカーボンテールは圧縮成形されたドライカーボンが美しい。

そこに組み合わせられるパワーチューンは2段階。パワコンは取り付けるだけで手軽にパワーアップが可能な追加パーツ。ノーマルに対して31psアップを可能にする。BLITZにECU本体を送付して書き換えるタイプのECUチューンも開発。こちらはBLITZ TUNING ECUとしてリリースされ、速度リミッターは320km/hに変更。パワーはブースト圧を純正の1.6から1.8kg/cm2に変更してあり、各種データも最適化。それによってピークパワーで48.4psアップを実現。最大出力差は51.1ps。最高出力はノーマルの327.5psから375.9psになる。

カーボンインテークとニュルスペックマフラーもセットで交換すれば、ピークで61.4psアップで、もっとも差が出る回転数では65.3psも引き出すことができる。最高出力は388.9psまで高めることができる。

足まわりはZZ-Rサスに遠隔自動減衰力調整機構DSC-PLUSを組み合わせて室内から減衰力の調整が可能で、走行ステージに合わせた自動調整も可能。バネレートはF6kg/mm R5kg/mmと低めだ。

普段乗りを心底楽しむストリート主眼のプラスワンパーツ!

走り出すとまずそのサスペンションのしっとり感を感じられる。走行ステージをストリート主体にして開発したことで、ノーマルよりもしなやかにストロークする。FD2シビックタイプRほどではないが、ややしっかりとした乗り心地に仕上げられたノーマルサスよりも快適性が高いと言える。この時点で減衰力は32段階調整中のフロントが14段戻し、リアが16段戻し。コース内でペースを上げていくとやや動きが大きく感じる。そこで室内から減衰力を締めていくとキビキビ感が高まる。フロント10段、リア12段戻しまで締めるとスポーツ走行向けのリニアな動きになる。ミニサーキットをメインに楽しむならバネレートを少し上げたらもっとマッチングは良さそう。前後ともに24段戻しまで弱めていくとサルーン的なゆったりとした乗り心地も可能。その変化幅の大きさがZZ-Rの特徴でもある。

エンジンは淀みなく低回転からパワーとトルクが引き出されていて明らかに速い。3000rpmからパワー感が高まる。純正タービンの性能らしい唐突感のないパワー感が全域で高まっていて満足度が高い。そして、マフラーからは開発に苦労したというだけあって、快音が響く。ストリートメインのお手本的な仕上がりだ。

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HKS

HKSではFL5についてタービンからサスペンション、エアロパーツまで幅広く開発しラインアップを展開中。その中でもいちおしは昨年末にリリースしたタービンキット。GT4845スポーツタービンキットは純正置き換えサイズのタービン。インテークもエキゾースト側もどちらも5~7mm拡大。ブレード形状も見直すことで、大風量でありながらレスポンスを犠牲にしない性能を獲得。そして、HKSがこだわったのが高回転の伸びだ。

「シビックタイプRといえば、やはり高回転の伸びのあるエンジンかと思います。そこでターボエンジンであっても、その気持ちよさが得られるように開発しました。3000rpmと純正タービンとほとんど変わらない回転域から過給が始まり、高回転までスムーズに伸びていきます」と広報の細田さん。タービンキットに合わせた「マスタリーECU」フェーズ3データもリリースしており、タービンとECUがセットになったパッケージも用意されているのでHKSパッケージでターボチューンが楽しめる。

ECUチューンはパワーエディターを取り付けるだけの簡易ブーストアップで15.6psアップ、マスタリーECU フェーズ2でのブーストアップでは30psアップ。さらにGT4845タービンキット+マスタリーECUでは54PSアップが可能。マスタリーECUでのリミッターカットのみを含めると4段階でのチューニングが可能だ。

そのECU開発などでも気を配ったのが吸気温度。FL5では吸気温度による制御への影響が大きく、そこでオススメはインタークーラーキット。サイズはほぼ純正と同じだが厚みが純正の64mmから100mmになり、冷却効率がアップするので吸気温度を下げることでよりパワーを引き出すことができる。吸気温度を下げる吸気系ではコールドエアインテークが代名詞的パーツだが、オートサロンで展示した新たな構造のものを現在開発中。今後設計を煮詰め登場する予定だ。

トータルチューニング可能となる豊富なラインアップ

排気系はリーガマックススポーツマフラーをラインアップ。ジェントルなサウンドと排気効率の良さを実現。さらにオイルクーラーキットも開発中で、こちらもオートサロンですでに展示されていて、ダクト付きの高効率なものがリリースされる予定。

足まわりはHIPERMAX SとRをラインアップ。Sは前後とも純正ゴムアッパーを使う車種が多いがFL5においてはフロントにピロアッパーを標準採用。シャープなのり味を研ぎ澄ます。それでいて全域でしなやかに動き、街乗りをメインにする人にベストマッチ。スプリングレートはF10kg/mm R8kg/mm。サーキット走行を主体に、往復のワインディングもストリートも楽しみたいという人にはRがオススメ。こちらは前後ともにピロアッパーを採用。専用高張力スプリングを採用しレートはF14kg/mm R14kg/mm。

ボディ補強パーツとしてはカーボンブレースを開発中。カーボンは適度なしなりはありつつ、ねじれ剛性は高い。そこでボディを硬くするのではなく、しっとりと締めてくれるので乗り心地もよく、ハンドリングも良くなりやすい。こちらは現在開発中。

そしてエアロパーツも開発中で、フロントスポイラー、サイドスカート、リアアンダースポイラー、ダックテールスポイラーでスポーティなビジュアルと、トータルでのデザインバランスを追求。デザインだけではなく、富士スピードウェイでの実走試験やCFDを用いた解析など機能面もこだわって開発しているとのこと。いずれも純正エアロに追加するタイプで5月発売予定。

このようにHKSでは現在鋭意パーツを開発中。さらなるサイズのタービンと制御なども、パワーチューニングを得意とするHKSとしては進めていきたいという。今後も楽しさ引き出すパーツが続々と登場しそうだ。

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《text:加茂新》

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