人気カスタムであるホイール交換。そのときに選択肢のひとつになるのがインチアップ。ホイールの直径を純正サイズのタイヤ&ホイールに比べて大きくするカスタムのこと。
見た目のスタイリッシュさをアップする効果が高いし、ハンドリングがシャープになって走りやすく感じる人も多い。しかし、インチアップするときには気をつけたいポイントやデメリットも存在する。
◆カスタムの定番『インチアップ』の落とし穴!?
インチアップはカスタムの定番チューン。例えば、これまで17インチを履いていたクルマに18インチのホイールを履かせるようなカスタマイズのことを指す。そのメリットはホイールが大きくなることでの見た目の印象を変えること。
ホイールが大きくなって、タイヤのサイドウォールが薄くなることで洗練されたイメージに見える。もちろん旧車を中心に、あえてタイヤのサイドウォールを厚くすることでかっこよく見せるチューンもある。しかし、旧車を除けば基本的にサイドウォールが薄いほうが見た目にかっこ良いと感じる人が多いようだ。そこでインチアップが人気なわけだが、いくつか気をつけたいポイントがある。
まず、大前提としてタイヤの外径はインチアップ前と同じになるようにすること。タイヤの外径が変わるとスピードメーターに誤差が生まれてしまう。インチアップすると純正タイヤに比べて外径が大きくなることが多い。そうなるとスピードメーターの数値よりも実際にはスピードが高くなってしまう。車検では実際の速度に比べて90~106%くらいがスピードメーターの許容誤差と言われる。つまりメーターの速度よりも実際の速度が低い分には許容範囲は広いが、逆に実際の速度が高い方には許容範囲は狭い。外径アップをすると車検に通らなくなってしまう可能性がある。
また、外径が大きくなるとフェンダー内との干渉も起きやすい。サスペンションの変更などでローダウンしたクルマで外径が大きなホイールを履くとてきめんに干渉しやすい。タイヤとフェンダーが干渉するとタイヤにダメージが及ぶこともあるし、インナーフェンダーが取れたり、穴が空いたりすることもある。
さらに気をつけたいのはABSの誤作動だ。ABSは純正タイヤでを前提につくられている。前後外径が変わるならまだしも、もともと前後で異なるサイズのタイヤを履いていて、インチアップによって外径が変わる、とくに前後どちらかだけ外径が変わったりするとクルマ側で異変を感知してチェックランプが点灯したり、ときにはABSが誤作動してブレーキが効かなくなったりするおそれもある。
◆インチアップしたらタイヤ外径に気をつけろ!
そういった危険が及ぶこともあるので、必ずタイヤ外径は純正タイヤに従うようにしたい。
例えば、POTENZA RE-71RSの場合、215/45R17で外径は626mm。インチアップしたら215/40R18で外径は629mm。この程度であれば許容範囲と言える。
インチアップによる変化は見た目のスタイリッシュさと、タイヤの扁平率が下がることがある。これはメリットとデメリットが明確にある。
メリットは、扁平率が下がることでタイヤのサイドウォールの厚みが薄くなり、クルマの動きがシャープになること。タイヤが潰れることによるゆらゆらする感じが減る。
デメリットは、そのサイドウォールが薄くなることにより、簡単に言えば乗り心地が悪くなることがあること。どちらかというと乗り心地はハードになり、路面の突き上げなども感じやすくなる。だが、それも程度の問題でむしろふらふらしなくなって同乗者が酔いにくくなったということもあるし、悪いことばかりではない。
あとは基本的にインチアップによってタイヤが高価になる傾向にはある。必ずしも高くなるとは言えないが、基本的にタイヤ径は大きいほうが値段は高い傾向。一部レアなサイズだと小径でも高価なことがあるので、メジャーサイズにインチアップしたほうが安くなることもあるが、基本的にはタイヤ代は高くなる方向だ。
それでもインチアップによる見た目が洗練される効果は大きい。ハンドリングがシャープになるメリットもある。ホイール交換を検討するならインチアップしてみるのも選択肢としてぜひ検討してもらいたいところだ。
《text:加茂新》